■衝撃の2,000円以下で登場!Hi-Unit×ピエール中野コラボピヤホン「HSE-A1000PN」

ロックバンド「凛として時雨」のドラマーとしての活動を中心に、様々なフィールドで活躍し、そして自らがイヤホンファンでもあるピエール中野さん。そんなピエール中野さんが自ら音質チューニングし、パッケージとしてのトータルな提案も行うイヤホンが新たに登場する。

それがHi-Unit「HSE-A1000PN」(税込1,700円)。いわゆる「有線ピヤホン」だ。

“ピエール中野” というミュージシャンへの信頼に加え、先立って登場した完全ワイヤレスピヤホン=AVIOT「TE-BD21f-pnk」で中野さんのチューニングセンスも実証済み。それがこの価格となれば……

当然の如く発表の瞬間から注目を集め、3月31日の発売に向けて3月3日からスタートした予約受付も大変な勢いとなっている。

これは当連載でも見逃すわけにはいかない!

…のだが、これはピエール中野さんの想いとピエール中野さんへの信頼あってこそ成り立っているアイテム。普通に実物をチェックしてその内容をお伝えするレビューだけでは、その魅力やコンセプトを伝えきれない感がある。

というわけで今回は、有線ピヤホンプロジェクトの中心人物と言っても過言ではない、この方からもお話を聞かせていただくことにした。

ピエール中野さん「どうも!」

Hi-Unitの増田さん「よろしくお願いします!」

普通にご本人です!完全に中心人物です!そしてHi-Unit側でプロジェクトを主導した増田さんにもお話伺いました!お二人ともご協力ありがとうございます!

<目次>

1)インタビュー前半:有線ピヤホン計画始動!

2)試聴レビュー:有線ピヤホンはさらにトータルバランス重視!

3)インタビュー後半:チューニングとアクセサリーについて

1)インタビュー前半:有線ピヤホン計画始動!

── ピエール中野さんチューニングによるピヤホンとしては、完全ワイヤレスイヤホンのAVIOT「TE-BD21f-pnk」が先に発売されていて、今も大人気です。次は有線だ!という考えも以前からあったのでしょうか?

ピエール中野さん(以下、ピ様) 音を聴く環境にまつわるアイテムを自分で監修できる機会っていうのは、もうあればあるだけいいなと思っていて。だから有線イヤホンについての考えも勿論ありましたが、具体的なプランまではなかったんですよ。

── それが具体的に動き出したきっかけは?

ピ様 全くの別件でHi-Unitさんとお話しする機会があって、そしたらその帰り際に「聴いてみてください」ってHi-Unitのイヤホンほぼ全製品一式を渡されて(笑)。聴いてみたら、特にHSE-A1000がすごく自分の好みにも合ってたんです。それをHi-Unitさんに伝えたら「中国の工場に行って現地でエンジニアと一緒にチューニングして、HSE-A1000を元にした有線ピヤホンを作りませんか?」って言ってくれたんで、即答で「やりましょう!」と。

── いきなり中国!バキ大擂台賽編みたいな急展開!

増田さん(以下、マ氏) 「やりましょう!中国行きましょう!」とお誘いしたら、本当に即答で「やります!中国行きます!」というレスポンスをいただきました。

── なるほど。では有線ピヤホンのプランは、Hi-Unitからのアプローチに応える形で具体化したんですね。

ピ様 ですね。完全ワイヤレスの次はお手頃エントリー価格の有線だ!とか決めてたわけじゃなくて、色々と考えていたところにHi-Unitさんがアプローチしてきてくれて、それでこういう形になりました。

── そうすると、今回の有線ピヤホン「HSE-A1000PN」の価格帯や製品の方向性などは、「Hi-Unitと組んで作る」と決まってから固まったものですか?

ピ様 HSE-A1000を聴いたときに、「この価格でこのポテンシャルはすごい!」という驚きがあったんですよ。今回の有線ピヤホンはそこがスタート地点なので、価格帯も含めて「HSE-A1000をベースにする」というところから固めていった感じです。

マ氏 HSE-A1000は記念すべきHi-Unit第一弾の製品ですから、ブランドのコンセプトを特にストレートに反映しているスタンダードモデルなんです。他のモデルは、HSE-A1000があった上で、そこを基準に音のバリエーションや上下の価格帯へ展開しています。なので、全ラインナップ中で一番うちらしいモデルを気に入ってもらえたことも嬉しかったですね。

── 結果として、ハイエンド完全ワイヤレスイヤホンのTE-BD21f-pnkに対して、ハイコストパフォーマンスなエントリー有線イヤホンのHSE-A1000PNが生まれ、見事な振り分けになりました。

ピ様 やっぱりTE-BD21f-pnkは手頃な価格とまでは言えないですからね。ベースとして、完全ワイヤレスな上にハイブリッド・トリプルドライバーという技術的な挑戦もあるモデルですし。AVIOTさんもがんばってくれて、その内容の割には価格も抑え込んでくれてはいるんですけど。

── 気軽に買えるお値段というわけではないですが、お値段以上!であることはたしかですよね。

ピ様 なのでファンの方からは、「気になるけど手が届かない」という声もあったんです。あとバッテリー切れの不安やゲームでの音の遅延が気になるという、完全ワイヤレスであれば避けられない課題もありました。そこでこのHSE-A1000PNは、1,700円という本当に手頃な価格、そして有線という点でも、完全ワイヤレスピヤホンではフォローできなかったところをフォローできるアイテムだと思いますよ。

── 幅広いニーズに応えられるイヤホンでありつつ、でも一番の狙いは「音のいいイヤホンを体験してもらう最初の一本」ですか?

ピ様 一番はそこですよ。「そんなにお金は出せないけど、いい音で聴きたいからイヤホンを買いたい。でも何を買えばいいのかわからない」という人に、第一候補としておすすめできるようなイヤホンにしたい!という想いは強かったです。それに、HSE-A1000ベースで作ればそれを実現できるぞ!という手応えもあった。

マ氏 Hi-Unitのブランドコンセプトも「求めやすい価格帯でリスナーの感動を深めるイヤホン」ですから、その想いはうちとしても全く同じです。

2)試聴レビュー:有線ピヤホンはさらにトータルバランス重視!

ここでインタビューパートは一旦お休みして、HSE-A1000PNの音を聴いての筆者の印象をお伝えしておこう。こちらでその音の傾向を確認した上で、そこについて改めて中野さんご自身に伺うインタビュー後半に進んでいただければと思う。

まず、ベースモデルHSE-A1000と有線ピヤホンHSE-A1000PNを比較して、音の印象の違いを傾向表にまとめてみるとこんな感じだ(画像参照)。

帯域バランスはオール3をフラット、音質傾向はオールセンターをフラットとして、そこからの±がそれぞれの音の個性を表している。

まず両モデルとも、ほとんどの項目が3やセンターに対して±1の範囲に収まっており、どちらもバランス良好のオールラウンダータイプということが言える。

その上でHSE-A1000は、エレクトリックベース等の太さを出してくれる中低域、細かな音にまでカッチリとした輪郭を与えてくれる高域に少し主張を持たせることで、低音のボリューム感や、細かな音までが明確に届いてくる解像感といったオーディオ的な楽しさ、いい音で聴く楽しさを、より分かりやすく明快に表現してくれる印象だ。

対して有線ピヤホンHSE-A1000PNは、傾向表のパッと見からしても分かるように、さらにフラット、さらにバランス良好なチューニングとなっている。

具体的には、中低域と高域の凸を少し抑えた印象だ。そこを抑えることで、他の要素、例えばエレクトリックベース等でいえば、太さだけではないさらに低い帯域までの音の深み、ギターやシンバルでは、鋭さだけではない滑らかさやほぐれといった、より細やかな部分がリスナーに届きやすくなっていると感じる。

また、中低域のボリューム感がやや控えられることで、音と音の間に余白が確保され、アンサンブル全体の見晴らしも向上。手数音数の多い演奏やアレンジでも、それらの音が塊になりにくく、ひとつひとつの音の粒立ちを感じやすい。この点はそれこそ、凛として時雨の曲を聴くと分かりやすいだろう。

というと「つまりピヤホンの方がいい音ってこと?」と思われるかもしれない。しかし「そうとも言えるが、一概にそうというわけでもない」というのが、イヤホンの面白さだ。音の好みは人それぞれであるし、イヤホンをどんな用途や場面で使うのか?によっても答えは変わってくる。

例えば場面でいうと、カッチリと立った音で周りの騒音に負けにくいHSE-A1000は、通勤通学の電車内などではその強みを特に発揮してくれそうだ。一方、好きな曲を静かな場所でじっくり聴き込むなら、集中して聴き込むほどそれに応えて細かな音や演奏のニュアンスまで届けてくれるHSE-A1000PNが、その力を最大限に発揮してくれるだろう。

ピエール中野が認めたイヤホン、HSE-A1000。

ピエール中野が作ったイヤホン、HSE-A1000PN。

どちらもさすがのサウンドだ。

3)インタビュー後半:チューニングとアクセサリーについて

── HSE-A1000PNのチューニング、音作りについてですが、まず僕が聴いての印象は、HSE-A1000と並べてこういったイメージでした(先程の傾向表)。

ピ様 なるほど……うん、だいたい僕が狙った通りの印象を持ってもらえてますね。安心しました(笑)。

── 完全ワイヤレスピヤホンもそうでしたが、中野さんのチューニングは、どこかの音を強調して目立たせるのではなく、ベースモデルの音を絶妙に整えることで、全体のバランスや聴きやすさを磨き上げるアプローチと感じています。

ピ様 完全ワイヤレスのときも今回も、自分が気に入ったイヤホンをベースモデルとして使わせていただけているので、大きな味付けをする必要はないんですよ。素材がいいんで。

今回もHi-Unitさんのラインナップの中で「解像度が高めで、定位がわかりやすくて、疲れない低音」っていう、自分の好みにいちばん合っていたのがHSE-A1000。そのHSE-A1000の持ち味を生かしてチューニングしました。

── HSE-A1000の音から調整を加えたポイントはどういったところでしょう?

ピ様 HSE-A1000の低音は少し広がる感じではあったので、そこをタイトにしたら自分の好みにもっとフィットしてくれるんじゃないか?と思ったのと、あとは高域のアタリの調整ですね。どちらもうまくいきました。

── そこは実感できました。例えばエレクトリックベースの音だと、横への広がりが抑えられることで、下への沈み込みや深みの方が際立ってくるような。

ピ様 HSE-A1000がそういうポテンシャルを持っていたおかげですね。広がりだけじゃなく、低音の様々な要素が元から充実していたからこそ、広がりという要素を少し抑えてあげることで、他の要素も相対的に浮かび上がってきたんだと思います。

── シンバルやギターのエッジとかの高域は、ベースモデルもピヤホンも同じくシャープではあるんですが、そのシャープさの感触が違いました。ベースモデルはまさにシャープでシャキン!とした感触。対してピヤホンはより滑らかな鋭さというか。

マ氏 Hi-Unitの音作りとしては、いいイヤホンをはじめて体験する人でも、パッと聴いただけで「なんかいい音!」と感動してもらえるようにというのを意識しています。それで低音と高音は、無理のない程度にですが、意図的に立たせてあります。

ピ様 はじめての “音のいいイヤホン” として感動してもらいたいという思いがあるので、「なるほどこれがいい音か!」っていう分かりやすさのある音にはしたかったわけですよ。で、HSE-A1000にはまさに分かりやすいシャープさや解像感があるので、そこは元のままでもクリアできてるんです。

だからその魅力は損なわないようにしつつ、自分の好みと音楽を作る側として「こういう音で聴いてもらいたい」っていう願いも重ねるようなチューニングにしています。HSE-A1000の解像感を生かしつつ、自分好みの耳当たりの良さも加えて、という感じですね。

── 今伺ったようなチューニングを中国現地で行ったんですよね?

ピ様 ドライバーの開発を担当しているエンジニアさんと、対面で直接やり取りしながら進めました。現地に向かう前にチューニングの方向性はあらかじめ伝えておいて、それに沿ったサンプル機を用意してもらっておいたんです。当日はそれを叩き台に詰めの調整をしていく感じで。

「高音のこの帯域をさらにもう少し抑えて」みたいな要望を伝えると、その彼が「わかった」ってラボに戻って、ほんの数分で「これでどう?」ってチューニングを調整したバージョンを持ってきてくれるんですよ。HSE-A1000というモデルは元々そういう調整をやりやすい設計にしてあるらしくて、すごいスピーディでした。おかげで現地でのチューニングはほんと一日で終わりましたよ。

マ氏 2017年にHi-Unitをスタートした時から、コラボレーションやOEM展開を視野に入れた製品開発を進めてきました。そういった準備をしていたこともあり、今回のチューニングにおいてもエンジニアさんとの意思疎通がスムーズにできたんです。

ピ様 でもこういうコラボモデルでアーティスト本人が工場まで来て一緒にチューニングするというのは初めてらしくて、あちらもすごい喜んでノリノリで進めてくれてました(笑)。

── そしてこの有線ピヤホンには、音の他にもベースモデルからのプラスα的なポイントがありますよね。まずはこの価格帯にして収納ケース付属!

ピ様 有線だと断線を心配する人もいると思うんですけど、それってイヤホンを乱暴にぐしゃぐしゃってカバンの中にしまったりするのが原因なことも多いんですよ。でもイヤホンに最初からケースが付いてきてたら「このイヤホンはカバンとかにしまう時には、このケースに入れておくものなんだな」って分かってもらえますよね。そこに気付いてほしくて。

あとHSE-A1000の時点からケーブルの耐久性も高いので、このケースを使ってちゃんと扱ってもらえたら、そう簡単には断線しないはずです。

── そしてベースモデルの付属イヤーピースがXS/S/Mの3サイズなのに対して、有線ピヤホンはXS/S/M/Lの4サイズです。

ピ様 買ってくれた人みんなにベストな状態、最高の音で楽しんでほしいんで。しっかり選んで、それぞれの耳の大きさにフィットするイヤーピースを使ってもらいたいですね。

── なるほど。

ピ様 他にはカラーバリエーションも、当初はカッコいい系のガンメタリックのみで進めていたんですけど、かわいい系もほしいよねということで、ピンクも追加してもらいました。

マ氏 実はうちとしても「カラバリあった方がいいかも?」と考えていたところだったので、そのご提案には「待ってました!」とばかりに応えさせていただきました(笑)。

ピ様 それに、店頭でもより多くの人の目に留まってほしいので、パッケージデザインでもアピールしてます!

── 音も付属品もパッケージも完璧ですが……エントリークラスの価格に収めるために妥協せざるを得なかったところとかは無いんですか?

ピ様 無いですね。究極のハイエンドイヤホンとかを作ろうとしたわけじゃないんで。HSE-A1000という優秀なエントリーモデルがあって、そこに自分の理想を上乗せしていった感じですから。チューニングをさせてもらって、ケースも付けてイヤーピースのサイズも増やして、カラバリやパッケージにもこだわらせてもらって、もう大満足ですよ。

── ハイエンドからの引き算ではなく、HSE-A1000への足し算で生み出された決定版エントリーモデル、ですね。実際、何の妥協も不足もないどころか、至れり尽くせりな内容だと思います。

ピ様 このイヤホンをきっかけにいい音で音楽を楽しんでくれるリスナーが増えてくれたら嬉しい!とにかくそこっす!

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高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi

趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。