スポーツなら強くて勝つ選手が人気者になるのかというと、必ずしもそうではない。女子ゴルフではたびたび、アイドル的な人気を集めるゴルファーの勝利を阻む“ラスボス”的な存在が出現する。強さ故に記憶に残る、女子プロゴルファーたちだ。

◆ト阿玉(とあぎょく、※トはさんずいに余)

 1973年に台湾から来日すると国内ツアー通算71勝を挙げる。1982年からの5シーズンでは41勝し、その間は5年連続賞金女王に輝いた。

「決勝ラウンドではピンクのウエアに身を包み、颯爽と優勝をさらっていく。当時流行った映画のキャラクターにかけて“ピンクパンサー”と恐れられた」(元ツアー記者)

 外国人選手で唯一の永久シード選手で、国内ツアー71勝は69勝の樋口久子を凌ぐ歴代最多記録だが、公式記録ではLPGA会員となる以前の13勝がなぜかカウントされず、そのため「歴代2位」にランクされている。

◆不動裕理

 プロ4年目の2000年に6勝を挙げて賞金ランク1位になると、6年連続で賞金女王に輝く。この期間で37勝を挙げ、2003年には年間30試合のなかで10勝を挙げた。

「人気プロの服部道子や古閑美保も歯が立たない。優勝者が不動ばかりで、ギャラリーも視聴率も伸びないといわれる時代が続いた。

 2003年に宮里藍が高校生でツアー優勝すると、女子ゴルフ人気に火がついたが、2004年、2005年は賞金ランク2位になった宮里の女王戴冠を不動が阻止。横峯さくらも登場するなか、不動はヒール役の位置づけになった」(ゴルフ担当記者)

◆鈴木愛

 2019年の賞金女王は史上3人目となる年間7勝の快挙を挙げた鈴木愛だが、オフにバラエティ番組に引っ張りだこだったのは4勝で賞金ランク2位の渋野日向子だった。女王争いは最終戦までもつれた。

「渋野人気は凄まじく、最終日は8580人のギャラリーの大半が渋野のパーティについて応援する異様な光景だった」(ゴルフ担当記者)

 2017年にアン・ソンジュら韓国人選手を抑えて4年ぶりに日本人賞金女王となった時は鈴木に大声援が送られたが、今回は全英女子オープンを制したシンデレラガール・渋野の敵役となってしまった。

※週刊ポスト2020年4月3日号