15日、明治安田J1リーグ第14節でセレッソ大阪をホームに迎えたFC町田ゼルビア。

試合は、70分にオ・セフンのボレー弾で先制。84分にレオ・セアラのPKで同点とされるも、後半アディショナルタイム、途中出場のミッチェル・デュークが林幸多郎のクロスをに合わせ、町田が劇的勝利を収めている。

「前節の湘南戦、引き分けではありましたけど、敗戦と言っていいくらいのかなり厳しい印象を持ったゲームだったので、戒めの気持ちを持って今日のゲームは入りました。(湘南戦を)敗戦と捉えて、2連敗は絶対にできないというようなスタンスの中で、中3日でしっかりと選手たちが準備をして今日のゲームを迎えました」

試合後にそう語った町田の黒田剛監督。町田はスコアレスドローに終わった前節のアウェイでの湘南ベルマーレ戦、シュート本数で8:15と上回られるなど劣勢を強いられ、なんとか勝点1を拾ったゲームだった。

そこからの連戦ということで、湘南戦をあえて敗戦と捉えることにより「絶対に連敗はできない」と、高いモチベーションで今回の試合に臨んだという。

「クオリティの高いセレッソさんのボール回しというところに、ある程度付いてはいきましたけど、随所に危ない場面もありました。さまざまなところでちょっと怪しいなという局面もありましたが、その中で、最後まで体を張って、オープンプレーの中では失点をしなかったというところは本当に評価できるかなと思います」

町田は56分、左サイドの藤本一輝に代えてナ・サンホを投入。右にナ・サンホ、左に平河悠の形にしたことで左右のバランスが良くなり、右サイドの活性化がオ・セフンの先制点へつながった。

守っても、持ち味である全体の高い強度に加え、外国人枠の関係で久々の出場となったセンターバックのチャン・ミンギュも奮闘し、ホームで劇的勝利。黒田監督にとっても手応えのある一戦だったようだ。

「すごく難しいゲームでした。勝ちと負けでは全然違うというようなシチュエーションの中で、勝ち切って勝点3を取ってくれたことは本当に素晴らしいことだと思います。連戦の中で、この勢いを持って、(次の)ヴェルディ戦に臨みたいと思います」また、この日は1993年5月15日にJリーグが開幕してから、丸31年の記念日。「Jリーグの日」として復刻されたJリーグカレーの配布などさまざまな催しが行われた。

黒田監督は31年前、大阪体育大学を卒業し、サッカーに区切りを付けた時期で、開幕戦は社員寮で見ていたという。それから31年が経ち、J1の監督として上位争いをしていることに対する思いを尋ねられると、以下のように答えていた。

「指導者もまだ始めていない時です。サッカー選手を引退し、サービス業というところで、自分の中ではもうサッカーを辞めたというような状況で社員寮に入りながらホテルマンをやっている時期でした。その世界に自分が行くなんていうことは到底思いもしない中で、これまで約30年間ずっと、高校サッカーも含めやってきました。

そういうことを考えるとすごく感慨深いところもあります。あの時、テレビで見ていたJリーグというステージに自分がたどり着いたというか、そこに自分のステージを移して勝負しているということに、今でも信じられないような気持ちもあります。

ただやはり本当に、何歳からでもチャレンジはできるなと。気持ちさえあれば何歳からでもチャレンジができるということを全国に見せていきたい、先頭を切って走っていきたいという思いもあります。

サッカー界だけではなく、世の中のいろいろな方々、年配の方々も含めて、まだまだチャンスはあるんだというところを自分が身を持って示していくことによってすごく明るいスポーツ界にもなると思います。そんなことを描きながら、沸々と感じながら、日々を送っています」

ヴィッセル神戸もこの日勝利したため首位返り咲きはならなかったが、同勝点の2位というポジションを維持する町田。

次戦は19日(日)、同じ昇格組ながらこちらも直近11試合無敗と好調の東京ヴェルディとホームでの「東京クラシック」に臨む。