全世界の有料メンバー数は今年の7月現在で1 億9300万人を達成したNetflix。新型コロナウィルスによる世界的な巣ごもり期間中にも更に会員数を増やし、昨年比では2600万人増を記録。動画配信サービスは今や〈ライフライン〉になったと言っても過言ではないことを示した。日本でも2015年9月のサービス開始以来、年々人気を増し、独占配信される日本オリジナルコンテンツの人気も高い。映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』の池ノ辺直子が代表を務める予告編制作会社バカ・ザ・バッカは、『呪怨:呪いの家』の予告編制作をはじめNetflixとの関わりも深い。長らく映画業界を見つめてきた池ノ辺直子は、Netflixに熱い期待を寄せる。今回はNetflix広報担当者に話を伺いました。

Netflix発のオリジナル実写作品『呪怨:呪いの家』

――最初に7月3日から配信が始まった『呪怨:呪いの家』のお話から聞きたいんですが、今、TVスポットがものすごく流れていますね。あれだけのスポットを流すと反応も大きいんじゃありませんか?

皆さんから反応をいただけるということは、作品を制作したり調達している方としては非常にありがたいことなので、まず反応いただけるということ自体、非常に嬉しく思っています。特に今年の2月以降、日本発のアニメ作品が数多く配信されていたので、他では観られない実写作品を楽しみに待っていてくださった方もたくさんいらっしゃると思います。その声に応えられていると嬉しいです。

――『呪怨:呪いの家』は怖いだけじゃなくて、脚本もすごく面白かったですね。

ありがとうございます。脚本も面白いですし、三宅唱監督は実はホラー初挑戦だったと聞いています。今回の『呪怨:呪いの家』は初のドラマ化ということが注目ポイントとしてありました。

ホラーであるものの人間のドラマでもあるということに焦点をあてたい作品でしたので、監督さんや脚本家さんを選ぶ段階でも、そういったポイントがかなり重要ではありました。ですから、これまでの『呪怨』シリーズとはカラーが違って、また別の楽しみ方ができるのかなと思います。

――『呪怨』は、なかなか今は映画でもこんなにTVスポットって打たないので、たくさんの人が見てくれていますね。〈 #呪怨のcm 〉なんてハッシュタグを見ていくと、「コワイよー」とか「やめてくれー」とかいろんなことが書いてあって、それを見ているだけでも面白いんですよ(笑)。そうやって興味を持ってもらうということは本当に大事なことだと思いました。

『呪怨:呪いの家』に関してはあらゆるフォーマットで広告クリエイティブを出させていただきました。中には音声のみのラジオ広告などもありましたが、音声だけの刺激も、また映像とは違ったものがあると思いました。

――今回、バカ・ザ・バッカで『呪怨:呪いの家』のTVスポットをやらせていただいたときに、「怖いよー」って声が入ってるから、私が「あの変な音入れないで」って言ったんです。「そんな音入れてないよ」って担当者が言ってましたね(笑)。たぶん見てるだけで違う音を想像したりとかしてるんだなと思って(笑)。ところで全世界の反応はどうなんでしょう?

まだ(配信してから日が浅いので)はっきりとはお伝えしづらいですが、そもそも『呪怨』は世界的に知られている作品ですので、既存のファンの方にはしっかりと届いていると嬉しいですね。

――世界のどの地域で、反応があるかもリサーチするんですか?

ソーシャルメディアなども活用して反応を見ていますが、やはりアジア圏では、独特な日本文化に対する関心が高く、小さい頃に日本の番組やアニメを観ていましたという方も多いので、その親しみやすさから反応をいただけるのではないでしょうか。

Netflix 日本上陸の衝撃

――2015年にNetflixが日本に入ってきたときは、「これは何だろう?」って思っている人が私の周りでも多かったんですが、ちょうどそのとき、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(日本公開1985 年)の公開30周年を記念したイベントがロサンゼルスで行われて、私も参加したんです。そこでは『バック・イン・タイム』(日本公開2017年)という『BTTF』のドキュメンタリーが上映されるというので、どうしても観たくて行ったんですね。それで観終わったときにまず思ったのが「日本語字幕スーパーがほしい」ってことなんです。ホテルに帰ってネットを調べてみたら、Netflixさんでその日に全世界で配信開始って書いてあるの!思わずロサンゼルスのホテルの中で日本のNetflixの会員になったんです(笑)。それで日本語字幕スーパーが入った状態でまた『バック・イン・タイム』を観て楽しませてもらったんです。そのときに、これから全世界の映画が同時に翻訳されて観られる時代が来るって思って、これは新しい風が吹くってすごく思ったんです。それが2015年の10月だったんです。

そういった経緯があったとは !! ありがとうございます !

――その後、バカ・ザ・バッカでは、『野武士のグルメ』の宣伝をお願いできますかってNetflixさんから言われて、そこから御社の作品のお手伝いをさせていただくようになりましたが、私は日本に上陸した頃からNetflixさんのファンなんです(笑)。ところでNetflixには多く観られている作品が何か分かるようになっていますが、TVスポットによって、ランキングに変化は出ますか?

Netflixのサービス上から「今日の総合TOP 10」を見ていただくと国内で人気の作品が ひと目で分かると思いますが、TOP 10に入る作品は必ずしも大きく宣伝している作品ではないことにもお気づきかと思います。弊社の宣伝の中で、最も作品を選んでいただけるようお客様に届けられるのは、実際のNetflixのサービスだと思っています。

――なるほど !

なぜかと言うと、Netflixのメンバーがサービス上にログインしたときに見たい作品や、興味のある作品を、しっかりとおすすめ機能で、一番上、もしくは左側に出していくことをサービス上でやっています。

ですから、必ずしもTVスポットを大量に出す=「今日の総合TOP 10」に入る、というわけではないと思っています。そのため、おすすめ機能をよりご活用いただけるように、毎日試行錯誤しています。SNSで非常に話題になったり、全く違うルートから入ってきてくださる方もいらっしゃるので、そういう意味では話題の源は様々なところにあることを意識させられます。

――TVスポットを打つことで加入者の方が増えるということはあるんですか?

まずNetflixのことを知っていただきたいと思います。Netflixの作品はどこで観られるのか? 地上波のテレビなのか?映画館で観られるのか?といったことを従来の感覚からすると思ってしまうと思いますが、Netflixで独占配信されている作品で、どこで観られるかきちんと分かることが、お客様が求めていることではないでしょうか。

そのようにして、作品ひとつひとつの素晴らしさに加えてNetflixのブランドそのものを少しでも知ってもらえる機会になると捉えています。

意表を突くアナログの広告展開

――NetflixさんはWeb上での広告展開を中心にしつつ、アナログの広告展開も積極的にされていますね。たとえば、劇場の幕間にかける30秒の予告編でもNetflixで配信される作品の予告を流しています。それは映画を観に来た観客の人たちにも観てもらいたいというのがあるわけですか?

とにかくエンターテインメントがお好きな方にNetflixの素晴らしい作品を観てもらいたいという意図があります。常に新しいものを貪欲に求めていらっしゃる方に届けられる場を探しているということですね。

――もうひとつ、アナログの宣伝展開で面白いと思ったのは、新聞広告なんです。令和になったときに朝日新聞さんの全面広告が出ましたね。新聞の下段のところには年表がついていて、そこに映像の歴史が書いてあるんですね。「1891 トーマス・エジソンがキネトスコープの特許を出願」ってあるのが最初で、これが映画の始まりですね。それでいろいろ映画やテレビのエポックになった出来事が書いてあって、「2015 ネットフリックスが日本国内でのサービスを開始」「2018 ネットフリックスオリジナル映画『ROMA / ローマ』がベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞」と書いてあって、最後に「見たいは、つづく。Netflix」ってあるの。この広告はどういう経緯で生まれてきたんですか?

様々な新聞広告を展開させていただく中でも朝日新聞さんとは、密にクリエイティブ展開をさせていただいています。何か面白い形があれば我々も常に前のめりです。令和に元号が変わったときに、エンタメの力強さや時代性を伝えたい思いはありました。クリエイティブも朝日新聞さんにご提案いただいたものが素晴らしくて、特に人々が上を見上げている写真が印象的でした。 広告は2019年4月30日の平成最後の日に掲載されたものです。

――昔の街頭テレビを見ている人たちの写真を使ってるんですよね。

そうです。今とは景色が違いますよね。今は下を向いてスマホを触っていることが多いと思うので、この光景は今でもとても印象的です。

写真家・田沼武能 氏 撮影の写真を活用したNetflixの新聞広告

――それから、『朝日新聞』のお正月の広告で、テレビ欄を突き破って「Netflixでも行く?」って文字が見えるのがありましたね(笑)。それでテレビ欄の内容も、「全裸監督TV」とか「あいのりチャンネル」ってなっていて、番組内容もすごく凝っていましたね。こういう新聞広告っていうのは、打つと影響は大きかったですか?

何かひとつのことをやったから、何かがすごく伸びるというシンプルな方程式ではないように思いますし、むしろそのように評価できるとどこの企業も嬉しいのではないでしょうか(笑)。

ただ、原点に返れば、動画配信サービスに求められていることは、メンバーがどの作品に興味を持って入ってきていただいたとしても、『好きなときに好きな作品を観られること』だと思います。

Netflixではそのようなサービスを展開し続けて、かつ皆さんが面白いと思っていただける作品を毎日提案する存在になるべきだと思います。ですから、さまざまな作品をご紹介する機会を増やさなければいけないと感じますし、よってこれからも皆さんの意表をつくようなことにチャレンジしていきたいと思います。

もちろん、ひとつひとつの作品、今回のように『呪怨:呪いの家』を知っていただくこと、さらにNetflixで観ることができることを発信することも重要ですが、この作品をきっかけにNetflixへ入ってきてくださった皆さんに、「Netflixいいよね」「Netflix楽しいよね」と思ってもらい、続けてみようかなと思っていただけるかは、最終的には作品のバラエティやジャンルなど、配信する作品がいかに充実していて観たいものかなのだと思います。そのようなことを広告でもお伝えしていきたいです。

――今日のお話をうかがっていても、2015年に、私が感じた全世界の人たちが一斉に同じ作品を自分の国の言葉で見ることが出来るようになるという驚きが、ずっと続いて広がっているんだなと改めて感じました。これからもいろんな作品を見せてくれると思いますから、楽しみにしています。

インタビュー/池ノ辺直子
構成・文 / 吉田伊知郎

作品情報 JYUON ORIGIN Netflixオリジナルシリーズ「呪怨:呪いの家」(全6話)

伝説のホラー映画『呪怨』シリーズが、Netflix Japanが贈る初のホラー作品に進化を遂げ、再び世界を震撼します。実際に起きた忌まわしい出来事に焦点を当てて描き出す『呪怨:呪いの家』。すべての呪いの始まりは、ある一軒の家に端を発していた…。”呪いの家”と関わる人々に降りかかる恐怖の連鎖が生々しく映し出されます。
監督: 三宅唱
出演: 荒川良々、黒島結菜、里々佳、長村航希、岩井堂聖子、井之脇海、テイ龍進、松浦祐也、土村芳、柄本時生、仙道敦子、倉科カナ
脚本: 高橋洋、一瀬隆重
製作総指揮: 山口敏功 (NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)、坂本和隆 (Netflix)
プロデューサー: 一瀬隆重、平田樹彦

Netflixにて全世界独占配信中

Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』 公式サイト: https://www.netflix.com/ju-on_origins

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