10万部突破のベストセラー『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』、新刊『犯罪心理学者は見た危ない子育て』著者、出口保行氏は双子の娘を持つお父さんでもある。自身を「過保護型」という出口氏だが、家族の仲の良さは周りからうらやましがられるほど。

二人の息子を子育て中で、『超こども言いかえ図鑑』著者の一人である小川晶子氏が、思春期以降も家族が仲良くいられるコミュニケーションの秘訣について聞いた。


誰でも多かれ少なかれ偏りのある子育て

小川:『犯罪心理学者は見た危ない子育て』では、親の養育態度を「過保護型」「高圧型」「甘やかし型」「無関心型」の4つに分けて、それぞれ極端に偏ったときの危険性について詳しく解説されています。誰しも多かれ少なかれ偏りがあり、行き過ぎないようにときどき自己点検することが大事だということですね。

私はだいたい「過保護型」で、時と場合によってその他の3つもありえるなぁと思いました。長男には「高圧型」で次男には「甘やかし型」になったりします。

出口:そうそう、それが普通ですよね。同じ人がそのときによって「過保護型」になったり「高圧型」になったりするものです。まったく偏りのない人なんていませんし、それで何も問題はありません。

夫婦のどちらかが「高圧型」でどちらかが「甘やかし型」など、うまく役割分担できていることもあります。全体としてバランスが取れていればいいんです。

問題が起きるのは、極端に偏ってそのまま突っ走った場合です。本に出てくる非行少年たちの事例は、どれも極端に偏った養育態度が修正できないまま進んでしまった例です。

小川:出口先生ご自身は「過保護型」だとおっしゃっていましたね。

出口:完全にそうです。法務省の心理職として全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所に勤務していましたから、転勤が多く、双子の娘は小学校を4つも変わっているんです。普通ならしなくていい苦労を娘たちにさせることは目に見えていました。

何としても守らなければという気持ちが強く、過保護型になりました。もうすっかり大人になって二人とも家を出ていますが、いまだに過保護なところがあります。何かというと私に相談してきますからね。