PRESIDENT Online 掲載

過去のつらい経験は、忘れたほうがいいのか。『この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』(イースト・プレス)を書いた小林エリコさんが、新刊『生きながら十代に葬られ』(イースト・プレス)を出した。綴ったのは、クラスメートからのいじめ、親との衝突、諦めた夢のこと。小林さんの本は、なぜ読者の心を震わせるのか――。

■やっと「私はひどいことをされた」と気づけた

――なぜ、つらいことの多かった自分の10代について執筆しようと思ったのですか。

【小林】自分の過去を見つめ直しておかないと、この先私は幸せになれないんじゃないかという思いがあったんです。『生きながら十代に葬られ』を書き始めるまで、私は自分の10代の記憶に囚(とら)われていました。ちゃんと働いて、ひとり暮らしもできている自立した大人なのに「自分はまだ幸せじゃない」と苦しみ続けてしまう。いじめられていたことなんてもう思い出したくもないし、できればなかったことにしたいのに、生きている限りどうしても顔を出してきます。以前も引っ越しのときに荷物を整理していたら、中学校の卒業アルバムが出てきて。

――新刊に出てくる、同級生に「ブスエリコ」と書かれたアルバムですね。

【小林】これまでは、いじめられた経験をわざと中途半端に放っておいたんですよ。「死にたい、苦しい」という思いをはっきり自覚してしまうと、自分が崩れてしまうから。大人になって、10代の私が叶(かな)えられなかったもの、与えられなかったものを手に入れた今、やっと「私はとてもひどいことをされたのだ」と正しく認識することができました。