人々を疲弊させる新型コロナウイルス。家の中でも、外出中でもストレスが溜まり、頃なり今夜DVのニュースも増加する…。どうやら、私たちは思いやりの心を枯渇させているのかも…。そこで、新型コロナでギスギスする世の中で見つけた心温まる実話を紹介。大切な人を思う気持ちを思い出してみませんか?

『妊娠でわかった真実』(34才・会社員)

 3月に妊娠が判明しました。お腹の子は大学時代からつきあいのある、彼氏のような友達のような、関係のあいまいな人。私は14年間、彼に片思いをしているのですが、彼は常に「おれは結婚しない」と断言していたので、正式な交際には踏み切れないまま続いていたんです。

 妊娠に気づいたときは、新型コロナウイルスが蔓延し始めており、

「こんななか、たったひとりで子供は産めない」

 と、中絶を決意。丸2日悩んでから、彼にも伝えておこうと、

「子供ができたけど、堕ろすから安心して」

 とLINEをしました。するとその1時間後、血相を変えた彼が私のアパートのドアを叩いたのです。

「どういうことだよ」

「あなたは結婚したくないと言うし、私もこんな状況でひとりで子供を育てる自信がない。だから堕ろすの」

 自分が自分ではなくなったのではないかと思うほど冷静にこう言うと、彼が、

「おれは自分の母親の命と引き換えに生まれてきたんだ。だから幸せになってはいけないと思っていた。おれは幸せになれないけど、子供は別。幸せにしてあげたい」

 そう告白してくれました。聞けば、彼は3人きょうだいの末っ子で、彼のお母さんは体が弱く、彼を産んですぐに亡くなったそうです。

 いまでは、何があっても子供を守ろうと、ふたりで決意を固めています。

「お腹の子が女の子なら、母さんの生まれ変わりかも」

 私も、彼のお母さんの分まで、彼と生まれてくる子供を幸せにしたいと思います。

※女性セブン2020年6月11日号