新型コロナウイルス感染症の対応で、医療崩壊の懸念や医療従事者の激務が問題になっている。これから夏にかけて熱中症が多発するシーズンを迎えることから、医療関係者で組織する熱中症・脱水症の予防啓発団体「教えて! 『かくれ脱水』委員会」(委員長=服部益治・兵庫医科大特別招聘〈しょうへい〉教授)は、「例年通り熱中症患者が救急搬送されたら、日本の医療機関の多くが機能しなくなる」として5月1日、緊急提言を発表した。

・提言 掲載ページ(「かくれ脱水JOURMAL」):https://www.kakuredassui.jp/usefulinformation/recommendation_declaration/recommendation_declaration01

 提言は、今年は新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続き、春に①汗をかいていない②運動をしていない―といった傾向があり「体が暑さに慣れていない上に筋肉量が減り、脱水になりやすい状態になっている」と指摘。さらに感染予防でマスクをつけて過ごしていることから、体内に熱がこもりやすく、マスク内で湿度が上がっているため喉の渇きが感じにくくなっており、「例年以上に熱中症に注意する必要がある」と強調している。ウイルス感染に関しても、鼻から肺までの空気の通り道である気道の粘膜が、ある程度潤っていることが必要であるという。

 また、脱水状態だと、免疫機能が低下する可能性も指摘し「熱中症でなくても、脱水症はウイルスの感染リスクにつながる」と警鐘を鳴らしている。

 発熱がある、だるい、頭痛があるといった症状は、熱中症と軽度の新型コロナ感染症と共通していることから「熱中症になる環境や生活を避けていれば、同じ症状になった場合、熱中症ではなく新型コロナ感染症の可能性を早期に疑うことにつながる」としている。

 緊急提言では、熱中症予防のポイントとして①3食きちんと食べる②水分摂取③小まめに換気をする―など7項目をあげた。その上で、もし身近な人で熱中症が疑われる場合、体を冷やしたり、経口補水液を飲ませたりといった対応が必要だとしている。

 「教えて! 『かくれ脱水』委員会」(事務局・東京都中央区)は2012年に発足、各医療分野に詳しい13人で構成している。同委員会によると、2019年の熱中症による搬送者は5月から始まり、8月までに全国で7万1317人だった。「今年も熱中症による搬送者が増えたら医療崩壊の危機が高まることになる」として、熱中症を予防することが医療現場への負荷を最小限に抑えることになると強調している。