長野、内海を失った巨人 生え抜きベテラン軽視の代償は

長野、内海を失った巨人 生え抜きベテラン軽視の代償は

 巨人は、広島からFAで獲得した丸佳浩の人的補償として、首位打者や最多安打のタイトルを獲得したことのある長野久義を放出することになった。昨年12月には、FA移籍の炭谷銀仁朗の人的補償として西武に、通算133勝の内海哲也を流出。2010年代の巨人を引っ張ってきた生え抜き2人の相次ぐ移籍に、球界の内外から衝撃の声が挙がっている。

 2013年オフに大竹寛をFAで広島から獲得する際、人的補償で手放した一岡竜司が広島の中継ぎとして大車輪の活躍。この影響もあり、巨人は有望な若手をプロテクトし、ベテランを放出する方針になったと見られる。野球担当記者が語る。

「昨年入団以来、初めて規定打席に到達しなかった長野を出して、2年連続MVPの丸を獲得したと考えれば、戦力的にはプラスかもしれない。しかし、優勝するには必ずベテランの力が必要です。原監督自身、選手、コーチ、監督時代を通じて痛感してきたはずですが……」(以下同)

 原辰徳が入団した1981年、自身を含めた若手の台頭で巨人はV9以来となる日本一を達成。26歳の江川卓や25歳の西本聖が大活躍する一方で、入団10年目を迎えていた加藤初が先発とリリーフをこなし12勝を挙げた。野手でも、原や中畑清、篠塚利夫などが主軸を担う中で、最後のV9戦士と言われた遊撃手の河埜和正が内野の要となっていた。

 次の日本一となる1989年には、中日から移籍してきた捕手の中尾孝義が強気のリードでチームに刺激を与え、簑田浩二や津末英明が要所でベテランの味を見せた。近鉄との日本シリーズでは、3連敗した後の第4戦、1番に抜擢された簑田浩二が二塁打で出塁し、先制のホームを踏んだ。これで流れを掴んだ巨人が4連勝して逆転の日本一を勝ち取った。

 原辰徳のコーチ時代に2年目となった2000年には、控えに回っていた川相昌弘の職人技も光った。2勝2敗のタイで迎えたダイエーとの日本シリーズ第5戦、4対0とリードした8回表無死一塁、二塁で、5番のマルティネスに代わって登場。確実に送らなければならない場面で、きっちりバントを決め、続く高橋由伸がダメ押しの2点タイムリーを放った。松井秀喜や清原和博などの大砲ばかりが注目される中で、小技の効くベテランは日本一を手繰り寄せるために欠かせない戦力だった。

「シーズンを通しての成績で突出しなくても、ここぞの場面でベテランの力は必ず役に立ちます。中尾や簑田は移籍組でしたが、当時の巨人は生え抜きばかりでしたから、彼らが良い刺激となったのは間違いありません。チームに1番大事なのはバランスです。今の巨人は移籍組があまりに多く、今季の外野陣は元広島の丸、元日本ハムの陽岱鋼、元中日のゲレーロと“外様組”で占められる可能性も十分ある」

 バランスを考えると、生え抜きのベテランの離脱は痛い。

「長野や内海が残留していても全盛期ほどの活躍は望めないかもしれません。しかし、優勝を目指す中で、欠かせない存在だったこともまた事実。長野が抜けたことで、30代後半で生え抜きのベテラン野手は開幕前の3月に不惑を迎える阿部慎之助と7月に37歳となる亀井善行の2人となった。

 どの球団もそうですが、巨人には巨人の独特の文化がある。それを継承できるのは生え抜きのベテランしかいない。目に見えないグラウンド外の部分で、移籍選手が戸惑わないためにも、長野や内海は必要だったのではないでしょうか」

 FA戦略を根本から考え直さないといけない時期に差し掛かっているようだ。(文中敬称略)


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