新人時代に報道番組『FNN NEWSCOM』に抜擢され、その後もフジテレビの看板アナとして活躍したフリーアナウンサーの近藤サトさんは“全速力”の時代を知る。1990年代のイケイケだったフジテレビの空気を語ってもらった。

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 私が入社した1991年当時のフジテレビは民放各社の中でも頭一つ抜けた視聴率で、トレンドや文化の発信的な大きな影響力を持っていたと思います。ですから全社的にイケイケで、ノッていた時代でした。

 その中で私は報道番組、同期の中村江里子ちゃんは真逆の性格で与えられる仕事も分野も本当に違いましたね。

 贅沢な時代だったゆえに報道も大変でした。出張で極東ロシアに行った時は長らくお風呂に入れなかったり、カンボジアでは急性胃腸炎で倒れたりと大変な目に遭うとは思いもよりませんでしたが、今となっては貴重な経験です。

 一方の江里子ちゃんといえば、浮世離れした可愛いらしい発言や素直な感想、流行に流されないセンスに癒やされ、同期ながら「フジらしい子だな」と感じていた記憶があります。

 当時は良くも悪くも多様な個性が集まった家族みたいな局で、多くのトレンドを生み出す一方で消耗も激しい、F1のスーパーカーみたいだった。しかし今はEV車の時代です。フジで良い時代を過ごしてF1の魅力を知る人にとっては、F1を降りるのはなかなか未練があると思います。

 いまは少し苦しんでいるようですが、テレビのお仕事は伝えることも学ぶことも面白くて楽しく、かつ使命感を持って働くことができる素晴らしい職業です。当時を知らない新しい感覚の人が良い方向に変えてくれると思います。

※週刊ポスト2020年5月8・15日号