新型コロナの影響で止まっていたスポーツが徐々に再開している。プロ野球が6月に開幕し、サッカーもJ2とJ3がそれぞれ6月に再開、開幕した。J1は7月4日に再開される。それに合わせて、スポーツくじも始まっている。2月の発売時に“最高12億円”の当せん金として注目された「MEGA BIG(メガビッグ)」も、販売が再開されている。MEGA BIGの当せん確率について、ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也氏が考察する。

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 今年は、新型コロナの影響で、春にはスポーツが軒並み止まってしまった。野球やサッカーをはじめ、多くのスポーツが開幕延期や中止となった。そのため、サッカーの試合観戦に花を添えるスポーツくじも発売中止となっていたが、6月から徐々にスポーツがリスタートするとともに、スポーツくじも再開されている。

 スポーツくじには、いくつかの種類がある。大きく分けると、コンピュータがランダムに試合結果を選択する「BIG」と、くじを買う人が試合結果を予想する「toto」がある。今年2月に登場した「MEGA BIG」は、BIGと同じくコンピュータがランダムに試合結果を選択するタイプだ。

 MEGA BIGは、宝くじと同じように、単純にくじとして楽しみたいという人向けのくじだ。対戦する両チームの戦力分析をしたり、過去の対戦成績をみたりしながら、試合結果の予想を楽しみたいという人にはtotoがオススメとなる。

 それではMEGA BIGの当せん確率はどれくらいあるのか、少し考えてみることにしたい。なお、あらかじめお断りしておくが、筆者は、スポーツ評論家ではないので特定のチーム戦力や、チーム間の対戦成績などをもとに、専門的な予想を述べることはできない。あくまで、統計的な確率だけを頼りに考えていくことにする。

◆1等当せん金は日本くじ史上最高額!

 まず、くじの仕組みを確認しておこう。MEGA BIGは、指定されたサッカー12試合の90分間の試合結果が、くじの対象となる。ただし、試合結果といっても、BIGやtotoのように、ゲームの勝敗が対象になるわけではない。対戦する両チームの合計得点数が対象となる。

 1つのゲームの合計得点数について、「1点以下=【1】」、「2点=【2】」、「3点=【3】」、「4点以上=【4】」の4通りの試合結果がありうる。12試合すべてについて、コンピュータの選択した結果が、実際の試合結果と一致した場合、1等当せんとなる。MEGA BIGは、1口300円で、1等はキャリーオーバーがない場合は、最高7億円。キャリーオーバーがある場合は、なんと最高12億円となる。

 このキャリーオーバー発生時の12億円という当せん金は、公営競技を除いて、これまでの日本くじ史上最高額となっている。

◆1枚の当せん確率は必ずしも同じではない

 MEGA BIGなどのスポーツくじが、宝くじと異なる点はなにか。大きく異なるのは、MEGA BIGは1枚のくじの当せん確率が必ずしも同じではないというところだろう。宝くじならば何組の何番であろうと、当せん確率は変わらない。どの番号のくじでも、当せん確率は同じだ。

 しかし、MEGA BIGの場合、対象となるサッカーの試合で、【1】【2】【3】【4】の結果が均等に出るとは限らない。コンピュータの選択に応じて、それぞれのくじの当せん確率に違いが出ると考えられるのだ。

 では、実際にサッカーの【1】【2】【3】【4】は、どの程度の割合で出現しているのだろうか?

 2019年のJリーグのうち、J1のリーグ戦の結果をみてみよう。全306試合のうち、【1】は80試合(26.1%)、【2】は85試合(27.8%)、【3】は63試合(20.6%)、【4】は78試合(25.5%)であった。つまり、合計得点数が1点以下や、2点といったロースコアのゲームが比較的多かった。

 そこで、今年も各試合で両チームの合計得点数が【1】【2】【3】【4】となる確率は、この割合のとおり、26.1%、27.8%、20.6%、25.5%であると仮定してみよう。この仮定のもとで、当せん確率が一番高いくじはどういうくじだろうか?

 これは当然、全試合が【2】のくじだ。1等当せん確率は、0.0000211%となる。

 逆に、当せん確率が一番低いのは、全試合が【3】のくじだ。1等当せん確率は、0.00000058%となる。全試合【2】のくじと比べると、1等当せん確率は、約36分の1になってしまう。

 しかし、ここまで読まれた読者は、かなり違和感を感じているかもしれない。

「全試合【2】のくじなんて、当たらないのでは?」
「てきとうに、【1】【3】【4】が混ざっていたほうが、当たりそうな気がするけど……」

【1】【2】【3】【4】の試合数がどういう内訳のくじが当たりやすいのか、ということでいえば、この違和感は正しい。

 実際に計算してみると、【1】が3試合、【2】が4試合、【3】が2試合、【4】が3試合という内訳のくじが当せんする確率がもっとも大きい。ただし、くじの対象の12試合がこのような内訳となるパターンは、27万7200通りもある。この中から選ばれた1口のくじが当せんする確率は大変小さい。

◆年末ジャンボと比較した1等当せん確率は?

 それでは、MEGA BIGは、宝くじよりもおトクなのだろうか。代表的な宝くじである「年末ジャンボ」と比較してみよう。MEGA BIGは1口300円、年末ジャンボも1枚300円で、どちらも同じだ。

 まず、1等の当せん確率を比較しよう。MEGA BIGでは、当せん確率は、くじによって、0.00000058%〜0.0000211%となる。平均は、0.000006%となる。一方、年末ジャンボは1ユニット2000枚の中から1枚、1等がでる。当せん確率は、0.000005%(=1÷2000万)となる。

 MEGA BIGはくじによって当せん確率が異なるため、どちらが高確率かはケースバイケースだが、平均では、当せん確率はMEGA BIGのほうが大きい。

◆1等当せん金は、年末ジャンボより高いことも

 次に1等の当せん金を比較しよう。MEGA BIGでは、キャリーオーバーがない場合、最高7億円。キャリーオーバーがある場合は、最高12億円。ただし、当せん金は、売上金額や当せん口数によって変動する。一方、年末ジャンボは7億円、前後賞も合わせると10億円となる。こちらは固定額だ。

 MEGA BIGの当せん金が条件次第で変動するため、どちらが高額とは言い切れない。ただし、MEGA BIGでキャリーオーバー発生時には最高12億円の可能性があり、これは年末ジャンボの1等前後賞10億円よりも高い。

 このように、1等については、当せん確率、当せん金額とも、MEGA BIGの魅力は年末ジャンボに匹敵する、あるいはそれを上回っているといえそうだ。

 J1のリーグ戦は7月4日に再開される。まずは、リモートマッチ(無観客試合に代わる名称)で始まり、10日からは観客を入れた試合が行われる見通しだ。ただし、観客はマスク着用のうえ、間隔を空けて着席するなど、新たな観戦スタイルが模索されることになりそうだ。

 ファンやサポーターは、これまでスタジアムでリアルな応援を繰り広げてきたが、これからはTVやインターネットを通じて、リモートで声援を送るというスタイルも当たり前になるかもしれない。

 リアル観戦にせよ、リモート応援にせよ、MEGA BIGなどのスポーツくじでワクワク感を高めれば、よりスポーツ再開の喜びや楽しみが増しそうだ。