先月23日の自身のラジオ番組『岡村隆史のオールナイトニッポン』での“風俗嬢”発言で炎上し、翌週30日のラジオで謝罪&反省の言葉を繰り返したナインティナイン・岡村隆史(49)。番組途中から、2014年9月にラジオを卒業していた相方の矢部浩之(48)が5年半ぶりに登場し、“公開説教”で岡村の性格の問題点を次々と指摘した。さらに翌週の今月7日の放送でも矢部は冒頭から出演し、岡村とともに「不快に思われた方々、申し訳ありません」と改めて謝罪した。

 2週続けて出演した矢部が、コンビの関係性が変わっていったポイントとして挙げたのが、2010年の岡村の体調不良による約5ヶ月の休養だった。当時は多くが語られなかったが、岡村という人間の本質に触れるなかで避けられないこの件について、10年経った今だから語ることができた矢部の思いを、2週にわたるラジオの発言、そして『めちゃ×2イケてるッ!』最終回に際してのORICON NEWS単独インタビューから探っていく。

■多忙な岡村の体調が徐々に悪化 矢部が感じた「パンクした」

 まずは、休養当時の状況を振り返る。2010年の春、岡村は『めちゃイケ』(フジテレビ系)や『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)などナイナイとしてのレギュラー番組に加え、主演映画『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』のプロモーションで多忙な日々を過ごしていた。さらに演出やプロデュースを自ら手掛ける一人舞台『二人前』の準備にも追われ、徐々に体調が悪化。精神的な不安定さを感じさせる発言や行動も増えたことから、「パンクした」と感じた矢部が休養を勧めた。岡村はすべての仕事をキャンセルして休養し、一時は芸能界引退も考えたという。

 突然の事態に、『めちゃイケ』では同年の夏から秋にかけて新レギュラーオーディションを緊急開催。レギュラー番組に1人で出演を続けるなど、矢部にも苦労が多い時期だと思われたが、当時の心境について『めちゃイケ』最終回インタビューで意外な本音を明かしている。

 「今でも『あの時は大変だったでしょ?』って聞かれるんですけど、ピンチだなんて全く思ってなかったです(笑)。芸人になってずっと2人の仕事ばかりだったから、1人の仕事が新鮮で楽しかった。でも、周りの人たちは『大丈夫?』って気を遣ってくれるし、その温度差を合わせるのが難しかったですね。(中略)『帰ってくるのを信じていた』っていうのはこそばゆいんですけど、僕の性格的にどこかで『大丈夫やろ』っていうのがあって。結果的に5ヶ月で復帰したけど、1年くらい1人でやっても良かったかな(笑)」

■周囲の気遣いが招いた岡村の甘え 矢部が次々と具体例を挙げて指摘

 矢部は、この休養を境に、岡村が世間から同情が寄せられた“可哀想さん”になったと指摘。先月30日のラジオでは「あるタレントさんが言ったら炎上することも、アンタが言っても炎上しない。なぜなら“可哀想さん”だから、発言が許される幅が広かった。でも、自分の努力とスタッフの出会い、運もあって、成功している。50歳になってお金を持って、自分の思ったような家に住めてて、好きな車買えて、一般的に“可哀想さん”じゃない」と語った。その意識のギャップが今回の問題発言につながったと伝えると、岡村も「ホンマにそのとおりだと思う。気づいてない部分があったんや。言われて初めてそうなんやと思うこともある」と納得していた。

 岡村はもともと、周囲の気遣いに対して気付くことができない性格で、矢部はそんな岡村を「天然」と表現した。休養から復帰し、ちょうど芸歴も20年を超えるベテランの域に突入した岡村に対して、マネージャーや周囲のスタッフはそれまで以上に気を遣うようになり、岡村もその状況に気付くことができなかった。矢部いわく「身内に甘えて、ぬるま湯に浸かって、あぐらをかいて」という状況が続いた結果、「天然」に拍車がかかり、周囲への感謝の気持を完全に忘れてしまったのではないか、と矢部は批判した。

 具体例として「カメラが回ってるところでしか、俺に謝れない」、「楽屋でマネージャーやスタッフにコーヒーを出してもらっても、『ありがとう』って言うのを聞いたことがない」、「目上の人から食事に誘われると、自分で断らずマネージャーにやらせる」、「“笑われたくない”という気持ちが強すぎて、女優とのデート企画を断る」「『ゴチ』は足元が映らないからと、楽でいられるスリッパで収録に参加する」などを挙げた。そして、そういう行動・言動を見ることで「岡村隆史を嫌いになるかもしれない。そうなるのが怖くて、距離を取るために楽屋を別々にしてもらった」という思いも告白した。

 矢部は「休養時期にアンタはアンタで地獄を見て大変だったと思うけど」と岡村に寄り添う姿勢も見せたが、注意されたことで無意識に甘えていたことを自覚した岡村は、「言われて初めて、自分が気づいてなかった部分もあったと思います。いろんなところに甘えがあって、もっともっと反省しないとあかんところに自分で気づいたと思っています」と認識を改めることを誓った。

■ラジオを卒業した矢部と、リスナーに寄り添い続けた岡村

 岡村の休養時、その時点で15年以上も続いていた2人のラジオ『ナインティナインのオールナイトニッポン』も、ゲストを迎えながら矢部が1人で継続。岡村復帰後は2人体制に戻ったが、矢部はこの時の心境を「僕なりに腹を括って、それなりに楽しくやらせていただいて。5ヶ月で復帰して本当に良かったなと。帰ってきて『あー良かった』とすごく安心したんですね。で、一段落というか役目を終えてしまった気持ちになったんです」と回想した。

 そして、「帰ってきてホッとして、気持ちが(岡村の休養)前に戻ると思ったけど、違った。相方が戻って上り調子になったけど、俺が『また2人でやろう』と思えなかった。安心したというか…」と振り返る。この違和感を抱えたままラジオを続けていた矢部は「いつか戻るやろうと思ってたんですけど(戻らなかった)。継続することはすごく大変でしんどいことやと思うんですけど、自分の気持ちに正直になるのも大事かなと考えたり。特別な(番組な)んでね」と語り、4年後に1人で番組を卒業することになる。

 こうした流れから、2014年9月に20年以上続いたナイナイのラジオは終了したが、岡村が単独パーソナリティーとしてそのまま継続。岡村は「リスナーが離れていくのが怖かった。意地でもナイナイのほうが良かったという人がいるから、負けるかという思いでやった」と熱いラジオ愛で取り組んだ。そして、ナイナイ時代のラジオを聞いていなかった新規リスナーも獲得し、横浜アリーナで大規模な音楽イベントを毎年開催できるほどに成長させ、ANNパーソナリティー同士のつながりにも貢献していった。

 50年以上の歴史を誇るラジオのトップブランド『ANN』の中でも、歴代最長パーソナリティーで、現在もその記録を更新している岡村。ラジオスターとしての存在を確固たるものにしているが、矢部は岡村のホームとなっているラジオにもあえて苦言を呈した。「リスナーはみんな岡村隆史が大好きでイエスマンよ。注意してくれる人がほとんどいなくなってきた。スタッフ含めて、全員が空気をそうしたんですよ。知らん間に芸歴も長くなって、偉くなってもうた」。

■岡村の静かな宣言「僕はラジオが好きです」

 休養時の思い、コンビでのラジオを終えた真意など、矢部は10年越しに数々の指摘を行っていった。コンビ間の関係に終始しているようにも感じられるが、今回の発言につながった背景を明らかにするために、自身が覚えていた岡村への違和感を語ることが必要と判断したうえでの公開説教。事の重大さを深刻に受け止めた岡村は、2週続けて繰り返し謝罪の気持ちを伝え、矢部の言葉に耳を傾けて「やっぱりここは自分が変わること、考え方とか、人との関わり方もそうです。特に女性の方々に対する向き合い方というんでしょうか。そういうところを変えていかないといけない。このラジオを変えていきたいという風に思います」と語り、「僕はラジオが好きです。この気持ちだけはこれからもずっと変わることはないと思っています」と静かに宣言した。

 こうした相方の姿を近くで見ていた矢部は、リスナーから寄せられたメールをもとに高校時代の話を始めた。今回の発言への反省、これから自分が変わっていかなければいけないという思いから、「えー」「うーん」と言葉に詰まる場面が多くなっている岡村に語りかけるように、自分たちのルーツを改めて振り返っていった。ラジオという、不特定多数のリスナーがいる場所ではあるが、これまで幾度となく話題になってきたエピソードを話すことで、岡村にとっても、今回のことを反省した上で次に進むために大切な時間になっていたように感じた。

 こうしたことを印象づけたのが、番組エンディングだ。矢部から「ネタはがきとか(読んでも)いいんじゃないですか?」と向けられた岡村は「はがきのコーナーがストップしてしまっていますので、職人のみなさんももう少し待っていただいて…」と呼びかけ。ネタはがきの採用数に応じてランキングを発表し、はがきを読み間違えると謝罪して私物をプレゼントするなど、リスナーの投稿を大切にしている岡村だけに「ちゃんと発表できるようになるまで、もう少しだけ待っていただきたい」とアナウンスした。

 その上で、岡村は「先週と今週とまた来てもらって、こうやってラジオでしゃべることができて、本当に何かまた思うことがいっぱいできました。また、さらにいろいろと考えて、ラジオに向き合っていきたいと思いました。相方が来てくれたことでわかったことがあります。整理してラジオに向き合っていきたい。リスナーのみなさんにも向き合っていきたい。本当にありがとうという気持ちです」とコメント。最後は「わーわー言うとります」「お時間です」「さようなら」といつものフレーズを2人で発して締めくくった。

 今回の問題にコンビとして向き合った2週間。矢部の公開説教を経て、ナイナイがこれから向かっていく先がどのようなものになるか、注目していきたい。番組の様子は、放送後1週間以内は「radiko」で聞くことができる。