プレジデント Digital 掲載

■多目的トイレはしばらく使用禁止にするかも

「多目的トイレね、しばらく使用禁止にするかもって」

新宿で清掃員をしているその老人と出会ったのは数日前、ようやく東京都の休業要請も全面解除されたその日、老人は黙々と床清掃をしていた。モップの使い方もおぼつかない様子、声を掛けてみたらまだ新人だという。ハキハキと丁寧な口調で背筋をピンと伸ばす、あとで聞いたら私のことを施設の関係者だと勘違いしたらしい。

「例の事件のせいだね。なんていったかねあの芸人さん」

老人のことは仮に大山さんとする。大山さんの休憩時間に待ち合わせて行きつけの喫茶店へ。歌舞伎町のど真ん中のこの喫茶店は24時間営業でがんばっている。コーヒーだけではなく食事もどうぞと言ったら大山さんは知る人ぞ知るナポリタンを頼んだ。60代前半、清掃は新人だが新宿は長いそうだ。離婚して独身、一人暮らしで住まいもここから自転車で行ける距離だという。

「この仕事始めてそんなに長くないけど、場所が場所だからね、多目的トイレじゃなくてもすごいよ」