なぜ片づけは、「親が亡くなってから」では手遅れなのか

なぜ片づけは、「親が亡くなってから」では手遅れなのか

PRESIDENT 2016年8月29日号 掲載

「物を捨てるのはもったいない」という思いが強い今の親世代。使いもしない贈答品や買いだめしたまま忘れ去られている物が、納戸や押し入れに詰め込まれていませんか?

そのうえ年を取ると、物を片づけることがだんだん億劫になり、家の中が乱雑になりがちです。そんな実家の様子を目の当たりにして、何とかしたいと考えるのが子の親を思う気持ちです。けれども「子の心、親知らず」で、それを申し出ても、多くの親はすんなりとは受け入れてくれません。

家の中が乱雑でも、それが日常であれば、親はとくに生活に不自由を感じているわけではありません。ですから、子から「家を片づけたい」と聞くと、それまでの自分たちの生活が否定されるように感じてしまうのでしょう。「やるなら、私たちが死んでからにしてほしい」などと、強い言葉で拒絶する親が少なくありません。

しかし、親の持ち物が遺品になってからでは遅いと、私は力説しています。遺品のほとんどは不用品。その処分が実に大変なのです。

まず、親が残した物の処分にはお金がかかります。私のセミナー受講者に、親が亡くなった後、産廃業者に依頼して不用な家財道具を処分したところ、500万円もかかったという方がいました。これまで聞いた中の最高額でした。これはいささか特殊なケースではありますが、不用品を廃棄物として処分すると数十万円の費用がかかることはざら。その費用負担をめぐり、きょうだいや親戚との間でトラブルになることもよくあります。

さらに困るのが、重要書類の所在です。預金通帳と印鑑類、有価証券類や保険証書類、家の登記簿謄本、各種契約書類など。これらは目につかない場所に分散して保管されていることが多く、死別後に探し当てるのはとても大変です。たとえば銀行預金などは、当人が死亡すると口座が凍結されて一銭も引き出せなくなりますし、口座の凍結を解除する手続きにもかなりの手間がかかります。

親が亡くなった場合ばかりではなく、病気で倒れたとか、認知症になったときにも、似たようなことが起こりえます。

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