4月25日に高田川部屋の高田川親方(53=元関脇・安芸乃島)と十両・白鷹山(25=十両)が新型コロナウイルスに感染したことが発表され、夏場所(5月24日初日)の開幕に暗雲が垂れ込めている。同じ日には他に幕下以下の4力士の感染も明らかにされ、すでに4月10日に公表された幕下力士1人と合わせ、7人の感染者が出たことになる。高田川親方らは4月30日までに退院して今後は各部屋で安静に務めるというが、複数の感染者が出たことで相撲協会には衝撃が走った。

「相撲協会は幕下以下の力士は個人情報の観点から、しこ名や所属部屋を発表していないが、高田川部屋にクラスター(集団感染)が発生したのではないかと心配されている」(相撲担当記者)

 高田川部屋の関取は白鷹山を含めて3人。幕内の竜電(29)は通い(自宅を部屋の外に構えていること)だが、同じ幕内の輝(25)は部屋住まい。また、今年の秋場所後に行司最高位の木村庄之助に昇格予定の立行司・式守伊之助(60)も所属する。彼らも「濃厚接触者」とされれば、夏場所の開催はかなり厳しい状況となりかねない。それでも相撲協会は予定通り4月27日に番付発表を行ない、夏場所の開催は(緊急事態宣言が区切りを迎える)5月6日まで感染状況を注視しながら判断するとしている。

 感染者が高田川部屋だけに集中しているのか、他の部屋でも感染が起きているのかは、相撲協会が詳細を発表していないので明らかではないが、相撲部屋でクラスターが起きやすい環境にあることは親方衆も認めている。

「ひとつ屋根の下での共同生活ですからね。関取は個室が与えられるが、幕下以下の力士は大部屋で寝起きする。換気や寝床の間隔に注意したところで限界がある。上の階には親方の家族も生活しており、玄関などの導線は共用。そのため(親方の)小さい子供たちを、おかみさんの実家に預けている親方も少なくない。どこの部屋も関取用の個室の数は限られており、これまでもインフルエンザやおたふく風邪の力士が出たときに隔離するのも大変だった」(若手親方)

 最初の感染者が出た直後、相撲協会は出稽古を禁止し、さらに各部屋に「密着自粛」を指示した。稽古では体を密着することになる申し合い(相撲に勝った力士が次の力士を指名)やぶつかり稽古(頭から当たって受け手の力士を土俵際まで押す)などはNGとなり、四股、テッポー、すり足などの基礎運動が中心になった。チャンコを囲む時には力士同士の距離をとることまで指導された。

「食事は個別に盛り付け、離れて座っているが、どんぶりや箸などの食器は大人数で使っている。トイレや風呂ももちろん共用。しかも、角界には“兄弟子の命令には絶対服従”という文化があるから、お使いやらの雑用を命じるなど何かと接触が多い。ある部屋では若い衆が寄り道しないように、スーパーへの買い出しを親方自らやっている」(若手親方)

 相撲協会では力士たちを“軟禁状態”にすれば、他の部屋への影響はないと考えたのかもしれないが、前出の若手親方は「かなりのリスクが伴う」と話す。

「白鷹山もそうですが、年齢に関係なく(コロナ感染で重症化しやすい)糖尿病や高血圧の持病がある親方や力士が多い。“感染が沈静化するまで、息子を実家に戻してもらえないか”と求める親御さんもいる」

 夏場所の番付発表後、新大関の朝乃山(26)は「四股やすり足などの基礎運動と筋トレで体づくりをしているが、稽古時間以外は部屋の個室に引きこもる生活が続いている」と近況を話したが、果たして夏場所は開催されるのだろうか。