「なんもしない人(ぼく)を貸し出します」「ごくかんたんなうけこたえ以外、なんもできかねます」──そんな風変わりなサービスを行う実在のTwitterアカウントを元にした、ドラマ『レンタルなんもしない人』(テレビ東京系、毎週水曜深夜24:12〜)が話題だ。主役の“レンタルさん”を演じるNEWSの増田貴久には「本物そっくり」など反響が起きている。

「東京最後の1日に付き合ってほしい」「出社するのが怖いので付き添ってほしい」……ドラマで描かれるレンタルさんへの依頼はさまざま。4月22日放送の第3話では、女子大生の島袋香奈(福原遥)から「明後日21歳の誕生日を迎えるので、日付が変わったら祝ってほしい」という依頼が寄せられた。

 レンタルさんと誕生日ケーキを囲んでお祝いしながら、香奈は友人関係の悩みを吐露し始める。「グループLINEの返信って難しいですよね。他の人とかぶると、『手を抜いている』って思われるし、逆に全く違う内容だと『空気読めない』って思われるし。同じだけど少し違う、そういうのを送らないといけない」「LINEの既読をつけたら、なるべく早く返さないといけない。誕生日は祝われたら、祝い返さないといけない。流行りの飲み物は同じのを飲まなくちゃいけない」など、日常の気疲れを明かした。

 香奈自身が「私が気を使いすぎなのかも」と苦笑いする通り、たしかに友人たちに彼女の気遣いが伝わっているようには見えず、むしろ多少“都合のいい人”扱いされているようにも感じられる。とくに「クリスマスは女友達で集まる予定で、必死にバイトも休みをとったのに、直前になってドタキャンされてしまった」というエピソードは印象的だ。「今日、バイト休んだんだけどなー」とLINEで送りかけて、結局「了解!集まるのはまたにしよう!」と返信する香奈の姿が悲しい。

 SNSを介した友人付き合いの難しさを描いたこのエピソードには、視聴者から「とても共感した」という声が続々と寄せられた。SNSが社交の場の一つとして確立しつつある昨今、同様の体験をしている人が多いのだろう。

 しかし、『自分の居場所はどこにある? SNSでもリアルでも「最高のつながり」の作り方』(CCCメディアハウス)などの著書がある放送作家の渡辺龍太氏は、そうした友人関係での気疲れについて、「本人の“独り相撲”の可能性がある」と冷静に指摘する。渡辺氏は、即興演劇をベースとしたコミュニケーション術“インプロ(即興力)”のワークショップを全国の企業や自治体で開催するコミュニケーションの専門家でもある。

「友人に気を使いすぎてしまう性格の持ち主は、『人間なら誰でも他人に気を使うべき』というポリシーを持った人物とも言えるかもしれません。劇中の依頼者も、そんなポリシーに振り回されて独り相撲をとってしまった、と見ることも可能です。友人に最大限に気を使うと同時に、『自分に対して友人は気を使うべき』とも無意識に感じているのでしょう。ですが現実は酷で、友人は依頼者に対して別に気を使ってほしいとも思っていませんし、気を使うべきとも思っていないわけです」(渡辺氏)

「なんもしない」レンタルさんとの時間を経て、元気を取り戻した様子だった劇中の香奈。もしも渡辺氏が“友人に気を使いすぎる香奈”と同じような悩みを持つ人にアドバイスを送るとしたら、どのような言葉をかけるだろうか。

「まずは自分から他人への気遣いを減らして、自分を苦しめるポリシーに縛られないように生きていこう、というアドバイスを送りますね」(渡辺氏)

 4月29日深夜に放送される第4話では、化粧品会社に勤める京野彩(山口紗弥加)から「離婚届の提出に同行してほしい」という依頼が寄せられる。いつも仕事優先で夫とすれ違い、相手から離婚を切り出されたという彩は、第3話の香奈とは打って変わって我の強いキャラクターの予感だ。

●取材・文/原田美沙(HEW)