「家族をつくることが怖くて…でも子を堕胎する選択もできませんでした。彼女から妊娠を知らされたとき、『あなたは変われるの?』と聞かれて『ごめんなさい、変われません』と答えました。妻には申し訳ないのですが、『一緒には住めない』と伝えたうえで、籍を入れたのです」

 意を決した表情でこう語るのは、俳優の大東駿介(34才)だ。現在放送中の『浦安鉄筋家族』(テレビ東京系)では、個性的な小学校教師役を怪演し話題。NHKの大河ドラマ『いだてん』では、水泳金メダリストの鶴田義行役を体当たりで演じた。

 2005年のドラマ『野ブタ。をプロデュース』で俳優デビュー以降、映画にドラマに引っ張りだこの実力派俳優である。

 だが、冒頭の言葉はドラマのせりふではなく、本人の私生活についての独白だ。過去のインタビューでは《仕事も結婚も出会いとタイミングだから、そのときを逃さず対応できる生き方をしていようと思っています》と語っていた大東。どうやら人知れずそのタイミングを手に入れていたようだ。

 5月のさる週末。外出先から車で自宅へと戻ってきた大東。その車から真っ先に飛び出したのは、幼稚園に上がる前くらいの男の子だ。まだ足元がおぼつかない別の男の子がその後ろを追いかけ、さらにその後ろを母親らしき女性が追いかける。その腕には小さな男の子が抱かれている。大東も除菌グッズとおぼしきものを手にし、4人が入っていった自宅に戻っていった。それは間違いなく、大東一家の姿だった。

 過去には、水川あさみ(36才)との交際が報じられたが、ほかに恋の噂はなかった。そんな大東とともに突然現れた妻と子供たち──どういうことかと本人を直撃すると、「3人ともぼくと妻の間の子供です。きちんとお話させてください」と、120分にわたり赤裸々に語り始めた。

「入籍したのは4年半前、2015年12月のことです。妻は、知人の紹介で出会った同い年の女性で、飲食業をやられていましたが、いまは専業主婦として子育てに専念してくれています。

 ぼくたちは、妊娠がわかった時点で籍を入れました。ただ、ぼく自身、幼少期に家庭が崩壊していたこともあり、そのときには家庭を持つという選択肢が持てなかったんです。そこで、責任は取るし、妻と子供を支えていくけれど、ぼくはぼくで生きていきたいと、妻に了承してもらったんです。そこから別居婚生活が始まりました。妻や子供とは頻繁に会ってはいたのですが…」

◆壮絶な生い立ち

 大東は、小学3年生のときに父が、中学2年生のときには母も蒸発したネグレクト家庭で育った。一人っ子で頼る人がおらず、空腹を満たすため、自宅に残された小銭で駄菓子を買い、その金が尽きると、学校で担任から菓子パンをもらうなどして飢えをしのぐという壮絶な体験をしていた。その後も、伯母に育てられるなど家庭環境に恵まれていたとはいえない。

 2016年に第1子が生まれた後、2人目、3人目と生まれるが、家庭を持つという選択からは逃れ、別居を続けた。

「2人目は計画的でした。ぼくがいられない分、家族という形をつくってあげたかった。お前が家族になれ、というお叱りの声があるのはわかるが、長男にとってもいちばんの理解者として、きょうだいがいるといいんじゃないかと思ったんです。

 自分は家族という言葉にどうしても拒否反応があって、誰かが家でぼくの帰りを待っているというのがダメだったんです。家庭が崩壊する様を身をもって知っているので、あるものがなくなっていく絶望を子供に味わわせるくらいなら、初めからつくりたくなかったんです」

 身勝手な言い分にも聞こえるが、家族の形は家族の数だけあるということでもある。ただ、それは別として、事実を隠す必要はなかったのではないか。

「保身…だと思います。隠していれば自由だと勘違いし、それで自分を守れると思っていたんです。すべてを話せば、いま幸せに暮らしているある女性や子供たちを傷つけることになるから隠していた部分もあります。

 いくつかのメディアで報道されていた通り、水川さんと交際していた時期がありましたが、当時はすでに入籍していました。結婚の事実を隠しながら水川さんとつきあって、何も伝えないままに別れたわけで、後々それが公になったらどれほど世間に叩かれるんだろう、どれだけ相手が傷つくだろうとも考えました。だから(笑福亭)鶴瓶師匠や中井貴一さんなどお世話になっている芸能界の先輩、地元の友人、育ての母である伯母も含め、誰にも言わずに隠し続けてきたんです」

 しかし、昨年から今年にかけて心境に変化が起こる。

「(2020年2月に公開された)映画『37 セカンズ』の現場での経験や、鶴瓶師匠とお話させていただく機会をいただくなかで、過去の生き方に縛られている自分を捨てようと。そして、いまの状況を隠している自分が情けなくなってきました。

 そういうときに新型コロナがあって、もう、自分の生き方や弱さを言い訳にはできない、これから家族として正しい形になろうと腹が決まりました。妻の両親にも、テレビ電話で報告し、安心してもらえました。今年の4月から新居に引っ越し、家族5人で暮らし始めています」

 そうやって家族について語る大東は、どこか吹っ切れたようにも見える。長く続いた話を、こう締めくくった。

「あるとき、長男に“パパの友達に会ったことないね”と言われたときに、隠していることが不甲斐ないって感じて。昔、加藤浩次さんのご自宅にお邪魔したときに、加藤さんが“家族こそが絶対に裏切らない仲間だ”と仰っていたんです。それを聞いたときは、意味が全くわからなかった。でも、いまはすごくわかります。家族は仲間です。これからも自分なりにではありますが、妻には感謝し、子供には愛情を注ぎながら家族というものと向き合っていこうと思います」

 隠すものがなくなった34才は、どんな再スタートを切るのだろうか。

※女性セブン2020年6月18日号