1958年から生産がスタート。小回りがきき、燃費が良く、壊れにくいという高い実用性を背景に、出前や配達の足として活躍。日本のみならず世界、特に悪路の多い東南アジアでも重宝されているホンダのスーパーカブ。近年、このカブを実用的に使うのではなく、カスタムし、ファッショナブルに乗る人も多い。そんな“カスタムカブ”に魅せられ、専門で取り扱うバイクショップが群馬県太田市にある。趣味が高じて専門店のオーナーになったGARAGE521の若尾祐基氏に話を聞いた。

きっかけはボロボロのカブとの出会い…人と被りたくないからカスタム

――ホンダスーパーカブとの出会いをお教えください。【若尾氏】18歳のときに偶然友達にもらったのが6Vのボロボロのスーパーカブ50でした。昔から自転車などを改造するのが好きだったので、その流れでカブをカスタムし始めたんですが、だんだんそれがライフワークとなっていきました。とにかく面白くて、大学生活はカブを日々カスタムしつづけで、卒業製作で撮った映画にも登場させたりもしました。写真のカブが最初にもらったカブの最終形態です。見た目重視でまともにのれなくなってしまいました(笑)。今でこそカスタムカブは珍しくなくなりましたが、昔はかなりマイノリティな世界。ですが、私は人と被らないものを作るのが好きなのもありカスタムを続けていました。

――その趣味であったカブのカスタムを専門店として始めようと思われたきっかけは?
【若尾氏】趣味として始めましたが、製作したカスタムカブをSNS等にアップしていくうちに、売って欲しいと言う声が多くなったのでカブ専用店を始めました。

――オープン以降、どんなコンセプトでカスタムを施していますか?
【若尾氏】どんなにカスタムしても前後のショックがしっかり稼働し、耐久性、消耗品を安定して供給できるよう、ホンダの他車部品を流用して組み上げています。見た目だけでなく短距離から長距離まで安心してしっかりと走れる仕様にしています。お客様の好みに応じてのカスタムのほか、多様なコンプリートカスタムカブも用意しています。

――これまでに数々のカスタムカブを世に送り出していると思いますが、人気なのはどんなモデルですか?
【若尾氏】一番人気は、カスタムカブ入門機としておすすめの『The☆Basic』(18万円/車両込み・税別)。多くの人がここからカスタムカブの世界へ入ります。あとは、当店のフラッグシップモデル『STYLO』(60万円/車両込み・税別)。フロントテレスコ化に加えリアスイングアームを延長。前後を18インチ化し、ビンテージなファイアストーンタイヤを履かせたボバースタイルで、全長も長くなり車格が大きくなっています。

――もはや原型がないですね(笑)。これら以上に、これまで手掛けたなかで一番インパクトのあるものはどのようなものでしょうか?
【若尾氏】インパクトある車両は多数ありましたが、一番印象に残っているのは古いアメ車をモチーフにしたカスタムカブ『SAGOHACHI』です。自分が持っている1957式のナッシュ・メトロポリタンを見たオーナーがこの車のイメージで製作したいとのことでカスタムしました。

バイクに乗ったことない人に「乗りたい」と思わせるカスタムカブを作りたい

――ここまでのカスタムは、カブへの“深き愛”がないとなかなかできないと思いますが、カブの魅力はどのようなところにあるとお考えですか?
【若尾氏】高い耐久性、低燃費、独特の操作性(遠心クラッチ、ボトムリンクサス、右手だけで操作出来るところ)に加え、どんなシュチュエーションにも似合うデザインですね。
 高度成長期を縁の下の力持ちとして支え、現代においても郵便配達、新聞配達など時代を超えて愛されるバイクは他にないのではないかと思います。日本においてスーパーカブは誰しもが馴染みのあるバイクで、「カブ」と聞けばすぐに分かると言うのもすばらしい。デザイン面でも見飽きることなく洗練されていて、ノーマルでも十分にカッコいいですし、日本を代表する最高のオートバイですね。

――近年ではホンダが、125ccさまざまな用途に合わせた4種類のカブを発売するなど、発売開始から60年以上たってもいまだ人気を誇っています。この人気の上で、御社が果たしていく役割はどんなところだと思いますか?
【若尾氏】さまざまなタイプのカスタムカブを製作して、今までバイクに乗ったことがない人が乗りたいと思うスタイルを作りたいと思っています。バイク人口が減る今、少しでもバイク乗りが増えるきっかけを作れればと思います。