新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレビ各局では、出演者を自宅や別室から中継する「リモート出演」が増えました。

 そんな中、NHKでは、スタッフと演者が直接対面せず、テレワークで行うドラマ企画「今だから、新作ドラマ作ってみました」の制作を発表。打ち合わせはビデオ会議を利用する他、リハーサル、本番収録はスマートフォンなどで撮影するという斬新な内容です。

 各局のバラエティー番組では、スタジオ収録やロケの中止で再放送や総集編を余儀なくされていますが、日本テレビ系バラエティーでは、リモート出演を逆手に取った演出が、「新しい挑戦しているけど普段と変わらず面白い」「国難時に一番知恵を絞っているのが日テレ」などとネット上で評判です。

 実際、4月第4週(4月20日〜26日)の週間世帯視聴率と個人視聴率で「3冠王」を獲得しています。

 ここでは、LINE風コメント、リモート中継のネット配信、CG技術の活用など、随所に見られる日テレ系バラエティーのさまざまな工夫を紹介していきます。

「イッテQ!」グループLINE風のやりとりが称賛

 4月19日に放送されたバラエティー「世界の果てまでイッテQ! 春の2時間SP」では、LINEのグループトークを意識した演出が話題になりました。

 スタジオ収録は、司会のウッチャンナンチャン・内村光良さんが1人で参加。冒頭、「イッテQ!を見て和んでくれたら幸いです。今は大変な時期ですが、忍耐強く、楽しさを見いだしていただければ。何とかこの局面を乗り切りましょう」とあいさつしました。

 一方、他のレギュラー陣は電話出演。トークの模様は単にテロップにするのではなく、LINEのグループトーク画面のように、顔写真のアイコンと吹き出しが画面下から次々と表示されました。

 例えば、イモトアヤコさんがアマゾンへロケに行ってきた旨を説明する際、途中、なぜか吹き出してしまったことに共演者から、「何笑ってんの?」「はしゃいでんの?」と質問が。

「リビングで収録しているので、ふわふわしちゃいますね。(同番組ディレクターの)主人の石崎がいるんですけど」と答えたイモトさんですが、森三中・村上知子さんから、「もしかしていちゃついてんの?」、出川哲朗さんからも「音だけ聞かせて」などとちゃかされる展開に。

 この会話の様子を笑いながら見ていた内村さんですが、最後は「だから深夜ラジオじゃねえって言ってるだろ」とツッコミを入れ、オチをつけたのでした。

 スタジオにレギュラー陣が集合できない緊急事態の中、LINE風の演出によりトークに臨場感が生まれ、長年のチームワークの良さが垣間見えた瞬間でもありました。

 ネット上では「リモートイッテQ最高 在宅の声だけでも面白い」「毎回LINE形式で深夜のラジオ企画入れてほしい」など称賛の声が相次ぎました。今後、新たな目玉企画が誕生するかもしれません。

「有吉の壁」は芸人の自宅からリモート出演

 お笑いタレントの有吉弘行さんがMCを務めるバラエティー「有吉の壁」では、今までにない取り組みにチャレンジしています。

 4月22日には「スターのおもしろ自宅公開選手権」と題して、複数の芸人が自宅からリモート出演し、有吉さんがモニターで監視しながら、面白ければ合格という企画が放送されました。

 お笑いタレント・とにかく明るい安村さんは、俳優・原田龍二さんのモノマネで上半身裸になってシャンプーをしながら、水を3回かぶるというネタを披露。

 有吉さんは大笑いし、合格を出した後、安村さんに「(自宅なのに)奥さんに怒られませんか?」と問うと、安村さんは「ナイショにしてます」と回答しました。

 これで出番は終わったかのように見えましたが、その後も中継は続いており、水浸しになった自宅を慌てて掃除する安村さんの姿がモニターに映し出されていました。有吉さんが再び呼び掛けると、安村さんは焦った様子で転倒しつつも、「何もやってませんよ」とシラを切り、笑いを誘ったのです。

 有吉さんは一連のリモート企画に「意外と面白いね」と手応えをつかんだ様子。

 芸人さんの自宅を複数のモニターで監視し、トークを振られたときのリアクションを試す場面は、個人的に初めて見ました。

 さらに放送終了後、動画配信サービス「Hulu」では、同番組の出演芸人たちが自宅から反省会の模様をライブ配信し、番組公式YouTubeチャンネルでは、オリジナル動画を公開するなどネット展開につなげています。

 同番組の総合演出・橋本和明さんは「今、世の中の空気が沈んでいるからこそ、笑いを提供してテレビにできることもある」「放送後すぐに芸人の皆さんが自宅で生反省会をできるのは、まさに今の時代ならではだと思います(中略)あらゆる意味で野心的な試みになれば」と意欲を語っています。

 さまざまなメディアを通してお笑いを発信し、ひとときでも和んでほしいという熱量が伝わってきます。

過去番組の知恵を応用した「笑神様は突然に…」

 4月23日に放送されたバラエティー「笑神様は突然に…春の2時間SP」では、CG技術を応用した番組制作が見られました。

 テレビ画面上ではCG合成された背景と共に、MCの内村光良さん、宮川大輔さん、お笑いコンビ・千鳥の4人が近い位置で映っていましたが、実際のスタジオでは、ソーシャルディスタンスが保たれた状態での収録でした。

 宮川さんがいつもと違う収録現場に、「やっぱりやりにくい。スタッフさんの笑いもゼロですよ」と漏らす一幕もありましたが、最近割とよく見るCGを使用した番組の中でも、一工夫を加え、今までと違和感のないように見せるアイデアです。

 この他、日本テレビ系バラエティーでは、「人生が変わる1分間の深イイ話」「ザ! 世界仰天ニュース」「幸せ! ボンビーガール」「1億人の大質問!? 笑ってコラえて!」「笑点」など数多くの番組で新作が放送されています。

 4月30日放送の「ぐるぐるナインティナイン 2時間スペシャル」は、人気企画「ゴチになります!」が初のオンライン収録で放送。出演者は遠隔で参加し、デリバリーやテークアウトできる料理の値段を予想するという企画にチャレンジしました。

 再放送や総集編に頼らず、スタッフや演者の安全、健康に最大限配慮しつつ新たな番組を制作する気概を感じます。コロナ禍で閉塞(へいそく)感が漂う今だからこそ、視聴者に娯楽を提供し、楽しんでほしいという思いがあるのでしょう。今後も注目です。