今年4月1日から改正された障害者差別解消法が施行されました。 事業者による障害者への合理的配慮の提供が義務化された今回の改正、障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら、ともに生きる共生社会の実現を目指すものです。 5月20日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、パーソナリティのつボイノリオが、初めて車椅子を体験した様子を報告しました。聞き手は小高直子アナウンサーです。

     

車椅子体験

「合理的配慮」とは、障害のある人から社会の中にあるバリアを取り除くためになんらかの対応を必要としている、という意思が示された時には、負担が重すぎない範囲で対応することが求められるということです。

ここで大切なのが障害のある人と事業者が話し合い、お互いに理解して、一緒に対応案を検討すること。
どんなサポートを必要としているかはそれぞれ違います。

番組イベントでは、視覚障害のある方や車椅子を利用する方が参加してくれることがよくあります。そこで今回、つボイが車椅子体験をしてみました。

力が必要

小高「永六輔さんが『目線の高さが違う』とおっしゃっていましたね」

つボイ「まず何より、車椅子は楽そうに見えますが、これを考え直さないといけなかった。私の今の体力では1kmも動けない」

つボイが使った車椅子は、よくある折り畳み式のもので、移動の際に自分で手で押すタイプです。

つボイ「私は腕の力も人並みにあると思っていたら、50mくらいでえーっと思った。その上、ちょっとの傾斜でもあればめっちゃツライです。私のような腕の力だと、電動車椅子は必要だと思いました」

初体験はまず肉体的にかなりしんどかったようです。

市バスに乗って

次に試してみたのはバスへの乗車。CBCから名古屋の中心地・栄へ市バスに乗ることに。
バス停で待っていると、到着したバスから運転手が降りて来ました。

運転手は「ちょっと待ってください」と、収納してあった2つ折りになった携帯スロープのようなものでスロープを作って、「ここから入ってください」とつボイに指示しました。

自分の力では上れないため、運転手が後ろから押してくれました。
乗ったらすぐ障害者用のイスを畳んで所定の位置に固定し、シートベルトをかけました。
運転手はこの作業をひとりで作業しましたが、3分くらいかかったようです。
降りる時はその逆をします。

ちなみに、今回のつボイによる車椅子体験は、事前に名古屋市交通局へ許可をもらっておこなったもの。

つボイは「もう少し機械化されて、ボタンひとつでできればいい」と思ったそうです。

エレベーターの鏡

ビルのエレベーターには入った正面に鏡があります。これは車椅子でエレベーターに乗った際、後ろ向きのまま出るために必要なものです。

エレベーターの外に障害者用のボタンがあるところは、中にはちゃんと鏡があり、車椅子でも押せるように横にずっとボタンが並んでいます。

つボイ「障害の人が住みやすい世の中は必ず健常者も住みやすい。オレは関係ないといっても、明日は我が身です。ずっと健康のまま生きていけるならいいですが、そんな保証はありません。健常者の人にとっても絶対役に立つと、今回改めて思いました」

まだまだ大変

さらに愛知県美術館で許可を得て車イスで展示を見たつボイ。身長169cmのつボイは、初めて車椅子の高さで展示を見ました。

帰りは車椅子を降りてタクシーで帰ることに。
運転手が車椅子をパタンと手早く畳んでトランクに入れました。尋ねると「僕ね、ヘルパー2級の資格を持っているんです」とのこと。

小高「車椅子もいろいろなものがあるので、どうやって広げるか、ストッパーを使うか、細かいところで大変です」

つボイ「いろいろなことを今回学びました。車椅子の移動は大変です。まだ世の中大変なので、大変でなく行けるようになるといいですね」
(みず)