小学校で「くん付け」呼び名禁止も 批判されぬための防衛策

小学校で「くん付け」呼び名禁止も 批判されぬための防衛策

 いまどきの小学校では、同級生や友人の名前を呼び捨てにしたりあだ名で呼ぶことをせず、名字に「さん」を付けて呼ぶ小学生が増えている。埼玉県の小学校に勤務する現役教師はこう語る。

「私も自分のクラスでは生徒同士に『さん付け』をさせています。そのメリットとして、明らかにケンカが減った、という教師としての実感があるからです。相手を怒鳴る前に自分の頭の中に“さん”が浮かぶと、ちょっと冷静になるんでしょうね。

 あだ名で呼ぶことは、いまの小学校では考えられません。それくらいイメージが悪いのです。理由は、あだ名で呼ぶことでいじめと捉えられる可能性があるからです」

 実際に小学校では「あだ名の禁止」や「さん付け」などの丁寧な呼び方をすることを規則に定めることで、いじめを防止しようとする動きがある。

 いじめなどのトラブル防止という目的以外にも、「さん付け」を推奨する指導が行なわれているという。それがエスカレートして、男子に対する「くん付け」を禁止する学校もある。文科省OBで京都造形芸術大学教授の寺脇研氏は言う。

「『くん』を禁止して『さん』に統一することに関しては、性差別を生まないようにという配慮です。

 かつて学校で、出席番号を男女一緒にする『男女混合名簿』が導入された際には、男子児童から先に名前を呼ぶといったことで男性を優先することがないように、という意図がありましたが、『くん付け』も男子への特別扱いとみなされ、禁止の流れになっているのです」

 前出の小学校教師はいう。

「正直、ヤンチャな男子生徒に『さん』は変だな、と思いますが、万が一親から『女性だけに付けるのは性差別だ』といったクレームが来たら、と考えると男女とも『さん』に統一したほうがいいとなる。批判されないようにするにはこれしかない、ということなのです」

 文部科学省の見解はこうだ。

「あだ名を禁止したり“さん付け”をさせることが定められているわけではありません。全国に1700以上ある自治体の約85%が『いじめ防止対策推進法』に基づいた方針を制定済みですが、実際の運用については各自治体および学校に任せています」(初等中等教育局)

 いじめ対策やジェンダー教育は重要だろうし、呼び名の変化は時代の流れなのかもしれない。だが、「ジャイアン」と「のび太」が「剛田さん」「野比さん」と呼び合うようになったら、あまりに味気ないのでは。

※週刊ポスト2018年5月25日号

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