新型コロナウイルスの感染拡大により、全国の多くの学校が休校となりました。その中で特に気になるのが、高校や大学の学費です。授業日数が減り学校の施設が利用できないにもかかわらず、満額請求されるケースが多く、ネット上では支払いの猶予を求める声のほか、「おかしい」「授業料安くならないの?」「施設費は減額すべき」などの声が寄せられています。

 中には、在学生向けに現金の一律給付を決めた大学もありますが、まだ少数であり、アルバイト先の休業で収入が途絶えた1人暮らしの大学生は生活が困窮しつつあります。

 学生が授業料や施設料の減額、支払いの延期を学校側に求めることはできるのでしょうか。消費生活アドバイザーの池見浩さんに聞きました。

契約内容を確認し、学校と相談を

Q.休校により、授業日数が減るほか、学校内の施設の利用ができません。学生が学費や設備費などの減額、一部返金を学校側に求めることは可能なのでしょうか。

池見さん「減額や一部返金、支払いの延期は法律上、契約の変更になります。基本的には在学契約の条項に従う形になるため、契約内容の確認が必要です。契約にない変更や要求は、当事者同士で話し合って決めることになります。ただし、天変地異や自然災害、その他社会情勢により休校せざるを得ない場合、学校側に非はなく、授業料の減額(=損失)を負担する責任もありません。

一般的に、授業料は学生が大学、高校(以下、学校)から受ける教育サービスなどの対価、施設料は学校が教育サービスを提供するのに必要な施設、設備の維持管理費と考えられます。授業料が例えば、塾の夏期講座などによくある『各講座の講座数×単価』といった料金体系であれば、塾側の有責事由で講座が実施されない場合に債務不履行で契約を解除し、未実施講座の返金を請求することも可能です。

一方、学校には講座単価や日割りなどの概念がありません。半年間や1年間など、その期間全体として包括的な教育サービスを提供するため、期間単位で計算します。よって、在学契約に特約がない限り、その期間に少しでもサービスを受けると、返金請求は難しい可能性があります。特に、オンライン授業が実施されている場合、サービスの提供が行われていますので、学校側の債務不履行にはならないと考えられます。

また、仮に完全に休校になった場合でも、先述したように『その他社会情勢により休校せざるを得ない場合』と見なされる可能性があり、返金請求は難しいかもしれません。なお、施設料も考え方は似ています。サービス提供だけでなく、準備段階にも固定費や光熱費、通信費などはかかります。そのため、授業のコマ数に関係なく、施設費が別途請求されます」

Q.それでは、支払期限の延長を求めることはできるのでしょうか。

池見さん「在学契約条項に延長規定があれば可能です。規定がない場合は改めて、個別に学校側と相談し、延長(=契約変更)の合意を得ることができれば可能です」

Q.大学生の中には、アルバイトで学費や生活費を賄っている人もおり、勤務先が休業で収入が途絶えた場合、生活を続けるのが難しくなります。支援制度はあるのでしょうか。

池見さん「今回の新型コロナウイルスの影響で家計が厳しくなり、学費の支払いが困難な場合、一定の要件を満たせば奨学金の給付が得られる可能性があります。独立行政法人日本学生支援機構のホームページ(「新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した方への支援」)に、給付条件や申請方法などが記載されていますので、参照してください。

大学や自治体の行政機関のホームページや窓口でも、支援や給付金などの受付を行っています。必ず公的機関の正しい情報を確認するようにしてください。在学契約の契約内容の疑問や不安、トラブルがある場合、インターネットなどで調べる前にまずは消費生活センターへご相談ください。スマートフォンで188番(消費者ホットライン)にかけるとつながります」

Q.もともと、学費の支払いに関する相談は多いのでしょうか。

池見さん「多くはないものの毎年、一定数の相談が寄せられています。新型コロナウイルスの影響で、今後はさらに相談が増えると予想されます。

なお、大学の話からそれますが、消費生活センターでは、特定商取引法で消費者との契約ルールが規制されている学習塾や英会話教室の相談も日々受けています。近年、利用が増加しているオンライン形式の学習塾、英会話教室は、外出自粛の影響で需要の増加が見込まれ、解約や返金などの相談が増加する可能性はあります。

契約前に、サービスの内容や利用規約、解約時のルールなどを必ず確認し、理解できない、納得がいかない場合は契約しないよう注意してください」