韓国の朴槿恵前大統領らへの贈賄罪などに問われたサムスングループ経営トップ・李在鎔被告(52)に下された実刑判決に韓国の経済界が動揺している。聯合ニュースはトップが再び収監されたグループが「非常経営体制に突入」と報じたが、主要各紙の評価は大きく分かれた。

李被告の差し戻し控訴審で、ソウル高裁は18日、懲役2年6月(求刑懲役9年)の実刑判決を言い渡し、被告は法廷で拘束された。高裁は「被告は朴前大統領の賄賂要求に便乗して積極的に賄賂を提供し、黙示的ではあるが(グループ経営権の)継承のため、大統領の権限を使うよう求める趣旨の不正な請託をした」と判断した。

判決の影響について、聯合ニュースは「李被告が2018年2月の控訴審で執行猶予付き判決を言い渡されて釈放された後も、李被告と各系列会社の最高経営責任者(CEO)は相互補完的役割を担い、『ニューサムスン』として発展を図ってきた」と指摘。「再び経営トップが不在になるというサムスンにとって最悪のシナリオが現実となった」と伝えた。

さらに「コントロールタワーの組織図もない中で再び収監されたため、グループ全般にわたる問題を決定するのは難しくなる」と言及。「日常的な経営は各社のCEOが行えるが、大規模な投資の決定などは結局トップの判断となるためだ」と解説した。

中央日報によると、財界関係者らは当惑を隠せなかった。新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい状況にある経済界に悪影響を与える恐れがあるという懸念からだ。判決に先立ち大韓商工会議所と中小企業中央会などは李被告のために嘆願書を提出するなど高裁に善処を訴えたが、事実上無為に帰した。

全国経済人連合会(全経連)は今回の判決でサムスンの経営活動だけでなく韓国経済も萎縮する可能性があると懸念する。全経連のペ・サングン専務は「李被告がコロナ発の経済危機の中で果敢な投資と雇用創出を陣頭指揮し韓国経済を支える一助となってきた。拘束判決をとても残念に思う」と語ったという。

一方、朝鮮日報は「刑務所の塀の上を歩く韓国企業経営者の宿命」との社説を掲載。「企業は現政権の要求を拒絶すれば、政権下で報復を心配しなければならず、拒絶しなければ次期政権で代価を支払うことになる。刑務所の塀の上を歩く曲芸を迫られるのが大韓民国の企業の宿命だ」と突き放した。

ハンギョレ新聞は社説で「実刑判決は、ほかの財閥オーナーたちも他山の石としなければならない」と強調。「オーナー一家の違法行為や不正によって企業が打撃を受ける、いわゆる『オーナーリスク』の解消に向けた転換点とすべきだ。トップが少ない持ち株で全能の権限を行使する皇帝経営や違法・便法をいとわない経営権継承などの韓国財閥の根強い弊害を解消する契機とすべき」と論じた。(編集/日向)