新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、3月初めから始まった小中高校の休校。宿題や課題も少なく、外出自粛の呼び掛けもあって家で過ごす時間が長くなったため、スマホによるSNSやオンラインゲームを子どもが長時間利用するようになり、依存状態になることが懸念されています。

 こうした事態に、親はどのように対応すればよいのでしょうか。青少年のインターネット問題に詳しい、作家でジャーナリストの石川結貴さんが解説します。

12時間以上、オンラインゲームに没頭

 休校措置以降の、子どもたちのSNSやオンラインゲームの状況を取材したところ、やはり、休校をきっかけに依存状態になる子どもが見られました。

 神奈川県在住の中学2年の男子は、推理系のオンラインゲームにはまってしまい、睡眠時間を削って毎日12時間以上も没頭しています。休校中は学校の課題も少なく、復習や漢字の書き取りなど単調な学習は「つまらない」と言います。通っている塾ではオンライン学習がありますが、与えられる課題をこなすだけで質問などはできず、「とにかく時間を持て余す」と悩んでいました。

 この男子生徒はもともと真面目で成績もよく、ゲームは友達との付き合いで楽しむ程度でした。それが休校中は1日が長いだけではなく、勉強もうまく進まないという不安や焦りが募っていました。そうした中、SNSのゲーム関連情報で「頭脳明晰(めいせき)なメンバー求む」という募集告知を見たそうです。

 興味を持ち、実際に始めてみると、他のメンバーとの心理的な駆け引きやチャットによるコミュニケーションが予想以上に楽しいものでした。そのゲームには「ボイスチャット」という機能もあり、プレーヤー同士が「声で会話」できます。

 1人で家にいると誰とも話せなかったのが、ゲームを始めてからはメンバー同士でいろいろなことを話し合うことができ、ストレス解消にもなるそうです。気付けば深夜までスマホを手放せなくなりました。当然、睡眠不足になり、昼間は寝て、食事もまともに取らない日もあるという状態です。

先行きが見えない不安

 東京都に住む高校1年の女子は、3月の突然の休校で中学校の卒業式が中止に。入学予定の都立高校もゴールデンウイーク明けまで休校で、毎日7、8時間はスマホに熱中。中学時代の友達とビデオチャットで延々おしゃべりしたり、音楽系やお笑い系のライブ動画をYouTubeで視聴したりするなど、気付くと「イッキ見」で朝になっていることもあるそうです。

 彼女は「何かしていないと不安でたまらない」と言います。入学予定の高校からは、どんな学習が行われるのか、クラス編成や部活動はどうなるのか、ほとんど情報がありません。「先が見えない怖さでストレスがたまる」「友達と絡んで(つきあって)いないと孤独に耐えられない」「外にも出掛けられず、SNSやYouTubeで笑えるネタを見つけないと窒息しそう」だと言います。

 この2人に限らず、休校中の子どもたちが利用するSNSやゲーム、動画視聴は、現状へのストレスや先行きが見えない不安が関連しています。そして、もし子どもがスマホ漬けで依存状態になった場合、睡眠不足による健康障害、長時間スマホを使い続けることから起きる視力低下や肩こりなどの身体症状、イライラや不安感などの精神症状が出現すると多くの専門家が指摘しています。

 怖いところは「気付かないうちに進行し、一度依存状態に陥るとそう簡単に回復しない」という点にあります。スマホを使い過ぎると、光や音、映像、他者とのコミュニケーションなどで刺激を受けることが常態化します。やがて、より強い刺激がないと満足できなくなり、ますますのめり込むという悪循環が生じます。

スマホののぞき見はNG

 では、どのように対応すればよいのでしょうか。まずは子どもたちの不安な気持ちをしっかりと聞き、休校中に何ができるか、どうすればいいのかを親子できちんと話し合ってください。その上で、3つの方法を提案したいと思います。

(1)家庭用の「時間割」を作る

 学校には時間割があります。同じように家庭でも、「午前中の○時〜○時までは□□をする」というように、子どものスケジュールを決めます。学習に限らず、体操、読書などを入れてもよいでしょう。学校で給食や掃除の時間があるのと同様に「昼食を作る」「掃除をする」など具体的な行動スケジュールを作成するとよいでしょう。

(2)「目標設定」を行う

 例えば、「ペットの世話をする」「植物の種を植えて育てる」などです。残念ながら、今は以前よりも外出を控えないといけないため、目標にする項目も限られてしまうかもしれません。それでも、子どもの興味や関心に合わせて調べものをさせるとか、リポートを作らせるとか、何らかの目標を設定して実行できるよう励ましましょう。

(3)保護者による子どものスマホ管理(ペアレンタルコントロール)を行う

 現在、ほとんどのスマホは端末で「使用制限」の機能を設定することができます。例えば、iPhoneには「スクリーンタイム」という機能が備わっています。スマホの画面を休止する時間や、通信・通話の制限、使用するアプリの選択、ウェブサイトへのアクセス制限などを自由に設定することができます。

「1日の利用を8時間に制限したい」などの場合は、スクリーンタイムであらかじめ使用時間を設定、決められた時間になると自動的に使えなくなります。設定や解除には暗証番号が必要なため、この番号を保護者が管理して子どもに教えないようにします。アンドロイドのスマホは使用制限用のアプリを使えば、同様の設定をすることができます。

 ただし、ペアレンタルコントロールをする際は、必ず子どもと話し合いましょう。利用状況やどうしても使いたい時間、必要なアプリなどを聞き出し、子どもが納得した上で設定してください。

 一方で、やってはいけないことは、子どものスマホをこっそりのぞき見することです。不安なのは分かりますが、無断でLINEのトークを見たり、検索履歴や着信履歴をチェックしたりするのは得策とはいえません。仮に怪しい履歴を見つけたとしても、子どもとの信頼関係はなくなります。子どもは親に隠れて利用するようになり、何か困ったことが起きても親に相談できなくなってしまいます。

 親が一方的にルールを決める、強制的にスマホを取り上げるといった行為もやめた方がいいでしょう。子どもにとって、SNSやオンラインゲームは「居場所」です。それらを通じて誰かと交流したり、悩みを共有したりするのです。学校や公園、自由な外出の機会を失っている子どもの心情を理解せず、「スマホばっかりやって」と非難しても逆効果です。

 また、留守番をする子どもが心配だからと仕事中、あるいは外出中の親が頻繁にLINEを送って様子の確認をするのも避けましょう。せっかく子どもが自宅学習していても、親からのLINEをきっかけに集中できなくなり、そのまま友達とのグループLINEやゲームを始めてしまうこともあります。親の行動がかえって、子どものスマホ漬けを招きかねないという点にも注意が必要でしょう。