日本全国にある美味しいラーメン。今ではお取り寄せで楽しめるものも多くなってきた。そこで、最高に旨いお取り寄せラーメンを決めようと「麺の達人」4人が集結。ラーメンデータバンク取締役会長の大崎裕史氏、初代ラーメン大王の小林高充氏、ラーメン評論家の本谷亜紀氏、第6回ラーメン王の山本剛志氏の4人が、15商品を試食する180分白熱品評会を開催した。(以下、敬称略)

【食べ比べたお取り寄せラーメン15】
・北海道 すみれ 生ラーメン(味噌) 1食 594円
・青森 長尾中華そば おみやげ中華蕎麦(あっさり) 1食 890円
・山形 新旬屋本店 金の鶏中華 2食入り 1360円
・福島 会津ブランド館 パーフェクトラーメン喜多方 4食入り 1980円
・新潟 らーめん処 潤 中華そば 3食入り 2550円
・千葉 房総式ラーメン JINRIKISEN 竹岡式ラーメン 2食入り 1700円
・東京 飄香(ピャオシャン) 香飃牛肉麺(本場四川の牛肉麺) 3食入り 4860円
・岐阜 らーめん あきん亭 お土産あきんめん 2食入り 1600円
・京都 らーめん錦 6種から選べるかけラーメンセット 鯛白湯 2食入り 2000円
・奈良 麺屋NOROMA 冷凍お土産鶏白湯ラーメン 4食入り 2800円
・大阪 彩色ラーメンきんせい こだわりの塩 1食 830円
・徳島 いのたに本店 中華そば(肉入大盛) 2食入り 1500円
・広島 尾道ラーメン喰海(くうかい) 尾道ラーメン 1食 680円
・福岡 ラーメン龍の家 冷凍生ラーメン とんこつ こく味 1食 850円
・鹿児島 鹿児島ラーメン豚とろ WEB限定 厚切りチャーシュー(1斤)入り豚とろラーメン 3食入り 2805円

大崎:本日の品評会では、有名店を中心に各地の取り寄せラーメン15品を試食しました。お取り寄せのメリットは、店の味を家で食べられること。どの商品も店の特徴がよく出ていて楽しめましたね。皆さんがベスト3を選ぶなら、どのラーメンになりますか?

小林:私は新潟の「潤」が、スープ・麺ともに店の味の再現度が一番高いと感じました。京都の「錦」は今回初めてでしたが、鯛のスープのインパクトが強烈で、店に行ってみたくなりました。徳島の「いのたに」は、具が揃っていて、店の味をそのまま家で食べてもらおうという気概を感じました。

本谷:北海道の「すみれ」は、常温保存の手軽さ・値段・味のバランスがいい。家計が気になる女性として、高評価をつけました。「いのたに」は具が揃っているので、家にある生卵とご飯で豪華な1杯を楽しめる。鹿児島の「豚とろ」は、チャーシューにグッと来ました。

山本:私は「潤」の完成度がずば抜けて高いと感じました。店で食べるのと遜色ないレベルに達しています。大阪の「きんせい」は、すっきりしたスープが美味しい。福島「会津ブランド館」の喜多方ラーメンは、麺やチャーシューの完成度が高く、食べる楽しみを感じました。

大崎:私も「潤」に一票。あとは東京の「飄香」、福岡の「龍の家」。3店とも麺、スープ、具の質が高い。さらに「潤」なら背脂、「飄香」はラー油、「龍の家」は辛味噌など、プラスアルファの味の変化が楽しかったです。店の味の再現度については、冷凍・冷蔵での取り寄せが増えたことが大きいですね。

小林:ひと昔前の「お土産ラーメン」は、常温での長期保存が基本で、添加物を使っていた上、麺が固くなりやすかったですからね。

山本:今は冷凍のストレートスープを温めるだけだから、お湯で割る必要もなければ煮詰まる心配もない。味はもちろん、香りも再現されています。通販のレベルがあがってきているのを感じますね。

大崎:今回の15品のうち、具付きは13品。冷凍スープの中に具が入っているものも多かったです。購入する際は、具の有無と、それに対する価格をチェックしたほうがいいですね。

山本:私の場合、具の評価基準はやっぱり肉、チャーシュー! 喜多方ラーメンのチャーシューはボリュームがあって柔らかでした。

本谷:千葉の「JINRIKISEN」や鹿児島「豚とろ」のチャーシューも、ボリュームたっぷりで満足感が高いですね。

大崎:「飄香」は、ラーメンのお取り寄せとして語っていいのか迷うほど、牛肉がメイン。値段もそれなりに高いですが、すごいです。

山本:「いのたに」は、冷蔵でねぎともやしまで送られてくるのにはびっくり。

大崎:コロナ禍の外出自粛中に、2か月半で100食ほど取り寄せましたが、生ねぎ入りは「いのたに」と岐阜の「あきん亭」が初めて。味に対する店の強いこだわりを感じますね。

本谷:両方とも賞味期限が短いのがネックですが、それさえも楽しんで取り寄せる感じでしょうか(笑い)。

山本:「龍の家」は、1食につきパッケージが7つ。油、タレ、スープ、具がそれぞれ分かれていて、店の工程そのもの。

小林:具なしの場合は、自分で好きな具をのせる楽しみがあります。

山本:私はキムチをのせたり、塩ラーメンに昆布の佃煮を入れたり。あとは、味噌ラーメンにバターは欠かせない(笑い)。

本谷:私は、たまにサバ缶をトッピングしますよ。

大崎:店の味を基準にちょい足しする贅沢がたまらないね。何食かセットの場合は、1杯目は店の指示どおり食べて、2杯目からちょい足しを楽しむのもいい。

山本:煮卵やねぎは、ぜひ入れたい。最近は煮卵もカット済みのねぎもコンビニで買えますから、手軽です。

地方に行けなくてもお取り寄せラーメンで仮想旅行

大崎:取り寄せラーメンの課題は、送料の高さ。1食買おうとすると、800円のラーメンに対して送料が1000円以上かかったりする。割高だから3食買おうとなる。その解決策として、1回分の送料で複数店のラーメンを購入できるサイトも登場しています。また、コロナ禍で通販を始める店が増えたので、今後は通販限定メニューが増えるかもしれません。

山本:喜多方ラーメンは試食した中で唯一、有名店の商品ではありませんが、その完成度は通販だからこそですね。スープ、麺、チャーシューをそれぞれ専門業者から選んで、一つの美味しいラーメンが出来上がる。こうした工夫ができるご当地ラーメンはいくつもあると思います。

大崎:ご当地の知恵を集める喜多方のアイデアはすごい。地域おこし的にまとまることで、コストを下げられる効果もあるでしょう。

小林:取り寄せの場合、店の知名度で購入しがちです。でも、ラーメンは全国各地にいろいろな味があり、各地域の中でも店によって味はさまざま。それを知れるのがお取り寄せのよさ。

山本:我々は店で食べた味に対する再現性の高さなどを評価しますが、取り寄せの本来のよさは、なかなか地方に行けない人が家でご当地の味を食べられること。本当に便利な時代になってきました。

本谷:初めての味を取り寄せるのもおすすめ。食べてみて美味しければ、店に行ってみるというのもありだと思います。

小林:僕は、取り寄せラーメンの魅力は、家でラーメンの仮想旅行ができるところだと思っているんです。

山本:なるほど。今、店によってはホームページで作り方の動画が見られますが、今後はネットで店内の映像や音を楽しみながら、ラーメンを食べられるようになるかも(笑い)。

本谷:それ、いいですね! 動画でこういう人が作っているラーメンなんだとわかると、盛り上がりますね。

大崎:遠出が難しいこの時期だからこそ、いろいろな取り寄せラーメンを試していただき、好きなラーメンを見つけてもらえたら嬉しいです。そして、落ち着いたら、ぜひ現地に行って食べていただきたいですね。

●大崎裕史(おおさき・ひろし)/ラーメンデータバンク取締役会長。約2万5500杯を実食し、「自称日本一ラーメンを食べた男」としてメディアで活躍。

●小林孝充(こばやし・たかみつ)/ラーメンの評論やプロデュースなどで活躍。『TVチャンピオン』のラーメン王選手権の第8回ラーメン王。初代ラーメン大王。

●本谷亜紀(ほんや・あき)/学生時代に『お願い!ランキング』で「ラーメン女子大生」としてデビュー。ラーメン評論家として雑誌・テレビなどで活躍。

●山本剛志(やまもと・たけし)/ラーメン評論家、アメーバブログ『ら〜マニア共和国』毎日更新中。『TVチャンピオン』の第6回ラーメン王。

■撮影/中庭愉生

■調理/甲斐優美

※週刊ポスト2020年10月9日号