梅雨の時季は「梅干し」を作る季節でもあります。保存食として親しまれている梅干しですが、健康志向に合わせた減塩タイプや酸味の少ない商品も増えており、梅雨や夏の時季にはカビが生えてしまうことも。今回は、梅干しを長く楽しむための注意点や減塩梅干しの見分け方をお伝えしましょう。

梅干しの栄養

 日本人は昔から、疲労回復、防腐作用、風邪予防などを期待して、梅干しを健康食品として利用してきました。平安時代には薬として、戦国時代には、梅干しと米の粉、氷砂糖を練った「梅干丸(うめぼしがん)」という、兵士の保存食として重宝されていました。

 梅干しの特徴である酸味は、梅の果実に多く含まれるクエン酸です。クエン酸は、疲労回復、エネルギー代謝に関わり、疲労の原因物質である乳酸の生成を抑制する働きがあります。また、梅の甘い匂いに含まれる「バニリン」という成分は、ダイエット効果があると期待されています。完熟梅に多く含まれていますので、梅を選ぶときには成熟した完熟梅を選ぶとよいでしょう。

防腐作用と「本来の梅干し」

 梅干しの香りに含まれる「安息香酸」という物質は、カビなどの繁殖を抑える抗菌効果を持っていますし、クエン酸も同様の効果があります。おにぎりやお弁当の白いご飯に梅干しを入れるのは、この抗菌効果を期待してのことです。

 また、梅干しは塩分を多く含むため、汗を多くかく夏の暑い時期は熱中症の予防にも役立ちますし、塩分が多いので、さらなる防腐効果も期待できます。ただし、注意点があります。一口に「梅干し」といっても、塩分濃度やその他の成分が大きく違う場合があるからです。

 梅干しの塩分は、一般的な「塩漬け」をしたもので約20%含まれています。本来の梅干しは青梅を干して、塩で漬けたものです。そこに、シソを加えたものも梅干しと呼ばれます。シンプルな作り方で「白干し梅干し」「昔ながらの梅干し」ともいわれますが、保存食として食べられてきたもので、塩分濃度が高いのが特徴です。

 こうした塩分の濃い梅干しは、梅干し自体も長期間、常温で保存できますし、おにぎりやお弁当の防腐効果も期待できます。また、酸味も強いものが多く、クエン酸も豊富です。

 一方、現代では、減塩が好まれ、塩分を取り過ぎないようにといわれていますので、塩で漬けた梅を一度塩抜きして、調味液に漬け込んだ「調味梅干し」が多く市販されています。文部科学省が公表している日本食品標準成分表では「調味梅干し」の塩分は7.6%とされており、塩分濃度が高いものでも17%程度です。

 また、現代人の味覚の好みもあり、蜂蜜やかつお節などで味付けして、食べやすくしているのですが、酸っぱさも控えめになり、クエン酸も少なくなっています。

 こうした「調味梅干し」は、塩分やクエン酸の効果が薄くなるため、おにぎりやお弁当の防腐効果も過大な期待は禁物です。梅干し自体も、開封後は冷蔵庫に保管しておきましょう。先ほどの昔ながらの梅干しと同じ感覚で常温保存していると、梅の実の表面にカビが生えてしまう可能性もあります。

 塩分がどの程度かは、パッケージで確認できます。調味梅干し、つまり、減塩梅干しだったら、保存方法に注意が必要です。

塩分の取り過ぎが心配だったら?

 梅干しは本来、保存食であり、塩分がきちんと効いたものであれば、常温で長期保存できます。塩分の取り過ぎが心配であれば、塩分約20%の白干し梅干しを作り、食べる前にお湯を入れて塩抜きすることで減塩することもできます。ただし、塩抜きした梅干しは冷蔵庫で保管し、早めに食べるようにしましょう。

 最初に述べたように、カビが気になる梅雨の時季は、梅干しを作る時季でもあります。カビが発生しないよう、衛生管理に気を付けるとともに、塩分のパーセンテージも注意してみましょう。

 ちなみに、7月30日は「梅干の日」で、和歌山県みなべ町の農園が提唱した記念日です。「梅干しを食べると難が去る」と昔から言われており、なん(7)がさ(3)る(0)」の語呂合わせなどから付けたそうです。

 食べ過ぎると塩分が気になりますが、上手に梅干しを食生活に取り入れ、健康な体づくりを目指しましょう。