今年に入って新番組もスタートするなど、時代を超えて変わらぬ人気を誇る“大食い番組”。90年代に生まれ、一時期は類似番組が乱立するブームとなり、かつては「大食い(早食い)=食べ方が汚い」など、負のイメージもあった。しかし、そんなマイナスの印象を払拭し、食べることの楽しさを伝えることで“大食い”のイメージを変えたのがギャル曽根だ。テレビやYouTubeでいま再び大食いコンテンツが注目を集め、大食いYouTuberのテレビ進出も増えるなか、現状への思いを語った。

◆きっかけとなった「牛丼事件」、キレイに見せる食べ方は母親が躾やマナーに厳しかったから

――90年代にスタートした、大食い、早食いを競うテレビ番組は、一大ブームとなる隆盛を誇った時期を経て、それを真似した一般人による事故をきっかけに各局が自粛。その後、しばらくは企画自体を見かけることが少なくなっていました。それが、今年4月からは大食いをメインにした新番組がゴールデンで始まるなど、いま再び注目を集めています。

【ギャル曽根】 大食いが世間から楽しいと思ってもらえてうれしいことですね。「美味しそう」「私も食べたい」と感じてもらえるコンテンツということが認識されているから増えているのではないでしょうか。

――ここ最近では、かつてのような“人対人”の大食いや早食い競争ではなく、“人対食べ物”のデカ盛りや特大メニューへの完食挑戦が主流になっていますね。

【ギャル曽根】 昔は、“デカ盛り”を食べたことがなかったですし、番組としてもなかったと思います。『有吉ゼミ』(日本テレビ系)で“デカ盛り”に挑戦して、そこには料理自体のおもしろさがあると感じています。視聴者の方々も、ふだん自分では食べられない夢のような料理が出てくるのが、観ていて楽しいのではないでしょうか。

――本来、美味しくて見た目も華やかな料理に対して、かつての大食い番組では「大食い(早食い)=キレイな食べ方ではない」というイメージもありました。ところが、ギャル曽根さんは「大口で、食べ方がキレイ。決して早食いではなくゆっくりとペースを崩さない」印象的です。ギャル曽根さんの食べ方を見習う人も多いようですが、それまでの大食い番組のイメージを変えたのではないでしょうか。

【ギャル曽根】 母親が教師で躾やマナーに厳しかったので、食べ方にはその影響があるかもしれません。祖父がお米を作っていたので一粒も残さずに食べることはもちろん、箸の持ち方からきちんと教えられました。でも、初めてテレビ出演したのが牛丼の大食い競争だったのですが、生卵を混ぜて食べると「食べ方が汚い」ってけっこう言われたんです。そのときに衝撃を受けて、見え方を意識するようになりました。ふだん食べるときよりも気をつけています。

――90年代に多くの大食いタレントさんが登場したなかで、食べ方のキレイさは、ギャル曽根さんからの流れだと思います。

【ギャル曽根】 食べる仕事が増えてきたときに「牛丼事件」の壁にぶちあたったので、当時はけっこう見え方を研究しました。いまはどうしたら食べ物が美味しそうに見えるのかを常に考えています。自分の映りよりも、料理がメインです。

◆「大食い=量を食べれれば良い」は誤り、“美味しいもの”をたくさん食べたい

――ご自身が母親になったことでも、食べる際の所作や振る舞いに対する意識は変わりましたか?

【ギャル曽根】 子どもたちには、食事のマナーはふだんから言い聞かせているので、そんなに気にはしていないです。ただ、大食い番組を観て「完食!」とかよく真似をするので、意識をすることはあります。自分もきちんとしないといけないと気が引き締まることもあります。

――バラエティ番組では「たくさん食べるけど、味は気にしないの?」と言われることもありました。「大食い=量を食べれれば良い」と思われがちな風潮もありますが、そのことについての思いはありますか?

【ギャル曽根】 美味しいということはもちろん大切です! 私は美味しいものを食べるのが好き。量を多く食べるというだけで皆と一緒です。食べることが本当に好きで、美味しいものをたくさん食べられるのが一番幸せ。少しずつでもわかってもらえるようになればうれしいです。

――『元祖!大食い王決定戦』(テレビ東京)に出演し際に、「優勝にこだわらず好き勝手に食べる自由さ」が注目されましたが、スピードを競うことに重きを置かず、食べることを楽しんでいる姿が印象的でした。

【ギャル曽根】 競争だと意識していなかった部分がありました(笑)。タダでたくさん食べられて、勝てば賞金ももらえるからラッキーくらい。会場で皆すごい勢いで食べているのを目の当たりにして、何をそんなに争っているんだろうって思ったり。私は「勝ちたい」よりも「美味しいものを食べたい」と。当時は食パンの早食いだったり、食べ物がいまよりシンプルだったので、もっといいものを食べたいって思っていたのを覚えています(笑)。いまでも、大食い、早食いの勝負よりも、「味わいたい」「食べることを楽しみたい」という気持ちは変わりません。

――90年代のテレビ出演から世間の注目を浴びるようになりました。いま振り返って思うことはありますか?

【ギャル曽根】 環境が目まぐるしく変わって、楽しかったです。それまで、食事に行っても大盛りとか特盛りを注文するのが恥ずかしかったのが、テレビで大食いが認知されてからは逆に堂々と注文できるようになって、気持ちが楽になりました。夫とお付き合いしているころも、レストランで大盛りと普通を頼むと夫のほうに大盛りがいってしまって、それを交換するのがけっこう恥ずかしくて。たくさん食べるって知ってもらえてありがたかったです。

◆競争が激化する大食いタレント枠でYouTube参入は考えていない、主戦場はあくまでテレビ

――昨今では、大食いYouTuberの台頭もあり、大食いタレントの数が増えて渋滞ぎみです。YouTubeを飛び出し、テレビ出演する人もいます。

【ギャル曽根】 大食いって、ちょっと苦手だったり、嫌いな人もいると思うのですが、世間に受け入れられていることだと思うので、大食いタレントが増えているのはうれしいです。ネットもテレビも皆で盛り上げていければいい。私も気を引き締めて、もっとがんばらないといけない。

――ギャル曽根さんは、YouTubeには進出していないですね。

【ギャル曽根】 YouTubeもいいなって思ってはいるのですが、一番大切にしていることは、6年出演している『有吉ゼミ』を観てもらうこと。いまのところあまりYouTubeは考えていなくて、主戦場はテレビです。とかいいながら、そのうちやっていたりして(笑)。

――大食いは、体力的に負荷のかかる仕事でもあると思いますが、年齢の壁もあるのでしょうか?

【ギャル曽根】 何歳までとか考えたことはないですけど(笑)、できる限り続けたいと思っています。大食い界では、55歳を過ぎて現役で活躍中の方もいらっしゃいますから、私もまだまだいけそうです!

――その勇姿をまだまだ観られそうですね。ところで、素人時代は本名の曽根菜津子として出演していましたが、「ギャル曽根」はご結婚されてからもずっと変わらないですね。

【ギャル曽根】 よく言われるんです(笑)。もうギャルではないし、結婚したから旧姓の曽根でもないって。でも芸名を変えようと思ったことは一度もなくて、一生“ギャル曽根”でいきます。

――コロナの影響で、複数人でシェアするチャレンジ企画などは難しくなりましたが、ウィズコロナの時代においても大食いは、ひとりで魅せるコンテンツとしての強さがあります。

【ギャル曽根】 制作におけるいろいろな配慮は必要ですが、私の場合はひとりで食べきるので、コロナの影響をそれほど感じていません。コロナ禍においても大食い番組はできます。こういったご時世に大食いを観ることで、食べることの楽しさを感じたり、元気を出してもらえたりしたらうれしいです。

――『有吉ゼミ』の「チャレンジグルメ」の料理は、ギャル曽根さんの意向もあるのでしょうか。

【ギャル曽根】 毎回見たことないような“デカ盛り”が出てきて、メニューもバラエティに富んでいます。いつも現場に行くのが楽しみです。食べるということをずっと大事にしてきた私にとって、自分の芯になる大切な番組。ただ、食べたい料理を現場でさりげなく話したりするんですけど、デカ盛りメニューに反映されたことはないです(笑)。

(文/武井保之)