角居勝彦師 競馬の降級制度が廃止される影響について

角居勝彦師 競馬の降級制度が廃止される影響について

 昨年7月、道路交通法違反の容疑で逮捕され90日間の免許停止という行政処分を受けた角居勝彦調教師。このたびJRAから下された約半年間の調教停止期間が終了、競馬の世界に戻ってきた。それにともなって中断していた『週刊ポスト』での連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」も再開する。再開にあたっての言葉と、競走馬の「クラス分け」の考察についてお届けする。

 * * *
 今回の件は自分の飲酒運転に対する認識の甘さ、心の緩みです。二度とこのような過ちを繰り返さないことを肝に銘じ、より一層調教師業に邁進します。また、このページを愛読してくださった読者の皆様にもお詫び申し上げます。

 この間、所属馬を預かっていただいた中竹和也調教師、また厩舎スタッフたちにも迷惑をかけてしまいましたが、私が不在でも頑張ってくれました。なかでも4歳エアウィンザーは3勝して重賞チャレンジカップを制覇、3歳タニノフランケルも2勝してオープン入りしました。その他の馬も順調で感謝するばかりです。

 さて連載は、今年度から「降級制度が廃止される影響について考えてみたいと思います」で中断していました。

 たとえば、エアウィンザーは昨年5月のむらさき賞(1600万円以下=今期からは「3勝クラス」)で4勝目をあげてオープン入りしましたが、6月になった段階で降級。そのため、9月に再び1600万円以下の西宮Sに出走することができ、1.4倍の1番人気に応えて勝ちました。1600万円以下の強い相手との競馬を2度にわたって勝ち抜いたことで、その地力を確認することができ、当然、その分の賞金も稼ぐことができています。その勢いも駆って、10月のカシオペアS(オープン)、チャレンジカップ(GIII)と連勝したわけです。

 一方、昨年10月に大原S(1600万円以下)を勝ったタニノフランケルは、3歳にしてオープン入りしましたが、仮にこのまま4歳の6月を迎えてもエアウィンザーのように、1600万円以下に降級することはなく、生涯オープン馬です。オープンだけではなく、現時点で1000万円以下、1600万円以下にいる馬は、生涯そのクラスで競馬をしていくことになるのです。

 昨年6月の東京・阪神8日間、函館6日間の「3歳以上」の条件戦を見ると、4歳の「降級馬」がおよそ半数近く勝っている。当然、予想ファクターでも重要視され、「降級馬」と太字で記した予想紙もあったぐらいです。上のクラスで二桁着順続きだったとしても、一つ下のクラスに下がれば、勝つこともめずらしいことではありませんでした。かつて4歳以上のレースの出走頭数が少なかったためにできた制度ですが、現在ではこの制度は役割を終えたのではないかということでしょう。実際夏季競馬では、500万円以下のレースが多く組まれる一方、1600万円以下やオープンでは少頭数のレースが多くなるという弊害が問題になっていました。

 これがなくなるとどういうことになるか──たとえば、1000万円以下クラスでただでさえ壁を感じていた馬は、同じレベルの馬を相手にしつづけなければならないし、なおかつすでに2勝をあげた若い3歳馬と走らなければならなくなる。しかも3歳馬のほうが斤量面でも有利なのです。下位に甘んじることの多い馬は、競走馬としての限界がささやかれるようになります。

●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。2000年に調教師免許取得、2001年に開業。以後17年で中央GI勝利数24は歴代3位、現役では2位。2017年には13週連続勝利の日本記録を達成した。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカなど。『競馬感性の法則』(小学館)が好評発売中。2021年2月で引退することを発表している。

※週刊ポスト2019年1月18・25日号


関連記事

おすすめ情報

NEWSポストセブンの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索