日々めざましい進歩を遂げる家電。高齢者の生活を支えてくれる一方で、高齢者の「使えない」が「やらない」に直結しがちなのもまた事実。長い高齢時代を快適に過ごすため、家電をどう活用していくかを家電コーディネーターの戸井田園子さんに聞いた。

◆洗濯機・冷蔵庫・炊飯器は従来タイプで自立を促す

「高齢者の生活に家電を生かすには“自立支援”と“楽になる”の二面から考える必要があります」と、戸井田さんは言う。最先端だから必ず役に立つとは限らないのだ。

「たとえば洗濯機。最新はドラム式洗濯乾燥機で洗剤自動投入機能付き。機能自体は便利でも、しくみが理解できないと“怖いから触れない”となりがちです。

 高齢者には、いままで通り洗剤を量って入れ、長年慣れたボタン操作から大きく変わらないものの方が、洗濯を自分の仕事として続けられる。つまり、自立を促せるわけです。

 洗濯機、冷蔵庫、炊飯器など身近なツールとして使いこなしてきたものは冒険せず、使っていたものと同じラインから選ぶのがおすすめです」

 また、これからの季節は、空気清浄、布団や衣類乾燥など、室内環境を整える家電も活躍。老親の操作のしやすさも重視して選びたい。

◆ダイニングを囲炉裏端に!卓上料理のすすめ

 一方、生活が“楽になる”家電の活用法を聞くと、驚きの提案が返ってきた。

「毎日の調理は主婦の最大任務。足腰が痛くて台所に立つのがつらくなり調理から遠ざかるという話もよく聞きます。独居や老夫婦だけになったら、食卓で座って調理するスタイルにしてはどうでしょう。

 食卓に卓上コンロや電気グリル鍋、ホットプレートなどの“熱源”を置き、座って食材を切ったり調理したりして食べる。コンビニの総菜を温めながら食べてもいい。朝は卓上ホットプレートでパンやハムエッグを焼き、夜は酒肴にチーズやちくわを焼く。深いグリル鍋で熱燗も…と、これは戸井田家流(笑い)。名付けて“ダイニング囲炉裏化計画”です!」

 棚の奥にしまいがちな鍋やホットプレートを食卓ですぐ使える場所に置く。こんなニーズに呼応して、コンパクトでおしゃれな卓上調理家電も続々登場している。

「これならお父さんも調理に参加できる。家事シェアです。大切な食を楽なスタイルで続けられる工夫をしましょう」

◆高齢者も扱いやすいロボット掃除機!

「最先端のもので導入したいのはロボット掃除機です。これは老親たちの生活の中にはなかったもの。健気に動き回って掃除し、しかもほとんどがボタン1つの簡単操作。理解しやすく扱いやすく、子供世代が心配するよりずっと受け入れられやすいようです」

 従来の掃除機なら、出して掃除して片づけるところまで相当な労力を要する。床の水拭きとなればさらに重労働だ。これをロボットに任せられるのは、高齢者にとって肉体的にかなりのメリットがある。

「狭いところも隅々まできれいに掃除したり、段差を乗り越えたり、性能はどんどん進化中。また高齢男性は特に興味を引かれるようで、愛称をつけたり掃除機が動く先を片づけて歩いたり(笑い)。“新しくておもしろい存在”の登場で生活意欲が湧く。まさに最新家電の真骨頂です」

【Profile】家電コーディネーター・戸井田園子さん●株式会社INTECO代表。家電を取り入れ時間を産む『時産』を提唱する家電コーディネーター。Web・雑誌・新聞・ラジオなどで幅広く活躍中。家電の性能・デザイン・価格をトータルに比較した生活者目線のコメント、アドバイスが人気。

※女性セブン2020年5月7・14日号