本格的なゴールデンウイーク(GW)を前に、地方の知事らが新型コロナウイルスの感染者が多い首都圏などからの帰省や旅行を控えるよう声を上げています。その中でも、危機が切迫しているのは、沖縄県ではないかと思います。

 玉城デニー知事が、大型連休中の沖縄への航空予約が6万人いるとして旅行のキャンセルを呼び掛けたことについて、赤羽一嘉・国土交通相は4月28日の閣議後会見で、県外から沖縄への予約者は27日時点で約1万5000人になったと説明しました。

 しかし、1万5000人は日本武道館の満席時よりも多い人数であり、決して少なくはありません。この状態で沖縄県に渡航して何らかの事態が生じた場合、その責任の所在がどこにあるのか考えてみたいと思います。

不法行為にあたる可能性

 まず、旅行者の問題ばかりがクローズアップされますが、実は、ホテルは早い段階から予約を取り始めていました。そう考えれば、旅行者とホテル双方に問題があると考えられます。

 まず、法律的にはどのような罰則の可能性があるのでしょうか。知人の法律家に取材を試みたところ、匿名を条件に回答を頂きました。まず、指摘したのは「不法行為」にあたる可能性が高いとの考え方です。

 自分が感染しているかどうかは分かりません。無症状でも軽症でも、感染していて人にうつす可能性もあるということは周知の事実です。つまり、自分が感染源である可能性は否定できません。次に、予見可能性があるかという話になりますが、感染についてのはっきりとした自覚がなかったとしても、十分、故意・過失があるということになります。

 現状、どこも調子が悪くないような人であっても、どこで感染するか、いつ感染するか分かりません。沖縄に入ってその後で感染していることが判明した場合、その人が感染源だったと分かれば、その人に対する、不法行為に基づく損害賠償請求というのはありうるということです。

 ホテルなどでは、一人でも感染者が出た後は、すぐにホテルを閉鎖して消毒するような対処をしていますから、ホテル自体の損害もあるでしょうし、その他の因果関係があるようなところに対しては、損害賠償請求が認められる可能性は十分あるとの見解です。

 沖縄を訪問した時点では「感染を疑わせる体調不良はなかった」という場合はどうなるのでしょうか。体調不良がある場合のみ、感染の恐れがあるわけではないことは、周知の事実です。

 沖縄に渡航後、感染が判明した芸能人がいますが、宿泊した那覇市内のホテルは臨時休館に追い込まれました。宿泊した時点では、感染を知らなかったとはいえ、自粛を呼び掛けられている最中に起きた今回の騒動です。

 不法行為の成立のためにはいくつかの条件がありますが、十分な対応を取っていたにもかかわらず、感染していて感染源になってしまったということを示すことができなければ、過失があった、つまり、予見すべきであって、避けることできたと言われるでしょう。十分な対応を取らず、沖縄に入り、自身が感染源となってしまったということであれば、過失と判断される可能性は否定できません。

どのような対策を講じるべきか

 対策としては、那覇空港で身分証明書を確認して、その後、追跡できるようにすることなどが考えられます。損害を発生させたことが後で判明した場合には、その人物に対してその後、沖縄県、その他の関係各所から損害賠償請求が可能になるからです。

 しかし、那覇空港で身分証を確認することが可能かどうか分かりませんので、あくまでも可能性として示唆するにとどめておきます。

 また、時間的に間に合わないようであれば、沖縄に到着後、ホテルで2週間自主隔離をしてから、日本中どこでも同じような方法で皆がやっているように、自粛をしながら過ごしてもらう、というような対応を取ってもらう必要はあるように思います。

 そこまでやっても感染したということであれば、仕方ないという話になり、「そこまでやりました」ということが証明できるのであれば、過失ではなくなります。

 沖縄県の感染者数は1桁台/日で推移し安定しているといえます。しかし、東京などと比較すると、専門的な医療機関や設備が少なく余裕があるとはいえません。

 飛行機や空港でも、移動の途中で感染する可能性も高いのです。日常の暮らしとは違い、不特定多数の人たちとの接点が多くなります。沖縄で最初に感染したケースは、ダイヤモンドプリンセスから降りてきた感染者を乗せた、タクシーの運転手だったことを忘れてはいけません。

 3月の連休では、警戒が緩んで都道府県をまたいだ人の流れにより、都内を中心に感染が地方に拡大したことがあります。いったん感染が波及すると、一気に拡大する危険性があります。沖縄行きを予定している人は、自らの行動が「感染拡大のリスク」になりうることを十分に理解しなければいけません。