PRESIDENT 2020年3月6日号 掲載

■米国カメラ市場最下位からの挑戦

キヤノンの社長に就任したのが1995年。2006年から4年間は経団連会長の仕事に専念しましたが、その間はもちろん、現在も経営の最前線でカジ取りをしています。これだけ長く経営の第一線にいられるのも、若い頃にさまざまな経験を積ませてもらったおかげです。とりわけ20代、30代のビジネス体験は、仕事の基礎を築くうえで大いに役立っています。

私は1961年にキヤノンに就職しました。しばらくカメラ工場の組立業務を経験したあと、経理課に配属されて為替の取引を担当。それから営業部門へ異動になり、国内のカメラ販売を担当しました。

人生の転機となる米国駐在を命じられたのは、30歳のとき。まだ海外旅行も珍しい時代です。私は海外どころか飛行機に乗るのも初めてで、それまでの人生とはまったく違う世界に飛び込む心持ちでした。キヤノンUSAは、私を含む日本人が7人、現地採用のスタッフが6人という小さな所帯。英語ができないと仕事にならないので、平日の昼は仕事、夜と休日は語学学校という生活を送る日々でした。