芸能界において、“好感度の高さ”というのは財産であると同時に、どこか頼りないものでもある。視聴者層が抱くイメージという“実態のないもの”を根拠にしている以上、たった一度のスキャンダルで仕事が激減してしまうリスクがあるのだ。彼らがタレントとして生き残るには何が必要なのか。

 バラエティで天下を獲り、“ワイプの女王”と呼ばれた矢口真里は、2013年に不倫報道が出た後、芸能活動を無期限休止する事態になった。メディア露出がゼロになり、当時は芸能界引退も考えていたらしい。しかし、近年は少しずつ仕事も増え、『矢口真里の火曜The NIGHT』(ABEMA)や『YUBIWAZA』(MBS)とレギュラー番組も抱えている。

 また、不倫相手だった元モデル男性と2018年に再婚し、昨年8月に第1子男児を出産した際は、「ここまで来たら一途ではないか」という声も寄せられた。不倫愛を貫いたことにより、徐々にイメージが回復していくのかもしれない。

 スキャンダル発覚後、新しいキャラをまだ模索中という印象なのがベッキーだ。バラエティタレントの中でも、とくに「明るく元気な優等生」というキャラクターで知られていただけに、2016年の“ゲス不倫”報道は世間に衝撃を与えた。現在はスキャンダルを自らネタにするなど、新たな一面を打ち出してはいるが、「明るく元気な優等生」に代わるベッキー像が世間に浸透しているとは言い切れない。こちらも元プロ野球選手で現在は巨人軍の片岡治大2軍内野守備走塁コーチと結婚し、今年3月に第1子を出産したが、これで世間の心証に変化が起きるかは未知数だ。

 最近だと、小島瑠璃子と大人気漫画『キングダム』の作者・原泰久氏との“お泊り愛”も注目を集めた。お互い独身で何の問題もないはずだが、もともと『キングダム』読者の間で原氏は別れた妻、子供と家族仲が良いイメージだったために、様々な憶測を呼んでしまっているようだ。

 芸能人にとって、“好感度の高さ”というのは、強力な武器であるからこそ、注意して扱わないといけないものなのだろう。少なくとも不倫が発覚してしまったら一発アウトのようだ。

 エンタメライターの西澤千央氏は、「好感度の高い芸能人の落とし穴というのは『自分の人気を確かめようがないところ』にあるのではないかと思っています」と指摘する。

「テレビにはたくさんキャスティングされる、スポンサーもついている、だけど実際一般視聴者たちはどれくらい自分のことを求めているのか? “好感度”というものの、その実、中身の無さ。これに気づいてしまう人から、転落してしまう気がします。

 たとえばベッキー。抜群の勘とセンスでバラエティの女王にまで成り上がったものの、『ベッキー♪♯』名義でスタートしたアーティスト活動の方はいまいちパッとしませんでした。私の人気ってなんなの? 単なるスタッフウケ? スポンサーウケ? そんなときに出会ったのがゲスの極み乙女。だったのでは。CDやライブにお金を払う“ファン”、実体のあるファンに支えられているアーティストに、自分にはないものを感じ惹かれていった面もあるのではないでしょうか。こじるりにも同じことが言えるかもしれません」(西澤氏)

 西澤氏はバラエティタレントの理想として、なんと勝俣州和を挙げる。

「バラエティタレントは決して自分を掘ってはいけない。そこには何もないことを確かめてはいけない。そういった点から、やはりだれも追いつけない場所に立っているのは勝俣州和なのでしょう。勝俣州和は勝俣州和を疑わない。勝俣州和は勝俣州和を生きることに迷いがない。以前『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で『勝俣州和のファン0人説』というのを放送していましたが、『ファン0人』とは言ってみれば本物のバラエティタレントたる証し。テレビ業界における空気や水のような存在に徹することが、好感度タレントが好感度タレントのまま生き残る唯一の方法と言えますが、それを望む人はあまりおらず、だからこそ未だ勝俣州和の座が脅かされないままなのです」

 好感度と自我の間で芸能人は引き裂かれる──。

●取材・文/原田イチボ(HEW)