寒さが一段と厳しくなりました。冬は空気が乾燥するため、肌荒れを起こす人が増えたり、風邪をひきやすくなったりします。そこで、室内の湿度を上げるために「加湿器」を使う人もいますが、ネット上では「洗浄が面倒」「効果が感じられない」といった声もあります。

 加湿器はどのように使うのが効果的なのでしょうか。加湿器の適切な使い方や手入れの方法について、ダイニチ工業(新潟市南区)広報室の中川花美さんに聞きました。

直接床に置かず、窓から離す

Q.部屋が乾燥している場合や、逆に部屋を加湿し過ぎた場合、体や環境にどのような問題が生じるのでしょうか。

中川さん「部屋が乾燥している場合、のどや鼻の粘膜が乾きやすくなります。その影響で、粘膜にある異物を排除する細かい毛の動きが鈍くなり、細菌やウイルスを排除しにくくなります。逆に部屋を加湿し過ぎると、カビやダニが発生する原因となります。それらを吸い込むことなどで、健康面に影響が出る可能性があります」

Q.加湿器を置く際の注意点について教えてください。

中川さん「置き場所については加湿方式によって異なる場合もあるため、当社のハイブリッド式(水を含んだフィルターに風、または温風を当てて加湿する方式)の加湿器を例に説明します。

(1)エアコンの風が直接当たらない場所に置く
エアコンの温風が本体に直接当たると、加湿器のセンサーが誤作動する場合があります。

(2)加湿した空気をエアコンの風が運んでくれる位置に置く
本体がエアコンの風に直接当たらず、エアコンの温風が加湿した空気を遠くまで運んでくれる場所に置くのが最適です。

(3)直接床に置かない
小型の加湿器(当社の場合、1時間当たりの加湿量が860ミリリットルまでの機種)は床ではなく、テーブルや家具の上などに置いてください。暖房中は床付近が比較的低温になり、加湿器のセンサーが湿度を高めに判定する場合があるためです。そうすると、加湿器が十分な加湿をしていると誤解し、加湿量を落としてしまいます。ただし、大風量の機種は部屋の空気を循環させるため、床に置いても影響は少なくなります。

(4)窓から離す
窓際は外の冷気の影響を受けやすく、加湿器のセンサーが間違った判断をしがちです。また、加湿器を置くと窓に結露ができやすくなります。できるだけ、窓から離して置くことをおすすめします」

Q.加湿器を使用する際、エアコンやストーブを同時に稼働させても大丈夫なのでしょうか。

中川さん「エアコンやストーブを使うこと自体が加湿器の動作や効果を妨げることはありませんが、先述のように、温風が直接加湿器に当たるとセンサーが誤作動するため、置き場所には注意が必要です。また、高熱を発する暖房機の上や近くに加湿器を置くと、タンク内の空気が膨張して水があふれたり、プラスチック部分が変形したり、変質したりする恐れがあります。

なお、室内排気の石油暖房機器(石油ファンヒーターなど)には加湿効果があるため、加湿器と一緒に使った場合、部屋を加湿し過ぎてしまう可能性もあります。部屋の湿度を見ながら適度に加湿してください」

Q.今年は新型コロナウイルスが流行していますが、加湿器は新型コロナ対策に有効なのでしょうか。

中川さん「内閣官房は新型コロナウイルスの感染防止対策として、室内を適度に保湿(目安は湿度40%以上)するよう呼び掛けています。また、理化学研究所(埼玉県和光市)がスーパーコンピューター『富岳(ふがく)』を使い、飲食時の飛沫(ひまつ)の拡散状況を計算した結果を公表しました。

それによると、湿度約30%の室内でせきをした場合、口から出た飛沫が乾燥して小さくなり、周囲に拡散しました。一方、湿度約90%の室内でせきをした場合、飛沫が乾燥しにくくなり、せきをした人がいる机の上に落ちる飛沫の量が増えました。これは、湿度が高いと飛沫が周囲に拡散しにくくなることを意味します。湿度を管理することで、飛沫の拡散防止にも役立つのではないでしょうか」

Q.就寝時、加湿器は一晩中稼働させても問題ないのでしょうか。

中川さん「就寝中に加湿器を使用しても問題ありません。ただし、設定湿度に対して自動で運転を制御する機能がない機種の場合、加湿し過ぎてしまうことが考えられます。その場合、運転時間を自身で調整するなどの対応が必要となります。就寝中も加湿器を使用したい場合は、加湿量を自動調整する機能が付いた製品を使うことをおすすめします」

Q.加湿器内の水は毎日取り換えた方がいいのでしょうか。また、水道水ではなく、ミネラルウオーターを使用しても問題ないのでしょうか。

中川さん「加湿器の水は毎日、新しい水道水(飲用にも使える水)と入れ替え、本体内部は常に清潔に保つようにしてください。当社では水を入れ替える際、タンクに水を入れて振り洗いすることをお願いしています。また、加湿器にはミネラルウオーターや浄水器の水ではなく、必ず水道水を使ってください。水道水は塩素処理されており、雑菌が繁殖しにくいからです」

Q.では、加湿器の中は毎日洗浄すべきなのでしょうか。また、翌年の春以降に片付ける際はどのような場所に保管した方がいいのでしょうか。

中川さん「加湿器は基本的に定期的な手入れが必要です。ただし、加湿方式やメーカーによって推奨される方法が異なります。お使いの製品の取扱説明書に従って手入れをしてください。当社の場合、週に1回程度、本体に付着したごみやほこりを拭き取るとともに、掃除機などで吸気グリルにたまったほこりを取るよう呼び掛けています。

また、加湿器を使用するとフィルターやトレーに水あかが付着しますが、放置すると取れにくくなり、やがて、付着した水あかが原因で加湿量が低下したり、送風音が大きくなったりします。フィルターやトレーに付いた水あかは定期的に落としてください。フィルターに付いた水あかはクエン酸、または指定の洗剤を溶かしたぬるま湯(40度以下の湯)に30分から2時間ほどつけ置きすることで落とせます。トレーに付いた水あかはスポンジなどで水洗いしてください。

加湿器を長期保管する際は手入れした部品を十分に乾かしてから、購入時の包装箱に入れて、湿気の少ない場所で保管してください。その際、本体を傾けたり、横倒しの状態にしたりしないでください」

カビが生えることは?

Q.加湿器内にカビが生えることはあるのでしょうか。その場合、洗浄すれば問題なく使えるのでしょうか。

中川さん「必要な手入れをしない場合、加湿器内や部品にカビが生えてしまうことはあります。部品にカビが生えた場合は洗浄、または部品の交換を行い、カビがない状態にしてから使ってください。一方、本体にカビが生えてしまうと内部を清掃するために分解が必要となる場合がありますが、ご自身で分解や修理、改造を行うのは危険です。必ず事前に購入先の店やメーカーに相談してください。

なお、加湿器の手入れを怠り、不衛生な状態で使用し続けると加湿器病(過敏性肺臓炎)にかかる可能性があります。これは加湿器内で繁殖した雑菌やカビを長期間吸い込み続けることで発病する、アレルギー性の疾患のことです」

Q.加湿器の耐用年数はどれぐらいなのでしょうか。どのような不具合が出た場合、買い替えを検討した方がいいのでしょうか。

中川さん「加湿器には具体的な耐用年数の目安はありませんが、使用中に『水漏れする』『本体が異常に熱い』『異常な音がする』『電源コードに触れると通電したりしなかったりする』『(先述以外の)故障や異常がある』といった症状が出た場合は、点検や買い替えをおすすめします」