仕事に対する価値観や考え方は、夫婦でも異なることは珍しくありません。お金を稼ぐためと割り切るか、はたまた、自分の強みや持ち味を生かして自己実現や社会貢献をしたいのか。あるいは、有名な企業に勤めることを望むか、知名度の低い会社でも自分の存在意義を感じられる業務がいいのか……。仕事に何を求めるかは、人によって価値観は様々です。

パートナーと仕事の価値観にズレを感じ、だれにも相談できずに悩んでいる、都内の大手IT企業勤務の美智子さん(35)。この春、育休から時短勤務で職場復帰をしたそうです。ただ、育休前に所属していた、直接クライアントへフォローアップを行うクライアントサポート業務ではなく、社内の営業サポートを行う部署に復帰となりました。

美智子さんが勤める会社は、社員数も多く、就職先人気ランキングに入るような、いわゆる「優良企業」です。大手ならではの手厚い福利厚生で、育休を約2年にわたって取得することもできました。時短になった分、給料は以前より下がったものの、労働条件は申し分ないと思っています。

以前はクライアントから、「美智子さんのおかげで助かりました」「美智子さんに提案してもらったアイデアが採用されました」などと感謝の言葉をかけてもらっていました。それは、日々の業務の励みとなり、やりがいと感じていました。ところが、育休明けの職場では、名前で声をかけられることがなくなり、「サポートさん」と呼ばれるようになりました。

「名前も呼んでもらえない。誰がやっても同じような業務。やりがいを見いだせなくなってしまいました。そのことを夫にこぼしたら、『せっかく良い環境で仕事をさせてもらえているのだから、子育て中くらいは条件重視でがんばるしかないだろう』と聞く耳を持ちません」

美智子さんは、自分の本音と夫の考え方とのギャップを感じ、誰にも相談できずに葛藤を抱えてきたそうです。

こんにちは、キャリア小町オーナーの土屋です。育休明け、時短勤務になった途端、業務ボリュームの軽減のみならず、責任も軽度な業務へ異動となり、仕事への意欲がそぎ落とされてしまうケース。これは、働く女性から多く寄せられる相談の一つです。

上司としては、「幼い子どもを抱えているのだから、仕事の負担や責任を軽くし、何かあったらすぐに帰宅できるように……」と配慮した上で、第一線の仕事ではなく、サポート的なポジションで育休明けの女性社員を迎えるというパターンです。

とはいえ、会社で自分の存在意義を感じながら働いていた女性にとっては、「名前も呼ばれない業務」「誰でもできそうな仕事」では、やりがいを見いだせないばかりか、屈辱的とさえ思ってしまうものです。やっかいなのは、上司も良かれと考えた上での配置転換なので、「まさかそんな気持ちだったとは想像もしていない」ということです。

美智子さんは、「できれば、元のクライアントサポートに戻してほしい」と異動願いを出しているものの、すぐに希望がかなえられる見込みはありません。直談判した男性上司には、「子育ても大変でしょ」と適当にあしらわれ、夫には「今より条件のいい会社なんてない。ぜいたくだ」と諭されます。