日米両国マットで活躍した桜田一男さんが亡くなった。

「ミスター・サクラダ」「ドリーム・マシーン」「ケンドー・ナガサキ」「ドラゴン・マスター」など、様々なリングネームを駆使して大暴れした桜田さん。190センチ近い巨体でペイントしたり、マスクマンに変身したり、変幻自在のレスラー人生だった。

35年ほど前、米国で暴れまわる「ケンドー・ナガサキ」を何度か取材した。落ち武者風のヘアスタイルに道着、手には竹刀という「悪い日本人」そのもので、オレゴン州ポートランド、プエルトリコなど全米各地を席巻し、米国ファンから恐れられていた。

リング上とは打って変わった優しい声で「会場では知らん顔してね。オレと仲間だと思われたら、物騒な奴もいるから、襲われちゃうよ」と、米国取材での心得を教えてくれた。

実際に桜田さんは刃物で襲撃されたり、ピストルを向けられたことがあったようだ。「蹴散らしてやったよ。なめられたらお仕舞だから」と、事も無げに振り返っていた。

アパートで日本食をご馳走になった。大相撲出身とあってか、日本食用の食材だけでなく、その土地土地のスーパーで手に入るモノを、手際よく料理して、カレーライスやちゃんこ鍋をふるまってくれた。

米修行中の武藤敬司もお世話になっていた。「運転から料理まで、オレも頼り切っている。桜田さんがいないと、大変だよ。うるさいこと言わないし、大先輩なのに友達みたいなんだ」と感謝していた。

日本でも迫力ある悪党ファイトで、多くの団体を席巻した。リングを離れれば、優しい人柄で、若手選手の指導にも取り組んでいた。

「怒らせたら、ケンカさせたら、誰よりも強い」という話を、色んな方から何度も聞いた。

昨年、電話でお話したのが最後になってしまった。「千葉でのんびりと釣りをする毎日だよ」と、いつも通り穏やかな口調だった。電話口の向こうの優しい顔が浮かんだものだ。

「たいした額じゃないけど、年金ももらっている。年金をかけていてくれた馬場さんに感謝しているんだ。色々とあったけど、助かっている」と明かしてくれた。

「昭和のレスラー」がまた一人、逝ってしまった。今頃、天国で馬場さんと語りあっているのだろうか。天の川に釣り糸を垂らしているかも知れない。

桜田さん、星の窓を開けて、令和のプロレス界を見守ってください。合掌。

プロレスTODAY編集長
柴田 惣一