ED(勃起不全)治療薬は「保険適用」であるべきか「自費」でゆくべきか?──本誌・週刊ポストの読者アンケートでは、適用:69.9%、自費:26.9%という結果になった(※「2020年日本の重要問題について意見をお伺いします」から集計。998人が回答。100%に満たない部分は無回答)。それぞれの意見を代表する専門家に、その理由を聞いた。

●村上和巳氏(医療ジャーナリスト・保険適用派)

 ED(勃起不全)は心理的なストレスだけでなく、脊髄損傷、高血圧や糖尿病などの生活習慣病による神経障害や血管障害によっても起こる。治療が必要な以上、治療薬を保険適用にしてしかるべきだ。イギリスでは、EDの原因となる明らかな病気がない場合でも、重度な苦痛になっていると専門医が認めれば保険適用での処方が認められている。

 そもそも海外では個々人の生活の質(QOL)などを医学的に評価する時には性生活の満足度を聴取して評価するのが当たり前だ。日本では、性生活の位置づけが低く評価され過ぎている。

 保険適用薬の公的薬価は、市場実勢価格調査での価格水準を踏まえて現在は2年に1回、2021年からは毎年引き下げが行なわれる。保険財政の大きな負担になることはないはずだ。

●小黒一正氏(法政大学経済学部教授・自費派)

 ED治療薬の場合、少子化対策として20〜40代の若年層への処方は保険適用の検討余地があるが、基本的に高年齢層の検討余地はない。

 保険適用の基本的な考え方は、「大きなリスクは『共助』、小さなリスクは『自助』」。すなわち命にかかわるとか生活上非常に困るような病気で、家計への負担が大きい場合は保険適用にし、それ以外は保険適用外か自己負担を増やすのが筋である。本来なら湿布薬なども保険適用から外すべきだろう。

 もっとも、子供を欲しいと願っている若い夫婦が週に2〜3回、1錠1500円の錠剤を服用する場合、年間のコストは15万6000〜23万4000円。このような負担については一定の軽減の余地がある可能性がある。だが高齢者の場合は若年層とは区別して考える必要がある。

※週刊ポスト2020年1月17・24日号