日本人は、世界の中でも特に睡眠が少ないと言われている。最近は、コロナ禍のストレスもあり、さらに眠れないという人も多いのではないだろうか。

 不眠の悩みは内科・精神科・心療内科などで相談できるが、睡眠障害などに特化した睡眠外来では、専門医が初診時に問診や簡易検査、必要に応じて精密検査などを行っており、患者数が増えているという。いったい、どんな診療や治療を行うのか。睡眠外来に多い例をもとに見ていこう。

布団に入ってもなかなか眠れない

【43才・パート Aさんのケース】
 もともと寝つきのいい方ではないのですが、最近は23時頃布団に入っても、眠るのは3時過ぎ。「眠らなきゃ、眠らなきゃ」と思うとますます目がさえ、眠れたと思ってもすぐに起きる時間。ダルい体で家族の朝食の準備や洗濯などを済ませ、バタバタと出勤。毎日、睡眠3時間は本当にきついです。

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「不眠症の中で、最もポピュラーな入眠障害です。これは布団に入ってから寝つくまでに30分から1時間以上かかることを繰り返す場合が該当します」と言うのは、すなおクリニック院長の内田直さん。

「寝つきの悪さを改善するためには、作用時間の短い睡眠導入剤を処方するのが一般的ですが、薬だけではなく、眠るための生活指導も行います。夜型の人なら概日リズ(*)ムを前倒しにする薬や、漢方薬などを用いる場合もあります」(内田さん・以下同)

【*24時間のリズムで変化する体内時計のこと】

 最近は、何かのきっかけで眠れなくなり、「今日も眠れないのでは」と、不安がひとり歩きしてしまい、焦りで眠れなくなる精神生理性不眠症に悩む人も多くいるという。

「眠れないことへの関心が強すぎるので、睡眠から少し関心を逸らす生活指導とともに、睡眠への不安を取り除く抗うつ薬を処方します。うまくいけば1週間ほどで寝つきがよくなるので、その安心を継続させつつ、徐々に薬の量を減らすようにしています」

遅い時間に寝ても早起きしてしまう

【70才・主婦 Bさんのケース】
 年をとると朝早く目覚めるといいますが、まさに私にもその時期が訪れたようです。 夜遅く寝ても、朝の4時には目が覚めてしまうのです。

 まだ早い時間なので、布団の中で横になっているのですが、一度目覚めたら、もう眠れません。布団から出ても特にやることもないので、ぼんやり時間が過ぎるのを待つだけ。その代わり、昼間テレビを見ながらウトウトしてしまいます。(70才・主婦)

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「これは高齢者に多い不眠症です。オレキシン受容体拮抗薬など、作用時間が中間型や長時間型の睡眠薬を処方して、生活指導も行いつつ、患者さんの様子と経過を見ながら対処していきます」

【プロフィール】
内田直さん/精神科医。すなおクリニック院長。早稲田大学名誉教授。薬と生活面から睡眠障害にアプローチ。著書に『好きになる睡眠医学』(講談社)など。

取材・文/北 武司

※女性セブン2021年3月11日号