深夜、泣き叫ぶ娘の様子を描いた漫画「娘は夜驚症」がSNS上で話題となっています。2歳になった頃、深夜に突然泣き叫ぶようになった娘(長女)。普通の夜泣きとは様子が違うので、心配した両親が調べると、「夜驚症ではないか」と思い当たり…という内容で「うちの子も同じかもしれません」「勉強になります」「終わりを信じて頑張りましょう」などの声が上がっています。作者の男性に聞きました。

あると分かるだけで安心できる

 この漫画を描いたのは、会社員のはるき(ペンネーム)さんです。インスタグラムでは、父親目線の育児漫画を発表しています。

Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。

はるきさん「2019年初めに次女が生まれ、ふと危機感を覚えました。『長女もついこの間までこれくらいの赤ちゃんだったのに、気付けばもう3歳…その間、いろいろなことがあったはずなのに、大きな行事以外あまり記憶がないな。日常に追われていたら、この子もあっという間に大きくなるぞ』と。

そこで、これからの子どもたちとの日々を自分のために記録しておこうと思い立ち、スケッチブックを買ってイラストを描き始めました。だんだん楽しくなってきて、途中でiPadに変わりました」

Q.今回の漫画を描いたきっかけは。

はるきさん「夜驚症はまだ一般的に知れ渡っていない言葉で、いろいろ調べてようやく発見しました。だから、漫画で詳しく紹介した方がいいだろうと。原因不明だと不安ですが、そういう症状があるんだと分かるだけで少し安心できますから」

Q.夜驚症の場面に初めて遭遇したとき、一番心配したことを教えてください。

はるきさん「とにかく、こちらからの声が全く届かないので焦りました。怖い夢でも見ているのなら起こせばいいのですが、呼んでもゆすっても、電気をつけて明るくしても泣き叫ぶばかり。一体、娘の中で何が起きているんだろうと少し怖くなりました」

Q.夜驚症は、どれくらいの頻度で、何分くらい続くのでしょうか。

はるきさん「1週間に1、2回くらいで、時間は30分ほどでしょうか。小一時間くらい続いたときもありました。一晩の間に何度も泣きわめくこともありました。精神的に、とてもきつい時間ですね」

Q.この症状について、どのような方法で調べたのですか。

はるきさん「最初は『夜泣き』で検索したのですが、どうも違う。それからは、しっかり様子を観察するようにして、それを手がかりに調べました。『夜驚症』にたどり着くまでに1カ月以上はかかったように思います。妻にも伝えたところ、『確かにうちの子の症状と似てる』と納得していました」

Q.お医者さんなどに相談はされたのでしょうか。

はるきさん「医者にはかかりませんでした。妻の両親には相談というか、子どもが義父母の家にお泊まりしたとき、やはり夜中に泣き叫んだので知ってもらうことができました」

Q.日中の過ごし方に理由があると気付いたのは、どれくらいたってからですか。

はるきさん「1カ月間くらい様子を見てからだったような気がします。『夜驚症は原因不明』などと書かれていましたが、本当にそうかな?と疑いました。大人も日中、刺激が強い体験をすると興奮してなかなか寝つけないことがありますよね。毎日、めまぐるしく新しいことを吸収している子どもなら、なおさらです。そういう考えで子どもを観察していると、やはり日中の過ごし方と夜の様子には関連性があるなと確信しました」

Q.理由が分かってから、日常生活に変化はあったのでしょうか。

はるきさん「特にありません。夜驚症が出ないようにするには、日中なるべく静かに過ごして強い刺激を与えない方がいいと分かりましたが、思いっきり楽しんだり、驚いたりする経験をセーブするのは子どもにとってよくないな、と考えたからです。娘には好きなだけ遊んでもらって、私たちは『あ、今夜は荒れるかもな』と覚悟しておくだけでした」

Q.今は落ち着いているということですが、出なくなるまでの経緯は。

はるきさん「何かきっかけがあったというものではなく、本当に成長とともに徐々に回数が減っていった感じです。気付いたら、最近なくなったなみたいな」

Q.夜驚症に悩むママやパパに、アドバイスはありますか。

はるきさん「わが子が泣き叫ぶ姿を見るのは本当にしんどいと思いますが、成長とともに落ち着くので大丈夫です。夜驚症は全然珍しいことではなく、同じ悩みを抱えている人は思っている以上にたくさんいますということを伝えたいです」

Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。

はるきさん「『うちの子も同じです』『ようやく分かりました』という声が非常に多かったです。皆さん、『自分の子は大丈夫だろうか?』と心配していて、この漫画を見て少し安心したようです。そういうコメントを頂いてうれしかったです。

『昔はうちの子もそうでした。その娘は高3になりますが、明るくて優しくてとてもいい子に成長してますよ』という先輩ママさんの頼もしいコメントもあり、いろいろな世代のパパママとつながれる心強さのようなものを感じました」

Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。

はるきさん「子どもたちを中心に家族の日常を描いていきたいです。それがそのまま、娘たちの成長の記録になりますし、娘たちを見ていると描くネタには困りませんから(笑)育児の楽しさ、つらさ、驚き、喜びなどを、わが家と同じく子育て真っ最中のママさん、パパさんにお届けしたいです。

子育ては毎日が待ったなしだから、ママもパパもなかなか一歩引いた目線で見られない。今が大変でつらいと、それで頭がいっぱいになっちゃう。でも、少し先輩のママパパからすると、『そんな時期もあったよね。大丈夫、そのうち楽になるから』という程度のことだったりするわけです。

漫画でわが家の日常をお届けすることで、『4歳になったら、そんなふうに変わるんだ』『ああ、うちの子も少し前はそんなかわいい時代があったよね』と少し気楽になったり、日常のささいな幸せを思い出したりしてもらえたらいいですね」