新型コロナウイルス感染拡大防止のための「新しい生活様式」が発表され、その内容に、前向きに取り組んでいらっしゃる皆さまに敬服の日々ですが、一方で、今後への戸惑いや不安を隠せない人からの相談もあります。

「新生活様式」はビジネスシーンにも影響します。例えば、今まで「名刺はその人の分身です。丁重に取り扱いましょう」とされていた名刺交換は、「オンラインで行うように」とのお達しです。名刺は必ず名刺入れに入れ、胸の位置から下では持たないとか、両手で持って両手で交換しましょうとか、マナーといわれる型のポイントはたくさんありました。

 それがどうでしょうか。今後、名刺交換をオンラインで行うとなれば、まず、名刺入れをわざわざ購入しなくてもよくなります。また、両手で取り扱うこともせず、相手の名刺よりも下の位置から出すなどの気遣いも不要です。頂いた名刺に、日付やお相手の特徴を鉛筆で書き込んでおくということもなくなるわけです。

実物の名刺が欲しければ…?

「オンライン名刺交換って、どうするんですか?」というご相談も多々受けます。現在はオンライン名刺交換用アプリなども存在し、そのやり方はさまざまですが、メールなどで会う約束をする際、事前に名刺データを添付し、実際会った際に名刺交換をしないというやり方もあります。

 とはいえ、実際に会ったときには、実物の名刺を頂きたいという気持ちもありますね。名刺はそれをきっかけに、良好なコミュニケーションのきっかけにもなるツールです。

 現在、店舗や各種窓口などで対面での金銭の授受を行う場合、手と手ではなくトレーを介してのやりとりとなっています。名刺も直接の手渡しを避け、トレーにのせてお渡しする方法もあってもよいと思います。その際、平らなトレーでは、相手さまが名刺を取りにくい場合もあるので、段差のあるトレーにのせ、取りやすいように先が少しはみ出るようにしておくことは、相手に対する配慮からなるマナーの型といえるでしょう。

 もちろん、「これからは絶対的にこうしなさい」と言っているわけではありません。こういうシーンもあり得ますね、ということです。

 ビジネスマナーの型はもともと、その相手や立場などのTPPPO(Time=時、Place=場所、Person=人・相手、Position=立場、Occasion=場合)に応じて変わるもので、決まりごとではありません。同時に、時代や環境に応じてスタンダードな型は変化せざるを得ず、新たな型が誕生します。

 そのため、「創作マナー」などとネットでたたかれている現実もありますが、なぜそのような型になるのか納得できる理由があれば、今後さらに、さまざまなマナーの型が誕生することでしょう。

 特にビジネスマナーについては、各企業によって働き方のスタイルはそれぞれなので、一概に何がよい悪いとは言えないのが現状です。今後のビジネスマナーは、各社がそれぞれのルールやマナーを『考え』『創造し』、それを『行う』という、2つの『こうどう力(考動と行動)』がビジネスマナー力、つまり、人財力につながっていくでしょう。

 マナーは決まりごとではありません。マナーはしきたりや慣習とは違います。しかし、変わらないのはマナーの「心」です。マナーの心とは、相手の立場に立つ思いやり、配慮のこと。その「相手」とは、時代であったり、会社やお客さま、同僚かもしれません。

 世界各国、それぞれにマナーの型は異なりますが、その根底に流れる相手への気遣い、思いやりの心は世界共通です。世界共通に行われる国際儀礼(プロトコル)とマナーは同じではありません。儀礼と礼儀は異なるものです。

「新生活様式」に伴い、今後、新しいビジネスマナーの型も出現してくることでしょう。それを「創作マナー」と言われても、大切なのは、相手への配慮からなる型であること。その本質を押さえた「新ビジネスマナー」を皆さんと共に、お互いがウイン、ハッピーになるマナーの型を皆さんと共につくり上げていける時代の到来だと感じます。

 お互いを思いやる、優しさあふれるビジネスマナーが増え、皆さまが心地よくお仕事ができる環境づくりのためのビジネスマナーであれば本望です。