漫画家・浦沢直樹「先週の自分を超える」

漫画家・浦沢直樹「先週の自分を超える」

PRESIDENT 2016年10月3日号 掲載

物心ついた頃から漫画を描き続けて、約50年。柔道をテーマにした『YAWARA!』で一躍人気漫画家になり、『MONSTER』でシリアスな物語を紡いだかと思えば、人類滅亡の危機を『20世紀少年』で描くなど、異なるジャンルの話題作を次々と世に送り出す──。キャリアを重ねながらも、絶え間なく成長し続けるためにはどうすればいいか。その秘訣を浦沢直樹さんに聞いた。

■Q.さらにもう一段、自分をレベルアップさせるには?

4、5歳から漫画を描いてきて、約50年以上ずっと「もっと上手くなりたい」と思ってやってきました。

中学生の頃、『火の鳥』を読んで漫画の力、それを描く手塚治虫という漫画家の壮大な創造力に心打たれ、僕の人生観のすべてが決まりました。

成長するためには、新しいことを吸収しなくてはいけません。自分のストライクゾーンなんて言っていては、何も変わらない。あえて悪球を取りにいき、それをつかんだとき自分のストライクゾーンが広くなる。初めはわからないものほど興味を持つべきです。

僕は中学生のときに、ボブ・ディランを聴いてそのよさがまったくわかりませんでした。ところが毎日修業のように聴いていたら、あるときに「わかった!」と稲妻がドーンと落ちたような衝撃が起きた。「知覚の扉」が開き、既成概念に縛られていた自分が解き放たれた瞬間です。すごく違和感のあるものでも、それを浴び続けていると、懐かしいものに変わります。

人間関係も仲良し同士で楽しくやるのもいいですが、あえて意見の違う人と仕事をしてみるとかね。

ですから、ネット通販のように「あなたはこれが好きでしょう」とレコメンドしてくる世界に危機感を覚えます。新たな世界と出合う可能性をどんどん狭めている気がするからです。

一流の人と自分を比較し、焦りを感じる人も多いでしょう。そんなときは、彼らの新人時代を追体験してみることをおすすめします。たとえば、僕がやったのは黒澤明監督の全作品を1作目からたどること。デビュー作の『姿三四郎』は荒けずりだけど面白い若手監督が出てきたなと思い、2作目の『一番美しく』は戦争中で戦意高揚色が強い中、しっかりメッセージを入れているなとか、5作目の『わが青春に悔なし』は若くして彼の代表作になるかもとか……。彼らも試行錯誤しながら成長していったことを知れば、一流の人にも臆する気持ちがなくなります。

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