“相撲部屋クラスター”が続出するなか、日本相撲協会は初場所の開催を強行したが、モンゴル2横綱は3場所連続で初日から休場となった。コロナ感染が判明した白鵬と、横審の「注意」決議を無視するように出場を放棄した鶴竜。鶴竜に対して、横綱審議委員会の第14代委員長(2015年1月〜2017年1月)を務めた守屋秀繁氏(千葉大名誉教授)は鶴竜に対して「本来なら退場もの」と憤る。

 もうひとりの横綱である白鵬は、1月5日に新型コロナ感染が判明し、自己ワーストとなる4場所連続休場(全休は3場所連続)を余儀なくされた。

 共同生活を送りながら稽古を重ねる相撲部屋には、感染が広がりやすい特性がある。これまでも高田川部屋に始まり、玉ノ井部屋、立浪部屋、荒汐部屋などでクラスターが発生してきた。だからこそ白鵬と同じ宮城野部屋に所属する力士ら関係者もすぐにPCR検査を受けたが、全員が陰性だった。

「部屋で暮らす力士たちは年末年始の帰省も禁じられ、検温などの健康管理に加え、コンビニに行くのも親方に許可が必要という厳しい管理下で生活を送っている(行動記録は義務化)。一方、番付上位の既婚者の力士などは自宅から部屋に通うので、生活サイクルが大きく違う。

 白鵬は部屋の外で家族と付け人、トレーナーとしか接触していないといい、感染経路は明らかになっていない。どこから感染したかわからない以上、部屋全体を休場とするしかない。職業病とされる糖尿病などの持病を持つ者が多い力士は、コロナに感染すれば重症化のリスクがあり、部屋の関係者の不安は高まっている」(若手親方)

 騒動渦中の白鵬は11月場所後、鶴竜と一緒に横審から「注意」の決議を受けている。休場続きなのは鶴竜と変わらないが、昨年3月場所では優勝、7月場所も初日から10連勝(その後2連敗し、13日目から休場)と、土俵に上がれば強さを見せる。

「にもかかわらず横審が鶴竜と同列の扱いで『注意』を決議したのは、審判や横審に対して不平不満を述べるこれまでの姿勢が問題視された側面もあるだろう。次の3月場所で皆勤できなければ、白鵬にもさらに厳しい決議があり得る」(ベテラン記者)

 だが、懸念されるのは感染の「後遺症」の影響だという。

「新型コロナの後遺症については詳細がわかっていない部分が多いが、倦怠感や息苦しさなどの体調不良を訴える患者がいる。感染した力士は回復後も激しい稽古が難しくなるという話もあり、本場所で長い相撲になれば息が上がりやすくなるのではないか。そうでなくても35歳の白鵬にとって自身初の3場所連続全休となる。体もしぼんでくるし、本場所でしか得られない相撲勘もどんどん失われていく」(同前)

 白鵬は、乱暴な取り口や勝手な振る舞いで批判を集めながらも、「皆勤すれば優勝に絡む」という実力で周囲を黙らせてきた。それが、これまで通りにはいかなくなるという見方だ。

※週刊ポスト2021年1月29日号