デーブ・スペクター 30年活躍できる背景に日本愛と日々の研究

デーブ・スペクター 30年活躍できる背景に日本愛と日々の研究

 かつては珍しがられた「外国人タレント」も今や当たり前になっている。入れ替わりの激しい中、30年の長きにわたって活躍し続けているのがデーブ・スペクターだ。『サンデー・ジャポン』(TBS)や『とくダネ!』(フジテレビ)といったワイドショーのコメンテーターとしてもおなじみだ。そんなデーブの「オンリーワン」な魅力とは?

 フォロワー数110万人を誇る彼のTwitterには、ユーモアあふれるダジャレが毎日投稿されている。

「フランス製のポテトチップスはパリパリ」
「頼れる観光地→すがる海峡」
「じゃんけんが得意な歌手→aikoでしょう」

 注目すべきはその「語彙力」だ。森友学園による国有地買収問題に端を発する話題に触れたときには、

「昭恵夫人の行き付けの喫茶店→公人コーナー」
「官僚用の風邪薬→ソンタック咳止め」
「籠池ファミリーが呼ぶタクシー→抵当無線」といったように、言葉の知識が多少なりとも求められるダジャレをつぶやいている。
 
◆外国人タレントとしての役割を自己プロデュース

 その日本語能力は、彼がまだアメリカ・シカゴに住んでいたころに育まれた。

 小学校時代、日本からワタル君という転校生がやって来て、『おそ松くん』や『巨人の星』といった漫画を見せてくれたことがきっかけで日本に興味を持つようになった。そして小学校とは別に、日本人学校にも通っていたという。
 
 そんな中で深めていった、日本の文化や笑いへの造詣が役に立つ時が訪れる。1983年、アメリカのテレビ局「ABC」のプロデューサーとして番組の買い付けのために来日したとき、関係者の目にとまり、『笑っていいとも!』(フジテレビ)の1コーナーに出演した。

 それは日本の風習やことわざの意味を外国人タレントたちに答えてもらう「クイズ なるほど・だ・ニッポン」というもので、日本のことを知らないからこそ繰り出される珍回答が人気を呼んだが、デーブだけは、すでに知っているかどうかは別にして、どう答えれば周りが面白がってくれるか、スタッフの期待に応えられるか考えることができた。ちなみに出演時、加山雄三にちなんで「デーブ・雄三・スペクター」と自ら名乗ってイジられている。

 つまり彼の息の長さは、バラエティー番組の「外国人タレント」として求められる王道の役割を、素ではなく、完璧なまでにセルフプロデュースできていたことによる。
 
 日本に移り住むようになり、タレントになったあとは、これまでの日本文化だけではなく、今起きていることにも目を向けるようになった。新聞はスポーツ紙を含めて毎朝20紙に目を通し、東京キー局6局の放送をリアルタイムでチェックするために自宅に6台のテレビを置いてチェック。時事問題を語れる外国人タレントの先駆けになった。
 
◆本音をくだらないダジャレで隠している?

 さらに彼が重宝されるのは、前職で培った独自のネットワークによる、海外番組の買い付け販売だ。デーブは、世界から届く衝撃映像の提供を、国内でいち早くビジネスとして確立。社長を務める「スペクター・コミュニケーションズ」は国内のほか、映画やテレビ業界のオフィスが集中しているロサンゼルスのセンチュリーシティにも事務所を構え、グローバルに展開している。

 そうした功績やスキルについて、あまり語らないのも彼の人柄だ。あるラジオにゲストで呼ばれたとき、北朝鮮情勢について饒舌に語る彼に対し司会者が「詳しいですね」と聞くと、「いや、さっき池上彰に聞いたから」と、自分をよく見せようとはしない。また、「肩書きは何?」と質問されると、「コメンテーター。いや、謝ってばかりいるから“ゴメンテーター”かな」と、こちらも笑いですり抜けていた。

 冒頭で挙げたような政治のダジャレも、ともすれば「偏っている」と言われがちな批判を笑いで包んで見せていることも特徴的だ。

 かつてファッション評論家のピーコは、彼のことを「本音をくだらないダジャレで隠している、恐ろしい存在」と評したという。
 
 だが、それは彼が「ブラックジョーク」の国、アメリカで育ったことにも起因している。本音をそのまま相手にぶつけるのではなく、「直球」をオブラートにくるんで、やんわりと刺すことができるのだ。

 声高に主張しすぎず、アメリカンジョークを土台とした、日本語を巧みに使ったダジャレ。前職を生かした独自のネットワークによる番組買い付け販売。メディアの間を、さらりと、そしてしたたかに泳ぐデーブ・スペクターの今後に期待したい。(芸能ライター・飯山みつる)?

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