ポータブル系オーディオイベントの注目ポイントを “独自に” “勝手に” 選出し、ランキング形式で紹介していく恒例企画!今回は西のガリガリ大学入学試験、東のおチョモランマゲーム大会と同日の2020年2月8日に開催された「ポタ研2020冬」から、超個人的ランキングをお届けさせていただこう。

【第5位】ORBのあのLightning変換ケーブルの新作!

iPhoneにイヤホン端子無き今、「たまにはiPhoneで有線イヤホンを使いたい…」そんなタイミングもある。そんなニーズに高いクオリティで応えてくれる大好評アイテムが、ORBのLightning-イヤホン端子変換ケーブル「Clear force Lightning」シリーズなわけだが……そのケーブル部分を同社「Glorious force」シリーズケーブルに置き換えた新作「Glorious force Lightning」も登場した!

Apple純正「Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ」から取り出したLightning端子を利用しつつ、他の部分はすべてORBクオリティのパーツ&組み立てで再構築!というところは両モデル共通で、純粋にケーブル部分の違いによるバリエーション展開となる。Clear forceは導体素材に連続結晶高純度無酸素銅PC-Triple Cを、Glorious forceは導体素材に純国産高純度無酸素銅に銀メッキを施したものを採用。

注意点として、2.5mm端子モデルは2.5mm端子ではあるがバランス駆動対応ではない。iPhoneのLightning端子からの出力がバランス駆動ではないのでそこはどうにもならないのだ。

では何のための2.5mm端子?ということだが、DAPにバランス駆動を利用していて合わせてイヤホンを2.5mm端子にしてある場合、それをそのままiPhoneにも接続できることがポイント。「DAPからiPhoneに挿し替えてSpotifyを聴く」みたいな流れがやりやすいのだ。

なおClear force版とGlorious force版を軽く聴き比べてみたところでは、Glorious forceではオーディオ的なしなやかさ、音や響きのほぐれをより豊かに感じられた印象。逆に言えばClear forceの音はよりカッチリとした傾向。単純に新作の方がいい音!という話ではなく、それぞれに個性がある。価格も同じであるし、どちらを選ぶべきかは自身の音の好みや愛用イヤホンとの組み合わせ次第だろう。

【第4位】定番イヤピの新たな挑戦!そして頭外定位イヤピ!?

イヤピ分野には「さすがにもうネタ切れだろ?」という雰囲気も感じつつあったのだが、そんなことはなかった!まずはJVCの超定番シリーズ「スパイラルドット」の新作!

見ての通り、いわゆる傘の部分の背を低くしたバージョンだ。同時に素材も変更し、シリーズ従来のような特別なものから、より一般的なシリコン素材の中で柔らかいタイプとし、コストダウンも図っているとのこと。

形状において注目してほしいのは、傘の背は低くなっているけれど「軸の長さは短くなっていない」ということ。なお実際に軸の長さはシリーズ従来モデルと同等とのことだ。

つまりこちら、いわゆる完全ワイヤレス用に全体の背を低くしたモデルではない。従来通りの深さに装着しつつ、耳の中での傘の存在感を減らすことで、装着感をよりソフトにするというのが主な狙いというところだろう。製品化を予定しつつ現時点ではまだ試作品の参考出展とのこと。今回集まった感想も踏まえてのブラッシュアップが期待される。

そしてイヤピとしては異例なレベルに行列ができていたのが、今回が初出展となるLIZER LABの「JIJU」。既存のイヤホンに装着することで、頭外定位や距離感の表現を実現するという新発想アイテムだ。

普通のイヤピの前後を逆にして内側に金属製フェーズプラグを仕込んだかのような異形はインパクト抜群!話を聞いただけでは半信半疑であろう特殊なアイテムである上に、値段が4,000円弱とイヤピにしては高価なため、気軽には買いにくい。しかも現在はまだ店頭で実際に試聴できる環境が整っていないため、「この機会に試したい!」とユーザーが殺到したようだ。

筆者は別の機会に試させていただいたことがあるのだが、頭外定位の完全実現とまではいかないものの、「頭内定位の低減」は十分に感じられた。例えば動画視聴時など、画面の方から音が聞こえてきてほしい用途でも力を発揮してくれそうだ。

価格面もたしかにイヤピとしては高価だが、頭外定位を実現するというイヤホンやヘッドホンと比べれば圧倒的にお手頃ではある。自身の生活の中で使いどころを見つけられれば、面白いアイテムなのではないだろうか。

とはいえ頭外定位の実現を謳う製品の全般は、効果の出方に個人差が大きい。無試聴購入のハードルはやはり高めだ。購入前に試聴できる環境が今後増えていってほしいところだ。

【番外】イヤホンズイヤモニ新モデルお願いします!

行列といえば、オンキヨーのマグネシウム振動板BAドライバー採用モデルを含むカスタムIEM新シリーズ。去年2019年の春のヘッドフォン祭の参考出展から今回まで、どのイベントでも行列となっており、取材時間の都合で筆者はいまだに試聴できていなかったりする。

だがしかし!イベントを跨いで行列が途切れないということは、評判が評判を呼んでいるに違いない!ならば期待したい!オンキヨー×イヤホンズのオリジナルカスタムイヤモニの新モデルを…!

イヤホンズのみなさん、特に高橋李依さんはイヤホンズとしての出演ではないステージでも、こちらのイヤホンズイエローモデルを着用しているお姿が多く目撃されており、しっかり使い倒してくれているようだ。

ならば、イヤホンズモデルから四年が経とうとしている今、進化したオンキヨーイヤモニを進化したイヤホンズに試してもらう時が来ている!

ぶっちゃけ市販はしてもしなくてもいいので、イヤホンズへの新イヤモニ提供、ご検討よろしくお願いいたします。

【第3位】ラズパイ系DAP登場!

これぞポタ研!的なところからはこちらを紹介。blue-7さん出展の「NanoPi NEO Core2 DAP」だ。

名前と写真からお分かりのことだろう。いわゆるラスパイ派生ワンボードコンピュータのひとつである「NanoPi」をコアとしてDAPを作っちゃいました!というアイテムだ。なお、ラズパイDAPとしては、筆者は迂闊にも見落としてしまったのだが、jinsonさんの「NosPiDAC Tube」も出展されていたようだ。

これらのラズパイ系DAP、ディスプレイの小ささやタッチ非対応でボタン操作といったところから想像できるかと思うが、一般的な操作性を備えていたりはしない。しかし「DAPも自作できるよ!」を示したことは、今後のこの分野の可能性を大きく広げる一歩と言えるだろう

……いや「作れそうだったから作っただけだ。後悔はしていない」的なやつですよね、たぶん。

【第2位】イヤホン新作の勢い衰えず!

ポータブルの主役はやはりイヤホン。新製品の登場の勢いとその内容は衰えを見せない!まずは、「これ発売されたら普通にヒットだろ」感を漂わせまくっていた一台、finalの参考出展プロトタイプイヤホンから。

同社B seriesおよびA8000系のイヤーモニタースタイルのハウジング形状を継承しつつ、その素材を樹脂に変更。1万円前後の価格帯を狙っているとのことだが……

これ1万円で発売されたらもう約束された勝利だよ!!!

Proto-AとProto-Bを出展。Aは臨場感重視で少し演出を加えたチューニング、Bは素直にフラット&クリアなチューニングとなっており、E-2000/E-3000のようなシリーズ展開も検討しているとのことだ。Proto-Bの印象としては、フラット&クリアすぎることなく、ベースのドライブ感などは軽くプッシュされて音楽の躍動感も楽しめる音と感じた。よい!

さらに印象的だったのは装着感の良好さ!B seriesとA8000は金属筐体で重量がある。しかし耳との接点を3カ所としたハウジング形状が質量をうまく分散支持することで問題ない装着感を確保している。対して今回のProto-A/Bは軽量な樹脂筐体、ということは…B seriesとA8000の装着感を「重さでのマイナスを三点支持のプラスで相殺してプラマイゼロで問題ない装着感」と表現するならば、このProto-A/Bの装着感は「三点支持のプラスしかない装着感」となっている!超快適!装着感の面からもおすすめできる!

続いて七福神商事ブース。これまでにも参考出品として展示されてはいたSYMPHONIA「VR1」が、今回は国内発売決定モデルとして登場!こちらの特徴は何といっても14.2mmフルレンジダイナミックドライバーの振動板素材が「セラミック」であること!

セラミックドライバーって他にも聞いたことあるし特別にすごいことなの?と思った方もいらっしゃるかもしれない。既存のセラミックドライバーというのは、圧電素子としてセラミックを利用した、いわゆるピエゾトゥイーターのこと。それと他の形式の中低域ドライバーを組み合わせたハイブリッド構成で用いられていたわけだ。

対してこのVR1は、14.2mmという超大口径ダイナミック型ドライバーの振動板をセラミックで形成し、そのドライバーをフルレンジ一発として用いる!つまりすべての音がそのセラミック振動板から生み出されるのだ。

その音というのは、とにかくブレがない。武術の達人の立ち姿や動きの美しさはそのブレのなさにも由来するのかもしれないが、VR1にもそれに通じるものを感じさせられた。なお、セラミック振動板の製造には研究室レベルの設備が必要とのことで、価格は税込27万9,800円とかなり高価。しかしその価格も理解できる話であり、納得できる音だ。

【第1位】逆襲のポタアン!

ポータブルプレーヤー単体の性能が向上しまくり続けたことでそのニーズを減らしてきてしまったアイテム、それがポータブルアンプ。しかし今回のポタ研では、なぜだかポタアンが大豊作!どうしてこうなったのかは分からないが、今もポタアンを好み、それを必要としているユーザーにとっては嬉しい事態なことだろう。

Brise Audio「TSURANAGI」は、アナログ入力オンリーかつバランス駆動特化型!

「なぜバランス駆動特化型に?」とお聞きしたところ……

まずバランス駆動を中心に置いた上でシングルエンド駆動への対応も検討した際に、

1)バランス駆動回路の後ろにシングルエンド出力への変換回路を追加

2)バランス駆動回路とは全く別に独立したシングルエンド駆動回路も搭載

上記二つのパターンが考えられたとのこと。

しかしそれらについて考えた結果、、

1)だと、余計な回路を通すことで半端なクオリティになってしまう…

2)だと、ポータブルサイズに収まらなくなってしまう…

そして、

3)シングルエンド駆動はすっぱり諦める

という結論に至ったとのことだ。潔い!

対して、iFI-Audio「hip dac」はより一般的な使いやすさを備えたモデル。スマホ等とUSB接続でき、出力は3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスだ。ゲイン切替機能「PowerMatch」や低域を自然に補強してくれる「XBass」機能も備える。同社のコンパクト据え置きDAC「ZEN DAC」と対になるポータブルDACアンプというイメージだ。

同社史上最小のコンパクトさで価格も税込1万9,800円に抑えられており、何とも手を出しやすい、というか手を出してしまいそうになるというか。かなり誘惑力の強いポタアンに仕上がっている。

Oriolusは、バランス駆動ポータブルアンプ「BA20」とバランス出力ポータブルDAC「BD20」というシステムを参考出展。個人的にはさすがにポータブルでの三段積みシステムは趣味的すぎるだろうと思うのだが……

しかしこの両モデルの背面には、内蔵バッテリーの利用や内蔵バッテリーへの充電をパスするスイッチが用意されている!デスクトップ等での据え置き用途でも使いやすそう!

そうなると、「ポータブルにはでかい」ではなく、「デスクトップ用として十分にコンパクト」という見方もできる。デスクトップオーディオのクオリティアップにも威力を発揮してくれそうだ。

最後に紹介するのは、超小型ポタアン、QueStyle「Qlink」だ。

もはや変換アダプタ的なサイズ!しかしQueStyleクオリティ!1万円以下での販売を目指しているとのことで、こちらもうっかり買ってしまいそう系アイテム……

【今回の規格外】芝浦工大生のヘッドホンにガンプラ魂を見た!

今回、Music With 規格外ブースに芝浦工業大学オーディオ研究会が参戦!いくつかの作品が展示されていたが、いちばん目を引かれたのはやはりこれだ!

近年の自作界隈の技術向上は目覚ましく、CNC削り出しによる金属パーツ、3Dプリントによる樹脂パーツ、匠の手技によるハンドメイドパーツなどによる美しい作品も珍しくなくなっている。

しかしこのヘッドホンは真逆!このヘッドホンは何とだいたいのパーツが有り合わせの何かの使い回し!自作ヘッドホンだけれどパーツレベルでは自作しないスタイル!言われてみればたしかに、どう見てもただの汎用金具な部分があったりするぞ……

ジャンクパーツを寄せ集めて作られたゲゼやDガンダム、あるいは「クロスボーン・ガンダムDUST」時代のミキシングビルドなMSを連想させるヘッドホンだ。…いや、これはシールド固定用ベルトに腕時計のバンドを流用した、プラモ狂四郎のパーフェクトガンダムにも通じるガンプラ魂が込められたヘッドホンなのかもしれない!

……僕は何を言っているんだ?

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高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi

趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。