中国の双11(11月11日)独身の日セールは、今年も成功裏に終わった。日本メディアは、盛況の理由を、海外で爆買いできない分を消費した、海外商品の売り上げでは日本が5年連続1位となった、などと伝えた。どうやら越境Eコマースは大きく伸びた。その辺りの事情と今後について、アリババの動きを中心に探ってみよう。

■2020年、双11データ

ネット通販2トップで12兆円を売り上げる。

双11の指標となるアリババのGMV(成約総額)は4982億元(7兆9000億円)だった。昨年の2684億元の2倍近いが、統計期間を変更したため、実質の伸び率は26%という。ネット通販2位の京東は2715億元(4兆3000億円)、昨年は2044億元、伸び率は33%だった。

アリババの双11GMVは、日本最大の小売業、イオンの年間売上8兆5182億円(2019年2月期)に迫る勢いだ。

越境Eコマースの全国データは出ていないが、広東省がデータを発表している。それによれば11月1日〜11日8時までの輸入金額は28億2000万元、80.6%の伸び、輸出は57億1000万元、152.8%の伸びだった。輸入は化粧品、スキンケア用品、ベビー用品が多かった。広東省の税関は越境Eコマースの激増を見越し、通関システムをアップデートしていた。

■1.5億人が利用する越境Eコマース

調査機関iiMediaによる越境Eコマースデータ。

2019年、越境Eコマースを利用して海外商品を購入した中国ユーザーは1億5400万人である。2016年は4100万人、この4年で約4倍に増加した。2019年の売上規模は2兆6400万元、2016年は1兆2900万元で、こちらは4年間で2倍に。2020年はコロナ禍の影響を考慮し、2兆7700万元、4.9%の微増を見込んでいたが、双11の成功により、達成は間違いなさそうだ。

iiMediaのアナリストは、政府の越境Eコマースサポート政策が、コロナ渦からの復活だけでなく、従来型貿易の変革とアップグレードの推進力になっていると指摘した。オンラインの力が、ブランドと消費者、双方の変革を加速したのだ。

2020年は、技術革新が進んだことから、海外企業や中小企業の越境Eコマース参入障壁が下がり、双11に新たな血を注入した。アリババの「天猫国際」は、2600の海外新ブランドが参加、120万の新商品を発売した。その効果はてきめんで、11月1日〜11日12時までのGMVは、前年比47.3%増となった。そのうち180の海外ブランドが1000万元以上、816の海外海外ブランドが100万元以上を売り上げた。

輸入元国家トップ10は、日本、米国、韓国、オーストラリア、ドイツ、英国、ニュージーランド、フランス、イタリアの順だった。

■トップ10入り日本ブランド

商品部門別ランキングに掲載された日本ブランドは以下の通り。

化粧品8位…資生堂
レディースファッション1位…ユニクロ
メンズファッション1位…ユニクロ
インナーウェア2位‥ユニクロ
生活家電10位…パナソニック
デジタル機器8位…ソニー
時計眼鏡1位…カシオ、7位…シチズン
厨房衛生用品3位…パナソニック、7位…TOTO
自動車4位…広汽本田(ホンダ)

ユニクロの強さが際立っている。今や双11を代表するブランドだ。

■第3回国際進口博覧会(輸入博)

中国は2018年から双11に合わせ、上海で輸入博を開催している。

2020年は64カ国、674社が出展した。今年は海外勢の訪問が限られた分、情報発信を強化した。例えば、全盛を誇る直播電商(ライブコマース)のデモンストレーションを行った。アリババの「淘宝直播」で活躍する李佳[王奇]、微亞が、それぞれ中央電視台CCTVの人気キャスターと登場、それぞれイタリア会場、欧州4国会場から直播ライブを行った。国策となった輸入拡大のため、使える広告資源はすべて使う、いかにも中国らしいパフォーマンスだった。

■速売通(Ali Express)

ここまでは、中国国内販売、つまり輸入の話であった。今度は輸出である。広東省のデータでは、輸入の2倍も伸びている。これら海外販売を担うのが速売通だ。

速売通は2010年に設立された、アリババのグローバル小売プラットフォームである。顧客とバイヤーは1億5000万人、220カ国に存在している。商品カテゴリーは、衣料品、靴・服飾、美容・健康、家電、自動車など30に拡大し、今やアマゾン、Ebay、Wishと並び、世界4大英語プラットフォームの1つとされる。18言語に対応、ロシアとスペインでは、国内最大のネット通販になった。日本語版もある。なお中国から出荷される小口貨物は、90%以上郵便小包である。

速売通の双11も盛況だった。参加企業数は30%、商品数は60%増加した。2000社近い企業が、1時間で昨年1日分のGMVをたたき出した。ブラジル市場では6時間、韓国市場では7時間、スペイン、フランス市場では12時間で昨年1日分GMVを達成した。

■まとめ

中国は、国を挙げて越境Eコマースに取り組んでいる。全国に105カ所の越境電商総合試験区があり、伝統的貨物貿易から、少量多頻度貿易への転換を研究中だ。これもアリババが杭州からスタートさせたものだ。中小企業をサポートするアリババのプラットフォームが、国策にまで昇華した形といってもよい。中国はどこを取っても、やはり中心はアリババである。やがて世界貿易の中心となることまで、視界に入れているのかも知れない。(高野悠介)