住民税の税額通知書が6月に届き、「けっこうな金額だなあ」と思った人もいるかと思います。特に、今年は新型コロナウイルスの影響による休業や失業、収入減などで、住民税を例年以上に負担に感じる人が多いかもしれません。住民税の仕組みや、収入減で負担を感じる人はどうすればよいか、市区町村によってどのくらい違うのかなどを、ファイナンシャルプランナーの長尾真一さんに聞きました。

均等割と所得割で決定

Q.そもそもの住民税の意味と税額の決め方を教えてください。

長尾さん「個人住民税は都道府県民税と市町村民税(東京都23区は特別区民税)の2つを合わせたもので、1月1日時点の居住地である自治体に納める税金です。住民税は自治体の公共サービスやインフラ整備等に使われます。住民税の税額の決め方には『均等割』『所得割』があり、その2つを合算して納税します。

均等割は原則、全ての住民が均等に負担するもので、標準税率は市町村民税が3500円、都道府県民税が1500円です。一方の所得割は、所得に応じて負担するもので、前年1月1日〜12月31日の課税所得に税率10%(標準税率は市町村民税6%、都道府県民税4%、ただし、政令指定都市は市民税8%、道府県民税2%)を掛けて算出します。従って、所得が多い人ほど税額も大きくなります。

均等割も所得割も、自治体によって標準税率とは若干異なる場合があります」

Q.なぜ、6月に通知が来るのでしょうか。

長尾さん「個人住民税は前年(1〜12月)の所得をもとに税額が決定し、納付期間は6月〜翌年5月になります。なぜなら、前年所得は2月16日〜3月15日(今年は新型コロナで延長)に行われる確定申告によって確認され、そのデータが税務署から市区町村に送られて住民税額を計算するため、どうしてもタイムラグが生じるのです。

なお、サラリーマンは原則、『特別徴収』により、会社が毎月の給与から天引きして、納税者(従業員)に代わって住民税を納めます。個人事業主など『普通徴収』の場合は、5月から6月ごろに届く納税通知書に従って、4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて納付します」

Q.コロナの影響による休業や失業などで、前年に比べて大きく収入が減っている場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

長尾さん「新型コロナの影響で、2020年2月以降の任意の期間(1カ月以上)において、収入が前年同期に比べておおむね20%以上減少し、納税が困難になった場合は、納期限から1年間、納税の猶予を受けることができます。猶予を受けるには、申請書と収入や現預金の状況が分かる資料等の提出が必要になります。市区町村の担当課に確認してみましょう」

Q.新型コロナ以外でも大きく変動する場合があるのでしょうか。その場合の対応についても教えてください。

長尾さん「住民税は前年所得をもとに納税するため、収入が大幅に下がる場合や退職する場合は注意が必要です。なぜなら、収入が下がったり、退職して収入がなくなったりしても、前年の所得が多ければ、それに基づいて住民税を納めなければいけないからです。

従って、副業や臨時ボーナスなどで一時的に収入が増えた場合や、定年退職、脱サラ起業、結婚・出産などで退職する場合は、計画的に翌年の住民税に備えておくことが大切です。配偶者や扶養親族が控除対象から外れる場合も、翌年の住民税が上がる要因になるので注意が必要です」

Q.住民税は地域によって違うと聞いたことがあります。高い自治体と低い自治体で、どのくらい違うのでしょうか。

長尾さん「均等割の標準税率は市町村民税が3500円、都道府県民税が1500円ですが、自治体によって『○○環境税』といった名目で数百円〜千数百円ほど上乗せされる場合があります。

所得割の標準税率は、市町村民税と都道府県民税を合わせると10%ですが、自治体によって異なる場合があります。かつて、財政破綻した北海道夕張市は2007年度から2016年度まで超過税率を採用し、市民税が標準税率よりも0.5%高い6.5%になっていましたし、兵庫県豊岡市は現在も6.1%になっています。神奈川県は水源環境の保全・再生のために県民税が0.025%上乗せされています。一方で、政令指定都市である名古屋市は標準税率の8%よりも0.3%低い7.7%としています。

仮に、各種控除後の課税所得が200万円の人であれば、0.3%は6000円、課税所得が300万円であれば、9000円になりますので、住民税額は住む自治体によって数千円以上違う場合があります」

Q.引っ越した時期によっては、2つの自治体から請求が来ることもあるのでしょうか。

長尾さん「住民税は1月1日時点で住民票のある自治体から課税されることになっているので、2つの自治体に納税することはありません。例えば、3月までA市に住んでいた人が4月にB市に引っ越したとしても、納税通知書は1月1日時点で住所のあったA市から届きます」

Q.住民税の安い自治体を探して引っ越すというのは、生活防衛策としてアリでしょうか。

長尾さん「確かに、住む自治体によって住民税の負担は違いますが、多くの場合、その差は数千円程度です。それよりも重要なのは、自治体がどのような住民サービスを提供してくれるかということです。医療費補助や子育て支援など、住民サービスの制度も自治体によってさまざまです。自分が住民税を納めている自治体が、納得のいく住民サービスを提供してくれているのかを確認することが大切です」