「安倍政権が潰れても増税」 歴代内閣を踏み台にした財務省の周到さ

「安倍政権が潰れても増税」 歴代内閣を踏み台にした財務省の周到さ

<<安倍内閣は消費増税に並々ならぬ意志を示し、その方針は揺るがないように見える。各方面から増税に対する賛否の声が多く上がっている中、嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、「消費増税を実行すれば、安倍政権が潰れる」と強く警鐘をならしてる。

近刊の高橋洋一氏著書『「消費増税」は嘘ばかり』(PHP新書)にて、これまでも歴代政権を踏み台に増税を実行してきた財務省の思惑を示している。その一節をここで紹介する。>>

※本稿は、2月17日(日)発売予定の高橋洋一著『「消費増税」は嘘ばかり』(PHP新書)より抜粋・編集したものです。

消費増税を実行したら、アベノミクスの努力が水の泡に

2012年9月の自民党総裁選の際、安倍首相は消費税を上げる前にデフレ解消をする、といいました。安倍首相は消費税の増税には消極的でしたが、法律になったものを無視することはできず、「法律どおり」2014年4月、消費税率が5%から8%に引き上げられました。

せっかくアベノミクスによってデフレ対策が打たれ、2014年4月時点ではインフレ目標達成にかなり近いところまで行っていたのが、消費税率を上げたことで景気は逆戻りしてしまいました。

離陸し始めた状態で安定飛行に入っていなかった景気は、消費税の増税によって急失速してしまいました。

こうした状況を受けて、2015年10月の増税予定は1年半先送りされ、2017年4月の増税予定がさらに2年半先送りされました。安倍首相が財務省の意向を退け、かろうじて踏みとどまったかたちでした。

過去3回の消費増税のうち、3%の税率で導入した1回目(1989年)は、バブル期で景気がよい状況でした。しかも物品税の減税と同時に行なったので、タイミングとしては悪くなかった。

しかし、税率が3%から5%に引き上げられた2回目(1997年)、5%から8%に引き上げられた3回目(2014年)の消費増税は最悪です。いずれもデフレのときに行なったため、景気を大きく冷え込ませる結果となりました。

現在、デフレは解消されつつありますが、脱却には至っていません。企業で人手不足の状況が生まれ、雇用回復に次いで当初の狙いである「賃金上昇」がようやく始まる、と思ったところで、政府は事実上の「移民」緩和政策を決めてしまった。

外国人労働者の流入が日本の賃金を押し下げていることは、筆者の実証分析でも立証されています。

あまりにもタイミングが悪く、さらに2019年10月に消費増税を実行してしまえば、2012年以降、7年に及ぶアベノミクスの努力はすべて水の泡でしょう。

歴代政権を踏み台にして増税を進めてきた財務省

これまでの消費税の歴史を振り返ると、財務省は歴代政権を踏み台にして増税に突き進みました。

竹下内閣のときには比較的、正当なロジックで消費税が導入されましたが、その後は、「増税のためには手段を選ばない」という発想で、なし崩し的になっていきました。

日本新党の細川護熙氏をそそのかして増税を発表させたところ、細川氏が政権を投げ出してしまったため、今度は社会党の村山氏を丸め込み、「今のうちにやってしまえ」とばかりに消費増税の法律を通してしまいました。村山内閣で決まった増税を実施した橋本内閣は潰れました。

小泉内閣、第一次安倍内閣では増税に持ち込めなかったため、民主党の野田内閣で増税法案を通しました。野田内閣下の三党合意で決まった増税を実施した第二次安倍内閣は、その後、苦しみました。

支持率の安定している安倍内閣のうちに増税させるというのが、財務省の狙いでしょう。その結果、安倍内閣が潰れても、財務省としては何の痛みもありません。

安倍政権が増税を中止できないよう、財務は周到に周囲を固めてしまった

今、財務省がやろうとしている作戦は、消費増税のために周りを固めることです。各業界に準備をさせて、「総理、もうここまでシステムの準備が終わりました。今増税を見送れば、大混乱になります。やるしかありません」という状況に持ち込もうとしています。

もともと消費税の増税に消極的で、しかも、消費増税で失敗している安倍氏を理屈で説得しようとしても無理ですから、「延期すれば大混乱する」という状況にしようとしています。

消費増税の影響を緩和するための様々な増税対策が掲げられていますが、まやかしの上に、まやかしを重ねるようなものばかりです。あまりにも複雑化しているため、「延期すれば大混乱」どころか、すでに大混乱の状態です。

もちろん最善の手は、そもそもいま実施する必要のない消費増税を中止することです。

法律に書かれている以上、どうしても形の上では増税しなければならないというのであれば、2%の増税とともに、ただちに2%の減税をするか、全品目2%の軽減税率を適用することです。冗談と思うでしょうが、ロジカルには最善手なのです。


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