1980年代、2つの芸能事務所による快進撃がはじまった。グラビアでタレントの知名度を上げる手法を確立し、多くのグラビアスターを輩出した芸能事務所・イエローキャブとアーティストハウスピラミッド。そのトップであった野田義治氏(74)と森山幸男氏(69)の2人の“ライバル”が初めてメディアで語り合った。ノンフィクション作家・本橋信宏氏による司会のもと、グラビア全盛期に繰り広げられた熱き戦いが甦る。

森山:野田さんもそうだと思うんだけど、タレントってね、グラビアで人気が出る瞬間、「あ、これはいくぞ」って感じになる。「来たぞ」っていう感じはすごく嬉しいし気持ちいい。でもね、売れてからは楽しくないんですよ。

野田:そう。本当にまさにその通り。

──来たぞ、というのは具体的にどんな時ですか?

森山:問い合わせが来たりすると、来たぞという感じになりますね。(テーブルに置かれた週刊ポストのグラビアを指して)たとえばの話ね、この白波瀬海来ってうちの子ね、ヤング誌から今日、問い合わせがあったんですよ。嬉しいじゃないですか。久しぶりだったね。

◆「そんなことしたらオレ、腹かっ捌くから」

森山:僕は野田さんより5歳若い、今69歳ですけど、マネージメントも自分でやってますから。誰から何と言われようと自分で全部。

野田:けっこう力技使ってるからね、この人(笑い)。自分で編集部に電話するんだから。

──たしかに森山さんから電話がかかってきたり、この2人に乗り込まれたら(笑い)。

野田:いや、乗り込みはしないんだけど、電話がおっかない(笑い)。

森山:そんなことないですけどね(笑い)。まあ古いけど、義理人情ってあるからね。自分の所のタレントが困った時ね、大事なのは社長が体張るか張らないかですよ。野田さんが言ってたでしょ。「うちのタレントがそんなことしたらオレ、腹かっ捌くから」って。あれ、強烈だよね。マネージャーの鏡だよ。オレなんてイヤだね、痛いから(笑い)。

野田:よく言うわ。必ずやるからねこの人(笑い)。

森山:やんない、やんない(笑い)。今はもうちょっとスマートにやらないといけない時代だからね。

◆ピラミッドの子をよく触ってた

森山:昔言ってたじゃない、うちの子のおっぱい触ったりして「水着は下から入れてもっと上に上げるんだ」とか。この本(本橋氏が上梓した野田氏の評伝『新・巨乳バカ一代』)にも書いてあったよ。

野田:オレ、(森山さんに)1回怒られなかったっけ?

森山:「いじんないでください」って言った(笑い)。

野田:オレはね、ピラミッドの子をよく触ったな。それはね、水着の着け方を教えたの。結局、ほら、オレの水着の選び方っていうのは、小っちゃ目を選ぶんです。胸が大きく見えるから。そうすると女の子が癖で全部こうやって(上に持ち上げるポーズ)水着を上に上げるんですよ。そうしちゃうと大きく見えなくなっちゃう。だから着け方を教えたわけ。

森山:でもね、野田さんね、大変僭越ですけど、もう1回昔の野田さんに戻ってほしいのよ。巨乳(を売り出すこと)やったら右に出る人いないんだもん。

野田:同じ世界で仕事してきて(森山さんと)ぶつからなかったのは、ものの見事にね、女の子の趣味が違うからなの。だから同じことしてるんだけど、バッティングしないのよ。

森山:基本的に巨乳は好きですよ。

野田:やっぱり、みんなに言われるのよ。「もう1回胸の大きな子、売り出して」って。

森山:そう!! まだ若いんですから。

【プロフィール】
◆のだ・よしはる/1946年生まれ、広島県出身。サンズエンタテインメント会長。上京後、いくつかの職を経て渡辺プロダクションに入社。いしだあゆみや朝丘雪路、夏木マリらを担当。1980年頃イエローキャブを設立し巨乳ブームを巻き起こした。

◆もりやま・ゆきお/1951年生まれ、東京都出身。アーティストハウスピラミッド代表取締役社長。大学卒業後、ゆうせん企画に入社。1987年に独立しアーティストハウスピラミッドを設立。鈴木紗理奈や熊田曜子などグラビアから多くのスターを輩出している。

●聞き手/本橋信宏(もとはし・のぶひろ):1956年生まれ。ノンフィクション作家。執筆分野はAV、街歩きなど幅広い。昨年、著書『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)を原作としたドラマ『全裸監督』がネットフリックスにて世界配信され、大きな話題に。野田義治氏が手がけた巨乳ビジネスと芸能界の裏側に迫った新刊『新・巨乳バカ一代』(河出書房新社)が発売中。

※週刊ポスト2020年7月3日号