大相撲秋場所では、2横綱がそろって全休したことに加え、幕内力士の途中休場も相次ぎ、休場力士は約70人となった。

 右膝蓋大腿靱帯損傷などで8月13日に内視鏡手術を受けた白鵬は、師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)の説明では「やっと歩ける状態。階段も上れず、蹲踞(そんきょ)もできず四股も踏めない」という状態で全休となった。

「もちろん部屋の稽古には不参加です。中央区の浜離宮を見下ろす自宅タワーマンションで家族と過ごし、マネージャーが通って身の回りの世話をしているという。モンゴルの歴史本などを読みふけっているとも聞きます。外出はせず、トレーニングのために借りている部屋にも行っていないようだ」(後援会関係者)

 角界最強の座をほしいままにしてきた白鵬も、この1年は優勝が2回あるものの、休場も3回と衰えを隠せない。

「いよいよ引退が視野に入ってきたが、親方として協会に残る条件となる日本国籍は得たものの、襲名する年寄株がない。功績著しい横綱にのみ認められる一代年寄の襲名も、素行の悪さから協会は認めない方針とされる。休場を挟みながら、“延命”して年寄株を探すつもりではないか」(ベテラン記者)

不戦勝に次ぐ不戦勝

 直近6場所で5回目の休場となった横綱・鶴竜の状況はさらに複雑だ。

「師匠の陸奥親方(元大関・霧島)も“次(11月場所)は進退をかける”と明言したが、鶴竜は帰化申請中で、まだ認められていない。このままの状態で引退となったら廃業せざるを得なくなる。鶴竜の場合、日本国籍を得られれば引退後に年寄株『井筒』が襲名できるといわれているので、なんとか時間を稼ぎたいところでしょう」(同前)

 鶴竜が所属する陸奥部屋は両国国技館のすぐ近くにあり、ファンを含めた関係者の目が多い立地だが、休場中の部屋周辺での目撃情報はなかった。

「2007年7月には当時の横綱・朝青龍が、腰骨の疲労骨折などを理由に夏巡業を休業しながらモンゴルでサッカーをしたことが問題となり、2場所の出場停止処分を受けた。2人の横綱は、いま何かあれば協会から引退勧告などの厳しい処分を突きつけられかねないので、休場中の行動には慎重に慎重を重ねているという」(同前)

 両横綱以外にも幕内力士で豊山(前頭4)、霧馬山(前頭5)、琴奨菊(前頭11)など途中休場が相次ぎ、初日から3連敗していた大関・朝乃山が2つも不戦勝を拾って“優勝争い”に顔を出す始末。

「朝乃山、貴景勝の両大関がピリッとしない土俵内容だから、白鵬も鶴竜も安心して休めてしまっている状況がある。日本人横綱が誕生すれば協会も休んでばかりのモンゴル横綱に厳しく指導できるので、“大量休場場所”で両大関に圧倒的な強さを見せつけてもらいたかったが、平幕の活躍で終盤まで大混戦。格好のチャンスを逃した」(協会関係者)

 いい加減な行動管理、上位力士たちの打算や思惑──休場力士だらけの本場所の裏側から、国技の危機が炙り出された。

※週刊ポスト2020年10月9日号