「育児は妻だけがするものではなく、夫婦共同で行うもの」という考えの人が増えてきていますが、育児休暇を取得した夫は、育児に関わるだけではいけないようです。ある調査で、「育児休暇を取得した夫には、育児に加えて家事にも関わってほしい」という妻の気持ちが見えてきたからです。夫は「育児だけやればいい」とはいかないのでしょうか。

「育休の満足度」に男女間でギャップ

 生活関連の出張・訪問サービスに特化したサイト「くらしのマーケット」を運営している、みんなのマーケット(東京都渋谷区)は2021年1月、インターネット調査で同サイト会員の男女522人を対象にした「男性の育休取得に関するアンケート」を実施しました。それによると、育休の満足度に男女間で大きな認識の差が見られました。

 回答者の中で、男性が育休を取得するケースは少なかったものの、男性の育休取得者に「育休を取得してよかったですか?」と聞くと、81.8%が「非常によかった」、9.1%が「どちらかと言えばよかった」と回答した一方、女性を対象に「配偶者に育休を取得してもらってよかったですか?」と聞くと、「非常によかった」が47.6%、「どちらかと言えばよかった」が42.9%となりました。男性の満足度は非常に高いですが、女性の満足度はそこまで高くなかったのです。

 その理由として、女性が配偶者にしてほしかったことの上位が「子どもの世話(お風呂入れ)」とともに「掃除・洗濯などの家事」「買い物」という家事だったのに対し、男性が実際にしたことが「子どもの世話(オムツ替え)」「子どもの世話(お風呂入れ)」という順だったことが考えられます。女性が男性に「育児と家事」両方を求めたのに対し、男性の「家事」への貢献度が低かったようなのです。

 では、実際に育休を取った夫は育児や家事にどのように関わっているのでしょうか。

夫への淡い期待は裏切られ…

 第1子を出産し、自宅での育児を選択したAさん(31歳、女性)。Aさんの夫は約1カ月半の育児休暇を取得しましたが、Aさんには不安がありました。「夫にイライラする機会が増えるのではないか」と危惧していたのです。

「夫は家事を積極的にやろうとしないので、いつも、私が強めに掃除や皿洗い、風呂掃除などの家事を手伝うように言い、家事分担が何とか成立しているような感じでした。夫の育休取得はありがたかったのですが、『1カ月半、育児は手伝ってくれても家事は言われないと何もせず、ぐうたらしているところを見せ続けられたら嫌だな…』と心配していました。

夫は子どもをとても欲しがっていて、『子どもができたら育児を頑張る』と言っていました。たまに『子どもが生まれたら、夫も生まれ変わったように育児や家事に積極的になった』という話を耳にしていたので、そこに淡い期待もありましたが、実際に始まってみると現実は甘くありませんでした」(Aさん)

 Aさんの夫は「育児を頑張る」という言葉通り、育児には積極的な姿勢を見せていたようです。しかし、家事については及第点とはいきませんでした。

「夫が育休を取り、出産前よりは若干、家事にも取り組むようになってくれました。そのことは本当にありがたく思っています。しかし、元が元だったからか、夫の仕事ぶりに不満を覚えることも多かったです。特に掃除やごみ出し、部屋の片付けは、こちらが声をかけてようやく動いてくれるというのがずっと続いていました。その様子も出産前と変わらず、何かお願いすると『ああ』と生返事をしてゆっくり立ち上がる感じで…お願いするたびにガッカリさせられて…。

子どもが生まれたことで、もう少し、家事にも前向きに取り組むようになってくれたらうれしかったです。最初から、家事の戦力として夫に期待できなかったなら、そこまでイライラしなかったと思うので、夫が育休を取ってくれた故に生じたイライラだったとは思います」

 子どもが生まれる前の段階で、育児に意欲的な夫は妻に期待を持たせますが、それは家事への期待値も上げるようです。乳児期の子どもの育児は想像以上に大変で、夫が育児と家事の両面をサポートできれば妻は喜ぶはずでしょう。

聞くだけで印象は大きく変わる

 Bさん(34歳、女性)も第1子を出産し、自宅で面倒を見ることにしました。Bさんの夫は3カ月の育児休暇を申請。Bさん夫妻は子どもを生後3カ月になってから保育園に預け、職場復帰する予定です。

「子育ては想像以上に大変で、何度も育児ノイローゼになりかけたのですが、夫が支えてくれて本当に助かりました。私が疲れた表情をしていると『自分が子どもを見ているから、寝るなり、出掛けて気分転換するなりしておいで』と言ってくれるのです。私の体調がいい日は反対に、夫に自由にしてもらって…とやりくりしていました。

家事は出産前から、『掃除、洗濯、料理』などを曜日で割り振って分担していました。一応当番制だったのですが、いわゆる“名もなき家事”も積極的にやってくれていたので、世間一般と比べると、夫はかなり家事をする方かなと思っています。出産後もこれはあまり変わりませんでしたが、先回りして、家事をいろいろやるように努力してくれました。私が何か家事をしていると『自分がやるから座っていて』と言ってくれることが多く、とてもありがたかったです。

私の体調が悪くて動けない日は夫がバリバリ働いてくれました。少し面白かったのは私が授乳をしている間、夫は『私に育児をさせて、自分だけ何もしない』という状態が落ち着かないようで、授乳が始まると、窓拭きなどの普段はあまりやらない家事を何か見つけて、あくせくとやっていました。夫は『産後の女性は大変だから、育休で在宅している間は、家事や育児の負担割合を自分が少しでも多く担うべきだ』と考えていたようです」(Bさん)

 Bさんの話を聞くと、育休中の夫が妻に高い満足度を提供するにはフットワーク軽く、まめに育児や家事で動くことがポイントのようです。育児や家事に不慣れな夫はせっかく育休を取っても、何をしていいのか分からず、まごまごすることがあるかもしれませんが、「してほしいことがあったら言って」と妻に聞くように心掛けるだけで、かなり印象が変わってくるかもしれません。

 育児は夫婦にとって大変なものです。お互いに協力し合える体制が理想ですが、特に夫の側は「育休は育児をするための休暇だ」という意識もあり、妻が担当していた家事をサポートするということまで気が回らないこともあるようです。今回、紹介したアンケート、および2人の体験談は育休中の夫の家事への関わり方を考えるヒントになるかもしれません。