PRESIDENT Online 掲載

■長期政権の弊害に今一番苦しんでいる国

安倍首相の自民党総裁としての任期が2021年9月までと迫るなかで、ポスト安倍をにらんだ自民党内での動きが活発化している。後継の候補として何人かの有力な政治家が取り沙汰されているが、一転して安倍首相が党総裁として続投する展開も否定できず、今後はさまざまな駆け引きが自民党内で繰り広げられるだろう。

安倍首相の在任期間はすでに8年近く、憲政史上最長を更新し続けている。こうした長期政権が抱える最大の課題は、その権力の移譲にあると言える。政権が長期にわたり安定すればするほど、政治の新陳代謝が弱まる。その結果、次世代を背負う人材が十分に育たず、政治がかえって不安定となってしまうのである。

こうした長期政権の弊害に今一番苦しんでいる国の一つがドイツだ。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は2005年11月に就任して以降、4期約15年間にわたって政権を担ってきた。しかし17年の総選挙や翌18年の地方選で敗北を重ねたことで、21年の任期をもって政界を引退する意向を示し、与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首を辞任した。

このようにメルケル政権は着実にレームダック化してきた。さらに悪いことにメルケル首相に代わってCDU党首に就任し、事実上の後継候補と目されてきたアンネグレート・クランプ=カレンバウアー(AKK)国防相が2月10日に党首を辞任する考えを示したことで、メルケル首相後のドイツ政治に対する不透明感が強まる事態となった。